【拒絶理由で学ぶ】霊遺伝子から解く姓名判断法【発明該当性(29条第1項柱書)】

学ぶシリーズ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2006-350446(P2006-350446A)
(43)【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
(54)【発明の名称】霊遺伝子から解く姓名判断法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
祖先の境涯・人格・存在性・幸不幸の自覚などの遺伝子内に入力されたデータから構成される創世霊と、前記創世霊の影響を受けて形成された生き方の指針から構成される現世魂と、総体的な運勢から構成される大局運と、本人が持って生れた本来の位置から構成される家系譜・出生順位相と、愛情運から構成される結婚・相性と、金銭運から構成される仕事と、寿命から構成される健康と、から姓名を判断することを特徴とする霊遺伝子から解く姓名判断法。
【請求項2】
前項の姓名判断法において、その主要な構成が12のタイプからなる基礎運と該基礎運の補足構成が36のタイプからなる影響運とから構成される請求項1記載の霊遺伝子から解く姓名判断法。
【請求項3】
請求項1記載の姓名判断法において、隔世遺伝を12タイプに分類する基礎運のうち、縦型タイプが実力開花運である請求項1記載の霊遺伝子から解く姓名判断法。
(以下省略)

拒絶理由通知書

  適用条文         第29条柱書

 この出願は、次の理由によって拒絶をすべきものです。これについて意見がありましたら、この通知書の発送の日から60日以内に意見書を提出してください。

                理 由

 この出願の下記の請求項に記載されたものは、下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。

                 記

 特許法でいう「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作に該当する必要があり(特許法第2条)、これに該当しない場合には特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないため、特許を受けることができない。
 例えば、請求項に係る発明が、自然法則以外の法則(例えば、経済法則)、人為的な取決め(例えば、ゲームのルールそれ自体)、数学上の公式、人間の精神活動に当たるとき、あるいはこれらのみを利用しているとき(例えば、ビジネスを行う方法それ自体)は、その発明は、自然法則を利用したものとはいえず、特許法でいう「発明」に該当しない。
 請求項1に記載された、「祖先の境涯・人格・存在性・幸不幸の自覚などの遺伝子内に入力されたデータから構成される創世霊と、前記創世霊の影響を受けて形成された生き方の指針から構成される現世魂と、総体的な運勢から構成される大局運と、本人が持って生れた本来の位置から構成される家系譜・出生順位相と、愛情運から構成される結婚・相性と、金銭運から構成される仕事と、寿命から構成される健康と、から姓名を判断することを特徴とする霊遺伝子から解く姓名判断法。」は、姓名判断を行うための手法、すなわち人為的な取決めを特定するものである。
 通常、人為的な取決めは自然法則を利用した技術的思想の創作とはいえず、上記本願請求項1に記載された事項について、発明の詳細な説明の記載内容を参酌し、検討してみても、同様に、自然法則を利用した技術的思想の創作と認めることはできない。
 請求項2-15についても同様である。

感想

いわゆる発明該当性を理由とする拒絶理由です。実務に携わる人間には当たり前すぎることですが、私は発明者から、このような「取り決め」を発明提案されたことがあります。

わかりやすい内容なので、社内教育などで取り上げてもよいかもしれません。

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学ぶシリーズ拒絶理由通知・意見書
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コメント

  1. 彦G より:

    はじめまして。元弁理士の者(現在、未登録)です。

    確かに、とても面白い拒絶理由通知ですね。ただ、本願発明は、弁理士が代理されているようですので、専門家の弁理士や知財部が担当された案件で29条1項柱書違反(発明でないと認定)をうたれるのは、ちょっと恥ずかしいのではと思います。そういう意味の題材として社内教育をするのも面白いのかもしれませんね。

    また、面白い出願や中間処理の内容の記事を楽しみにしています。

    • takoyaki732 より:

      彦G様

      コメントありがとうございます。

      各人にそれぞれの事情があるでしょうし、担当した弁理士先生も不本意だったかもしれませんね。

      ぜひまた見に来てください!

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