第百五十八条(拒絶査定不服審判における特則)
審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においても、その効力を有する。
第百五十九条
第五十三条の規定は、拒絶査定不服審判に準用する。この場合において、第五十三条第一項中「第十七条の二第一項第一号又は第三号」とあるのは「第十七条の二第一項第一号、第三号又は第四号」と、「補正が」とあるのは「補正(同項第一号又は第三号に掲げる場合にあつては、拒絶査定不服審判の請求前にしたものを除く。)が」と読み替えるものとする。
2 第五十条及び第五十条の二の規定は、拒絶査定不服審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。この場合において、第五十条ただし書中「第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)」とあるのは、「第十七条の二第一項第一号(拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限るものとし、拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)、第三号(拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)又は第四号に掲げる場合」と読み替えるものとする。
3 第五十一条、第六十七条の三第二項から第四項まで及び第六十七条の七第二項から第四項までの規定は、拒絶査定不服審判の請求を理由があるとする場合における当該審判について準用する。
一項は、拒絶査定不服審判(一二一条一項)において、不適法な補正がなされた場合にも、当該補正を却下すべく、五三条の規定を準用することを規定したものである。
五三条を準用することにより、補正却下の対象となるのは、
工業所有権法逐条解説 21版
①拒絶査定不服審判●●●時の補正、
②拒絶査定不服審判における●●●に対する補正、
③及び拒絶査定不服審判における●●●がされた場合における補正
であることから、その旨を読み替えることとした。
ただし、審査段階でなされた第二回目以降の拒絶理由通知に対する補正等を審査官が却下すること(五三条一項)としたのは、審査処理の促進の観点からであり、審査段階で一旦看過された補正をその後の手続である審判において応答の機会を与えずに却下することは、当該補正が適法であることを前提に審判手続を行っている請求人(出願人)にとって酷であるため、審判における却下の対象となる補正から除外するよう読替えを行った。
ただし、不適法な補正が適法なものとして扱われるのではなく、17条の2第3項又は第4項に違反する場合には、審判段階で拒絶理由が通知されます。これにより、出願人は手続補正書を提出する機会が与えられ、17条の2第3項又は第4項違反を解消することができます。 なお、審査段階の補正が17条の2第5項の補正要件に違反する場合、同項は拒絶理由となっていないため、その補正は有効なものとして扱われます。審査段階の補正が17条の2第6項の補正要件に違反する場合、各独立特許要件による拒絶理由が通知されます。
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読み替え後の53条(補正の却下)
(補正の却下) 第五十三条 第十七条の二第一項第一号、第三号又は第四号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて第五十条の二の規定による通知をした場合に限る。)において、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正(同項第一号又は第三号に掲げる場合にあつては、拒絶査定不服審判の請求前にしたものを除く。)が第十七条の二第三項から第六項までの規定に違反しているものと特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に認められたときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。
第百六十条
拒絶査定不服審判において査定を取り消すときは、さらに審査に付すべき旨の審決をすることができる。
2 前項の審決があつた場合における判断は、その事件について審査官を拘束する。
3 第一項の審決をするときは、前条第三項の規定は、適用しない。
第百六十一条
第百三十四条第一項から第三項まで、第百三十四条の二、第百三十四条の三、第百四十八条及び第百四十九条の規定は、拒絶査定不服審判には、適用しない。
第百六十二条
特許庁長官は、拒絶査定不服審判の請求があつた場合において、その請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正があつたときは、審査官にその請求を審査させなければならない。
第百六十三条
第四十八条、第五十三条及び第五十四条の規定は、前条の規定による審査に準用する。この場合において、第五十三条第一項中「第十七条の二第一項第一号又は第三号」とあるのは「第十七条の二第一項第一号、第三号又は第四号」と、「補正が」とあるのは「補正(同項第一号又は第三号に掲げる場合にあつては、拒絶査定不服審判の請求前にしたものを除く。)が」と読み替えるものとする。
2 第五十条及び第五十条の二の規定は、前条の規定による審査において審判の請求に係る査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。この場合において、第五十条ただし書中「第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)」とあるのは、「第十七条の二第一項第一号(拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限るものとし、拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)、第三号(拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)又は第四号に掲げる場合」と読み替えるものとする。
3 第五十一条及び第五十二条の規定は、前条の規定による審査において審判の請求を理由があるとする場合に準用する。
48条
例題
第百六十四条
審査官は、第百六十二条の規定による審査において特許をすべき旨の査定をするときは、審判の請求に係る拒絶をすべき旨の査定を取り消さなければならない。
2 審査官は、前項に規定する場合を除き、前条第一項において準用する第五十三条第一項の規定による却下の決定をしてはならない。
3 審査官は、第一項に規定する場合を除き、当該審判の請求について査定をすることなくその審査の結果を特許庁長官に報告しなければならない。
第百六十四条の二 (特許無効審判における特則)
審判長は、特許無効審判の事件が審決をするのに熟した場合において、審判の請求に理由があると認めるときその他の経済産業省令で定めるときは、審決の予告を当事者及び参加人にしなければならない。
2 審判長は、前項の審決の予告をするときは、被請求人に対し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求するための相当の期間を指定しなければならない。
3 第百五十七条第二項の規定は、第一項の審決の予告に準用する。
第百六十五条 (訂正審判における特則)
審判長は、訂正審判の請求が第百二十六条第一項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は同条第五項から第七項までの規定に適合しないときは、請求人にその理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
第百六十六条
第百三十四条第一項から第三項まで、第百三十四条の二、第百三十四条の三、第百四十八条及び第百四十九条の規定は、訂正審判には、適用しない。
第百六十七条 (審決の効力)
特許無効審判又は延長登録無効審判の審決が確定したときは、当事者及び参加人は、同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができない。
第百六十七条の二 (審決の確定範囲)
審決は、審判事件ごとに確定する。ただし、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に定めるところにより確定する。
一 請求項ごとに特許無効審判の請求がされた場合であつて、一群の請求項ごとに第百三十四条の二第一項の訂正の請求がされた場合 当該一群の請求項ごと
二 一群の請求項ごとに訂正審判の請求がされた場合 当該一群の請求項ごと
三 請求項ごとに審判の請求がされた場合であつて、第一号に掲げる場合以外の場合 当該請求項ごと
第百六十八条 (訴訟との関係)
審判において必要があると認めるときは、特許異議の申立てについての決定若しくは他の審判の審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止することができる。
(例題)
1つの特許権に対して2つの特許無効審判が請求され、その審理の併合をせず別々に審理を行った場合において、その2つの特許無効審判のうち一方の特許無効審判においてのみ特許法第 134 条の2第1項の訂正の請求がなされたとき、他方の特許無効審判について審理を中止して、当該訂正の請求がなされた特許無効審判の審理を優先することができる。(答え)〇
R2特実8
2 訴えの提起又は仮差押命令若しくは仮処分命令の申立てがあつた場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、審決が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。
3 裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に関する訴えの提起があつたときは、その旨を特許庁長官に通知するものとする。その訴訟手続が完結したときも、また同様とする。
4 特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、その特許権についての審判の請求の有無を裁判所に通知するものとする。その審判の請求書の却下の決定、審決又は請求の取下げがあつたときも、また同様とする。
5 裁判所は、前項の規定によりその特許権についての審判の請求があつた旨の通知を受けた場合において、当該訴訟において第百四条の三第一項の規定による攻撃又は防御の方法を記載した書面がその通知前に既に提出され、又はその通知後に最初に提出されたときは、その旨を特許庁長官に通知するものとする。
6 特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、裁判所に対し、当該訴訟の訴訟記録のうちその審判において審判官が必要と認める書面の写しの送付を求めることができる。
第百六十九条 (審判における費用の負担)
特許無効審判及び延長登録無効審判に関する費用の負担は、審判が審決により終了するときはその審決をもつて、審判が審決によらないで終了するときは審判による決定をもつて、職権で、定めなければならない。
2 民事訴訟法第六十一条から第六十六条まで、第六十九条第一項及び第二項、第七十条並びに第七十一条第二項(訴訟費用の負担)の規定は、前項に規定する審判に関する費用に準用する。この場合において、同法第七十一条第二項中「最高裁判所規則」とあるのは、「経済産業省令」と読み替えるものとする。
3 拒絶査定不服審判及び訂正審判に関する費用は、請求人の負担とする。
4 民事訴訟法第六十五条(共同訴訟の場合の負担)の規定は、前項の規定により請求人が負担する費用に準用する。
5 審判に関する費用の額は、請求により、審決又は決定が確定した後に特許庁長官が決定をする。
6 審判に関する費用の範囲、額及び納付並びに審判における手続上の行為をするために必要な給付については、その性質に反しない限り、民事訴訟費用等に関する法律中これらに関する規定(第二章第一節及び第三節に定める部分を除く。)の例による。
第百七十条 (費用の額の決定の執行力)
審判に関する費用の額についての確定した決定は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
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