【拒絶理由で学ぶ】シミ発生リスクの鑑別法【(サポート要件)(36条第6項第1号)】

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【拒絶理由で学ぶ】シミ発生リスクの鑑別法【(サポート要件)(36条第6項第1号)】

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-163612(P2016-163612A)
(43)【公開日】平成28年9月8日(2016.9.8)
(54)【発明の名称】シミ発生リスクの鑑別法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
  縄文スコアを指標とすることを特徴とする、シミ発生リスクの鑑別法。
【請求項2】
  前記縄文スコアが、鼻骨高さ、顔立ちの彫深さ、鼻下長さ、目の大きさ、耳垢、髪質、ウィンク、及び眼瞼から選択される縄文人特性項目の一種又は二種以上の判定値である、請求項1に記載の鑑別法。
【請求項3】
  さらに年齢を指標とすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の鑑別法。
(以下省略)

拒絶理由通知書

   適用条文         第36条

 この出願は、次の理由によって拒絶をすべきものです。これについて意見がありましたら、この通知書の発送の日から60日以内に意見書を提出してください。

                理由

1.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

                 記

●理由1(サポート要件)について

・請求項1-8
 請求項1の「縄文スコアを指標とすることを特徴とする」なる記載について、 「縄文スコア」は出願時に自明なものではないため、具体的にどのようなスコアなのか当業者にとって想起できない
 そして、本願明細書には、段落0009にて、「「縄文スコア」とは、縄文人の身体的特徴に当てはまる程度のことをいう。」、段落0010にて、「縄文スコアの算出方法は、特に限定されず、例えば縄文人に特徴的な身体的項目(縄文人特性項目)の一又は複数に該当するか否かを判定し、該当する項目数や程度に応じてポイントを付与したり、該当する項目数の割合をパーセンテージで表したりして得た判定値を、縄文スコアとすることができる。」、「縄文人特性項目は、特に限定されないが、例えば、鼻骨高さ、顔立ちの彫深さ、鼻下長さ、目の大きさ、耳垢、髪質、ウィンク、及び眼瞼が好ましい。」旨の記載があるが、頭部以外の手足などの身体的特徴については、実質的な開示がなく、請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明において開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
 また、請求項1を引用する請求項2-8についても、同様の点が指摘される。

 よって、請求項1-8に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

特許法第36条第6項

6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。
二 特許を受けようとする発明が明確であること。
三 請求項ごとの記載が簡潔であること。
四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。

感想

サポート要件のわかりやすい例かと思い取り上げました。

「サポート要件」は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること(特36条1項)についての記載要件です。要するに、請求項に記載されている事項が、発明の詳細な説明中に記載も示唆もされていないということです。

※一方で「実施可能要件」は、当業者が請求項に係る発明を実施することができる程度に、 発明の詳細な説明に必要な事項を明確かつ十分に記載すること(特36条第4項第1号)についての記載要件です。似ていますがちょっと違いますね。

なお、本願は下記のように補正することで特許査定となっています。

(11)【特許番号】特許第6447971号(P6447971)
【請求項1】
縄文スコアを指標とすることを特徴とする、シミ発生リスクの鑑別法であって、
前記縄文スコアが、鼻骨高さ、顔立ちの彫深さ、鼻下長さ、目の大きさ、耳垢、髪質、ウィンク、及び眼瞼から選択される縄文人特性項目の一種又は二種以上の判定値である、鑑別法。

【請求項2】
さらに年齢を指標とすることを特徴とする、請求項1に記載の鑑別法。
以下省略
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-6447971/91A9BAC5D059B0D88D52FA7F09E8FCCA0D14CC26F873C60C6E0C5F16121219E8/15/ja

<以下、意見書より抜粋>
<3>本願発明が特許されるべき理由  前述の通り、本願発明における縄文スコアは、鼻骨高さ、顔立ちの彫深さ、鼻下長さ、 目の大きさ、耳垢、髪質、ウィンク、及び眼瞼から選択される縄文人特性項目の一種又は 二種以上の判定値であることが特定されました。  本願明細書には、縄文人の頭部の身体的特徴に当てはまる程度と、シミやソバカスの生 じやすさとの間に相関関係があることが記載され、実施例において前記縄文スコアを指標 としてシミ発生リスクを推定できることが具体的に実証されています。  したがいまして、当業者であれば本願発明によればより簡便にかつ高精度にシミ発生リ スクを推定する鑑別法を提供するという課題が解決されることを理解できますので、前記 拒絶理由は解消したものと思料します。

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