(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2023-549388(P2023-549388A)
(43)【公表日】令和5年11月24日(2023.11.24)
(54)【発明の名称】浸透促進作用を有するヒアルロン酸組成物、調製方法及びその使用
【請求項9】
活性成分と、請求項1~4のいずれか1項に記載のヒアルロン酸組成物又は請求項5~
8のいずれか1項に記載の調製方法により調製されるヒアルロン酸組成物と、を含む活性
成分の吸収を促進する組成物。
【請求項10】
前記活性成分は水溶性活性成分及び/又は油溶性活性成分であり、好ましくは、前記水
溶性活性成分はトラネキサム酸、ニコチンアミド、ビタミンC、エルゴチオネイン、2~
10個のアミノ酸を含む低分子ペプチド、アミノ酪酸、デオキシリボ核酸、プロキシレン
又はエクトインであり、前記油溶性活性成分はアスタキサンチン、サリチル酸、フェルラ
酸、フェニルエチルレゾルシノール、レスベラトロール、ウンデシレノイルフェニルアラ
ニン又はエチルビスイミノメチルグアヤコールマンガンクロリドであり、
好ましくは、前記活性成分と前記ヒアルロン酸組成物との質量比が1:5~5:1、好
ましくは1:4~4:1である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1~4のいずれか1項に記載のヒアルロン酸組成物又は請求項5~8のいずれか
1項に記載の調製方法により調製されるヒアルロン酸組成物の活性成分吸収改善における
使用であって、好ましくは、前記活性成分は水溶性活性成分及び/又は油溶性活性成分で
ある使用。
【請求項12】
前記水溶性活性成分はトラネキサム酸、ニコチンアミド、ビタミンC、エルゴチオネイ
ン、2~10個のアミノ酸を含む低分子ペプチド、アミノ酪酸、デオキシリボ核酸、プロ
キシレン又はエクトインであり、前記油溶性活性成分はアスタキサンチン、サリチル酸、
フェルラ酸、フェニルエチルレゾルシノール、レスベラトロール、ウンデシレノイルフェ
ニルアラニン又はエチルビスイミノメチルグアヤコールマンガンクロリドである請求項1
1に記載の使用。
【請求項13】
請求項9又は10に記載の組成物を含む製品であって、好ましくは、製品に対して、前
記ヒアルロン酸組成物は0.1~2質量%、好ましくは0.5~1.5質量%である、製
品。
【請求項14】
前記製品はスキンケア用品、消毒製品、医薬品、ドレッシング、又はゲル医療機器であ
る請求項13に記載の製品であって、好ましくは、前記スキンケア用品はトナー、エッセ
ンス、クリーム、マスク又はローションである、製品。
【請求項15】
請求項1~4のいずれか1項に記載のヒアルロン酸組成物又は請求項5~8のいずれか
1項に記載の調製方法により調製されるヒアルロン酸組成物の製品分野における使用であ
って、好ましくは、製品に占める重量百分率として、前記ヒアルロン酸組成物は0.1~
2重量%、好ましくは0.5~1.5重量%であり、好ましくは、前記製品はスキンケア
用品、消毒製品、医薬品、ドレッシング、又はゲル医療機器である使用。
拒絶理由通知書
特許出願の番号 特願2023-528565
起案日 令和 6年 4月22日
特許庁審査官 桜田 政美 3771 4Z00
特許出願人代理人 鎌田 光宜(ほか 8名) 様
適用条文 第36条第6項第2号(明確性)
第36条第6項第1号(サポート要件)
第29条第1項柱書(非利用)
第29条第1項第3号(新規性)
第29条第2項(進歩性)
この出願は、次の理由によって拒絶をすべきものです。これについて意見が
ありましたら、この通知書の発送の日から3か月以内に意見書を提出してくだ
さい。
理由
1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36
条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
2.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法
第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
3.(産業上の利用可能性)この出願の下記の請求項に係る発明は、下記の点で
特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受ける
ことができない。
4.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又
は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を
通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に
該当し、特許を受けることができない。
5.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又
は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を
通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技
術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたもので
あるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項 9-10、13-14
<物の発明に係る請求項にその物の製造方法が記載されている場合の明確性要件
について>
請求項9に係る発明は、「組成物」(物の発明)であるが、当該請求項には、
「請求項5~8のいずれか1項に記載の調製方法により調製される」という、そ
の物の製造方法が記載されているものと認められる。
ここで、物の発明に係る請求項にその物の製造方法が記載されている場合にお
いて、当該請求項の記載が特許法第36条第6項第2号にいう「発明が明確であ
ること」という要件に適合するといえるのは、出願時において当該物をその構造
又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないと
いう事情(「不可能・非実際的事情」)が存在するときに限られると解するのが
相当である(最二小判平成27年6月5日 平成24年(受)1204号、同2
658号)。
しかしながら、不可能・非実際的事情が存在することについて、明細書等に記
載がなく、また、出願人から主張・立証がされていないため、その存在を認める
理由は見いだせない。
したがって、請求項9に係る発明及びそれに従属する請求項10、13-14
に係る発明は明確でない。
<補正等の示唆>
出願人は、上記拒絶理由を解消するため、以下の対応をとることが考えられま
す。また、特許・実用新案審査ハンドブック第II部第2章2203~2205
も適宜参照してください。
ア.当該請求項の削除
イ.当該請求項に係る発明を、物を生産する方法の発明とする補正
ウ.当該請求項に係る発明を、製造方法を含まない物の発明とする補正
エ.不可能・非実際的事情についての意見書等による主張・立証
オ.当該請求項は、「その物の製造方法が記載されている場合」に該当しない
旨の反論
補正の際は、出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面(「当初明細書等」
)に記載した事項の範囲内で行う必要があることに留意してください。特に上記
ウにおいて単に製造方法の記載を削除する補正は、当初明細書等に記載した事項
の範囲内でないものになりやすいことに留意してください。
また、上記エの対応をする際には、「出願時において当該物をその構造又は特
性により直接特定すること」が不可能又はおよそ非実際的である事情を具体的に
記載してください。
なお、上記の補正等の示唆は、法律的効果を生じさせるものではなく、拒絶理
由を解消するための一案です。どのように補正、主張・立証を行うかは、出願人
が決定すべきものです。
●理由3(産業上の利用可能性)
・請求項 11-12、15
請求項11-12は、ヒアルロン酸組成物の活性成分吸収改善における使用方
法に係る発明であり、請求項15は、ヒアルロン酸組成物の製品分野における使
用方法に係る発明であるところ、明細書の段落59によれば、本願発明のヒアル
ロン酸組成物の使用には、医薬品、ゲル医療機器中の活性成分の吸収を促進し、
活性成分の経皮吸収率を高める方法が含まれるため、請求項11-12、15に
係る発明は、人の治療方法を含むものと認められる。
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