【拒絶理由で学ぶ】外用組成物、及び外用組成物におけるヘパリン類似物質の安定化方法【進歩性_化粧品のpH】

学ぶシリーズ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-59524(P2021-59524A)
(43)【公開日】令和3年4月15日(2021.4.15)
(54)【発明の名称】外用組成物、及び外用組成物におけるヘパリン類似物質の安定化方法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ヘパリン類似物質、並びに
(B)トラネキサム酸及びその塩、アシルアミノ酸、その誘導体及びそれらの塩、アルギニン、その誘導体及びそれらの塩、リジン、その誘導体及びそれらの塩からなる群より選択される1種以上のアミノ酸成分
を含有する、外用組成物。
【請求項2】
(B)アミノ酸成分において、アシルアミノ酸、その誘導体及びそれらの塩が、N-カプリロイルグリシン、N-デカノイル-L-プロリン、N-ステアロイル-L-グルタミン酸、N-ラウロイルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸、ラウロイル-ε-リジン、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)及びこれらの塩である、請求項1に記載の外用組成物。
【請求項3】
(B)アミノ酸成分が、トラネキサム酸、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、L-アルギニン及びL-リジンからなる群より選択される1種以上のアミノ酸成分である、請求項1又は2に記載の外用組成物。
【請求項4】
pHが6以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載の外用組成物。
【請求項5】
(A)ヘパリン類似物質、並びに
(B)トラネキサム酸及びその塩、アシルアミノ酸、その誘導体及びそれらの塩、アルギニン、その誘導体及びそれらの塩、リジン、その誘導体及びそれらの塩からなる群より選択される1種以上のアミノ酸成分
を配合することを特徴とする、外用組成物におけるヘパリン類似物質の安定化方法。

拒絶理由通知書

 特許出願の番号      特願2020-113948
 起案日          令和 6年 4月22日
 特許庁審査官       川嶋 宏毅        1777 4Z00
 特許出願人代理人     弁理士法人 津国 様
 適用条文         第29条第1項第3号(新規性)
              第29条第2項(進歩性)

 この出願は、次の理由によって拒絶をすべきものです。これについて意見が
ありましたら、この通知書の発送の日から60日以内に意見書を提出してくだ
さい。

                理由

1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又
は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を
通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に
該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又
は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を
通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技
術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたもので
あるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

     記   (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由2(進歩性)について

・請求項 4
・引用文献等 2-6
・備考

 引用文献2-4、6には、上記実施例に記載された外用組成物のpHの値が記
載されていない。また、引用文献5の上記実施例に記載された外用組成物は、p
Hの値が6以上ではない。
 しかしながら、引用文献5に記載されているように([0033])、皮膚等
に適用され得る外用組成物において、pHを5乃至7程度に調整することは、通
常行われている事項であると認められるから、引用文献2-6に記載され得た外
用組成物において、所望の特性を得る目的で、pHの値をそのような通常の範囲
において調整することは、当業者が容易になし得たことである。また、pHを6
以上とすることにより奏される効果について検討するに、本願明細書等には、ヘ
パリン類似物質及び製剤自体の安定性をより好適に向上し得る旨が記載されてい
るものの([0046])、本願明細書等の記載をみても、本願所定の(A)成
分と(B)成分とを含有し、かつpHを6以上とした外用組成物が、本願所定の
(A)成分と(B)成分とを含有し、かつpHを6未満とした組成物に比べて、
上記効果をどの程度良好に奏し得るのかが具体的に開示されているとは認められ
ないから、
当該分野における技術常識に照らしてみても、本願発明が引用発明に
比して格別な効果を奏し得るとは、直ちには認められない。
 したがって、本願請求項4に係る発明は、引用文献2-6に記載された発明、
及び引用文献5に記載された周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をする
ことができたものである。

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