商品で見る特許の第4弾です。
特許を見ることで、その企業の強みであったり、どのような研究に力を入れているかなどが見えてきます。
普段意識することはあまりないですが、私たちが目にする商品には特許がありふれています。
そんな特許を見ていこう、という企画です。
今回は、資生堂が特許をどのように活用しているか見ていきます。
ザ・コラーゲン <パウダー>
先日の資生堂のニュースリリースで特許が活用されていたので紹介します。
あなたの今日に、ハリあれ 毎日の食習慣に手軽に取り入れることが出来る ザ・コラーゲン <パウダー>
~2025年2月21日(金)発売~リリース全表示PDF[395KB]
資生堂は、コラーゲン市場売上No.1※1サプリメントブランド「ザ・コラーゲン」から、毎日の食生活に、手軽にキレイをプラスすることができる「ザ・コラーゲン <パウダー>」【全1品 参考小売価格2,300円(税込2,484円)*】を全国のドラッグストア、GMS、資生堂総合美容サイト「資生堂オンラインストア」などで2025 年2月21日(金)より発売します。
- 価格は参考小売価格です。(店舗によって異なる場合があります)
◆飲み物や食べ物に溶かして摂取できるパウダータイプ
◆毎日の食生活にキレイをプラス。コラーゲン特有の味・匂いを抑えて飲みやすい
◆資生堂独自のW美容特許※2成分を含む、7種の美容成分を配合
◆低分子フィッシュコラーゲン5,000mg、スーパー果実由来の美容特許成分(コケモモ+アムラ果実)に加え、トマト種子エキス、桜の花エキス、ヒアルロン酸、ビタミンCを手軽に取れる健康補助食品です※1 インテージSRI+コラーゲン市場(美容・健康ドリンク+栄養ドリンク+健康食品+その他健康食品市場)
2023年7月~2024年6月 メーカー別累計販売金額
※2 特許第4420358号:アムラ果実とコラーゲンペプチドなど配合成分の組み合わせによる美容についての特許
特許第4917180号:コケモモとアムラ果実など配合成分の組み合わせによる美容についての特許中略
ザ・コラーゲンに含まれる4大美容成分
◇吸収されやすさにこだわった「低分子コラーゲンペプチド」
きちんと補うため、吸収されやすさにこだわった低分子のフィッシュコラーゲンを配合。脂質など余分なものを取り除き、純度にもこだわりました。アムラ果実(後述)との組み合わせでは、美容に関する特許*も取得しています。
*【特許第4420358号】:アムラ果実とコラーゲンペプチドなど配合成分の組み合わせによる美容についての特許◇「コケモモ」
北極圏やカナダなど極寒の地で自生する、強い生命力あるスーパー果実です。ビタミン類やミネラル、ポリフェノールが豊富なため、北欧では健康美容目的で食されています。その「キレイを生み出す力」に着目しました。◇「アムラ果実」
インドや東南アジアなどに育つ植物です。インドでは神話に登場するほど古くから親しまれ、ビタミンCやポリフェノールが豊富なため、現代でも健康目的に食されているスーパー果実です。
300種の素材研究を重ねて辿り着いた「コケモモとアムラ果実」を組み合わせた独自の成分組合せにより美容特許*を取得した成分です。
*【特許第4917180号】:コケモモとアムラ果実など配合成分の組み合わせによる美容についての特許
*【特許第6397550号】:コケモモとアムラ果実など配合成分の組み合わせによる特許◇「トマト種子エキス」
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003947
花言葉は完成美。トマトの種子はリコペロサイドという成分を含み、美容効果の高さが注目されています。
美容特許成分「トマト種子エキス」*を配合しています。
*【特許第7026181号】:トマト種子エキスによる美容についての特許
特許第4420358号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アムラ(Phyllanthus emblica、またはEmblica officinale)の植物体またはその抽出物と、コラーゲンペプチドおよび/またはショウガ科マンゴージンジャー(Curcuma amada ROXB.)の植物体またはその抽出物を含むヒアルロン酸産生促進剤。特許第4917180号
【請求項1】
リンゴンベリー(Vaccinium vitis-idaea)とアムラ(Phyllanthus emblica又はEmblica officinale)の植物体又はその抽出物を含有することを特徴とする経口摂取用コラーゲン産生促進剤。
【請求項2】
請求項1に記載する経口摂取用コラーゲン産生促進剤を含有することを特徴とし、肌のはり、なめらかさ、しわ、及びほうれい線を改善することを目的とする経口摂取用肌改善剤。特許第6397550号
【請求項1】
リンゴンベリー(Vaccinium vitis-idaea)とアムラ(Phyllanthus emblica又はEmblica officinale)の植物体又はその抽出物を含有することを特徴とする、疲労、睡眠、むくみ、肩のこり、又は手足の冷えのいずれかを改善するための体質改善剤。特許第7026181号
【請求項1】
lycoperoside Aを含有するトマト種子の含水エタノール及び/又は含水メタノール抽出物を有効成分とする皮膚線維芽細胞におけるendo180遺伝子発現促進剤。
【請求項2】
請求項1の剤を有効成分とする皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン産生・取り込みサイクル正常化剤。
【請求項3】
lycoperoside Aを含有するトマト種子の含水エタノール及び/又は含水メタノール抽出物を有効成分とする皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン産生促進剤。
【請求項4】
lycoperoside Aを含有するトマト種子の含水エタノール及び/又は含水メタノール抽出物を有効成分とする皮膚線維芽細胞におけるECMサイクル正常化剤。
用途特許の活用の仕方について
商品から特許を見ることで、特許をどのように販促に活かしているかが見えてきますね。
商品のコンセプトに合う成分に関係する特許をスクリーニングしたら4成分がピックアップされた、という感じでしょうか。そして、その4成分の特許を「美容」で紐づけしたと。「美容に関する特許」はうまくぼかしてるな~というのが素直な感想です。
”皮膚線維芽細胞におけるendo180遺伝子発現促進” などの用途はかなり権利範囲狭そうですが、「美容に関する」に間違いはないですね。
特許第7026181号の活用の仕方はなるほどと。よく植物の特定成分に限定した特許ってあるんですけど、由来を請求項に記載しておけば販促に使いやすいですね。
例えば、「lycoperoside Aを有効成分とする皮膚線維芽細胞におけるendo180遺伝子発現促進剤。」と「lycoperoside Aを含有するトマト種子の含水エタノール及び/又は含水メタノール抽出物を有効成分とする皮膚線維芽細胞におけるendo180遺伝子発現促進剤。」があった場合、権利範囲が広いのは前者ですが、トマトエキスを配合した商品のアピールに使いやすいのは後者に感じました。前者でもいいけど、特許に「トマトエキス」って書いてある方が消費者目線での納得感が強いような。私だけかな?
一方で、特許第6397550号と「コケモモとアムラ果実など配合成分の組み合わせによる特許」としてるのは厳しいのでは??
”疲労、睡眠、むくみ、肩のこり、又は手足の冷え改善”の用途特許を、コケモモとアムラ果実など配合成分の組み合わせによる特許というのは正確ではないというか不誠実というか・・・。これも特許の活用の仕方の一種でしょうか。
今回はこんなところです。ご意見ご感想などあればぜひコメントよろしくおねがいします!
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