備忘録としてまとめたものです。内容には誤りがあるかもしれません。
■審査基準
(1) 特許請求の範囲の記載が「サポート要件」を満たすか否かの判断は、請求項に係る発明と、発明の詳細な説明に発明として記載されたものとを対比、検討してなされる。
(2)審査官は、この対比、検討に当たって、請求項に係る発明と、発明の詳細な説明に発明として記載されたものとの表現上の整合性にとらわれることなく、 実質的な対応関係について検討する。
(3) 審査官によるこの実質的な対応関係についての検討は、請求項に係る発明が、 発明の詳細な説明において「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えるものであるか否かを調べることによりなされる。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/document/index/02_0202bm.pdf
■サポート要件違反の類型
(1) 請求項に記載されている事項が、発明の詳細な説明中に記載も示唆もされていない場合
(2) 請求項及び発明の詳細な説明に記載された用語が不統一であり、その結果、 両者の対応関係が不明瞭となる場合
(3) 出願時の技術常識に照らしても、請求項に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない場合
(4) 請求項において、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することになる場合
■論理展開の基本構成
・発明の目的→目的達成には●●(成分や製造工程など)が必要→請求項では●●が特定されていない→発明の効果が達成されるか不明。
特願2020-186437 2024/4/24 拒絶理由通知
●理由1(サポート要件)について
・請求項1~6について
本願明細書の段落[0007]によると、本願発明の課題は、「鉄塩とアスコルビン酸ナトリウムとの変色が抑制された経口組成物及びその変色抑制方法を提供すること」であると認められる。
本願明細書の実施例では特定の(C)成分を用いることによって、組成物の変色を抑制していることが分かる。
一方、鉄塩とアスコルビン酸ナトリウムとの変色を、亜鉛化合物、マグネシウム化合物を含有させることによって上記課題を解決できるかについての作用機序は何ら記載されておらず、また、亜鉛化合物、マグネシウム化合物を含有させることと上記課題との関係自体が本願出願時の技術常識である、又は、上記関係を本願出願時の技術常識から当業者が合理的に理解できるものではない。
すなわち、本願明細書において、本願発明の課題を解決し得る根拠は実施例においてのみ得られるものといえる。
そうすると、実施例において記載された特定の化合物以外の(C)成分を用いた際に、上記課題が解決できることについては記載されておらず、また、自明であるとはいえず、本願出願時の技術常識であるともいえない。
よって、本願請求項1~6に記載された発明は、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものではないし、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものともいえないから、発明の詳細な説明に記載された発明であるとはいえない。
コメント