知財検定1級 2-1/3-1 契約

知財検定


初めに

本記事は知的財産管理技能協会が公開している試験科目及びその範囲の細目の資料と過去問を踏まえ、関係する資料をまとめたものです。過去試験の問題文やその解説をしているわけではありません。また、本記事に記載の情報が試験にでることを保証するものでもありません。試験情報が少ない中で、受験者の勉強した内容を記録したものであることをご理解ください。

本記事に記載する内容は引例元を記載するので、最新の情報を必ず参照してください。
国や地方公共団体、独立行政法人の報告書等は転載可ですので地の文に記載&最後に出展をまとめています。(国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができます(著32条2項)。)

試験の全体像はこちらにまとめています。

表1 試験科目及びその範囲 試験科目及びその範囲の細目 学 科 試 験 (2025年11月以降)

2 創造(調達)
2-1 契約
契約に関し、次に掲げる事項について専門的な知識を有すること。
(1)委託・共同研究契約
(2)関連契約
3 活用
3-1 契約
契約に関し、次に掲げる事項について専門的な知識を有すること。
(1)実施・利用許諾契約
(2)権利譲渡契約
(3)関連契約
https://www.kentei-info-ip-edu.org/library/pdf/saimoku01pat_g202511.pdf

知的財産契約の基礎知識

INPITが公開している情報をベースにまとめています。
参考:https://www.inpit.go.jp/katsuyo/ip-contract.html

民法 第二章 契約 第一節 総則 

第一款 契約の成立

(契約の締結及び内容の自由)
第五百二十一条 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
2 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。

(契約の成立と方式)
第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

(承諾の期間の定めのある申込み)
第五百二十三条 承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2 申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。

(遅延した承諾の効力)
第五百二十四条 申込者は、遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができる。

(承諾の期間の定めのない申込み)
第五百二十五条 承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2 対話者に対してした前項の申込みは、同項の規定にかかわらず、その対話が継続している間は、いつでも撤回することができる。
3 対話者に対してした第一項の申込みに対して対話が継続している間に申込者が承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。ただし、申込者が対話の終了後もその申込みが効力を失わない旨を表示したときは、この限りでない。

(申込者の死亡等)
第五百二十六条 申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、意思能力を有しない常況にある者となり、又は行為能力の制限を受けた場合において、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又はその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは、その効力を有しない。

(承諾の通知を必要としない場合における契約の成立時期)
第五百二十七条 申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する。

(申込みに変更を加えた承諾)
第五百二十八条 承諾者が、申込みに条件を付し、その他変更を加えてこれを承諾したときは、その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなす。

(懸賞広告)
第五百二十九条 ある行為をした者に一定の報酬を与える旨を広告した者(以下「懸賞広告者」という。)は、その行為をした者がその広告を知っていたかどうかにかかわらず、その者に対してその報酬を与える義務を負う。

(指定した行為をする期間の定めのある懸賞広告)
第五百二十九条の二 懸賞広告者は、その指定した行為をする期間を定めてした広告を撤回することができない。ただし、その広告において撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2 前項の広告は、その期間内に指定した行為を完了する者がないときは、その効力を失う。

(指定した行為をする期間の定めのない懸賞広告)
第五百二十九条の三 懸賞広告者は、その指定した行為を完了する者がない間は、その指定した行為をする期間を定めないでした広告を撤回することができる。ただし、その広告中に撤回をしない旨を表示したときは、この限りでない。

(懸賞広告の撤回の方法)
第五百三十条 前の広告と同一の方法による広告の撤回は、これを知らない者に対しても、その効力を有する。
2 広告の撤回は、前の広告と異なる方法によっても、することができる。ただし、その撤回は、これを知った者に対してのみ、その効力を有する。

(懸賞広告の報酬を受ける権利)
第五百三十一条 広告に定めた行為をした者が数人あるときは、最初にその行為をした者のみが報酬を受ける権利を有する。
2 数人が同時に前項の行為をした場合には、各自が等しい割合で報酬を受ける権利を有する。ただし、報酬がその性質上分割に適しないとき、又は広告において一人のみがこれを受けるものとしたときは、抽選でこれを受ける者を定める。
3 前二項の規定は、広告中にこれと異なる意思を表示したときは、適用しない。

(優等懸賞広告)
第五百三十二条 広告に定めた行為をした者が数人ある場合において、その優等者のみに報酬を与えるべきときは、その広告は、応募の期間を定めたときに限り、その効力を有する。
2 前項の場合において、応募者中いずれの者の行為が優等であるかは、広告中に定めた者が判定し、広告中に判定をする者を定めなかったときは懸賞広告者が判定する。
3 応募者は、前項の判定に対して異議を述べることができない。
4 前条第二項の規定は、数人の行為が同等と判定された場合について準用する。

第二款 契約の効力

(同時履行の抗弁)
第五百三十三条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。

第五百三十四条及び第五百三十五条 削除

(債務者の危険負担等)
第五百三十六条 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

(第三者のためにする契約)
第五百三十七条 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。
2 前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。
3 第一項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。

(第三者の権利の確定)
第五百三十八条 前条の規定により第三者の権利が発生した後は、当事者は、これを変更し、又は消滅させることができない。
2 前条の規定により第三者の権利が発生した後に、債務者がその第三者に対する債務を履行しない場合には、同条第一項の契約の相手方は、その第三者の承諾を得なければ、契約を解除することができない。

(債務者の抗弁)
第五百三十九条 債務者は、第五百三十七条第一項の契約に基づく抗弁をもって、その契約の利益を受ける第三者に対抗することができる。
第三款 契約上の地位の移転
第五百三十九条の二 契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転する。

第四款 契約の解除

(解除権の行使)
第五百四十条 契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。
2 前項の意思表示は、撤回することができない。

(催告による解除)
第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

(催告によらない解除)
第五百四十二条 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。

2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
一 債務の一部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

(債権者の責めに帰すべき事由による場合)
第五百四十三条 債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、前二条の規定による契約の解除をすることができない。

(解除権の不可分性)
第五百四十四条 当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる。
2 前項の場合において、解除権が当事者のうちの一人について消滅したときは、他の者についても消滅する。

(解除の効果)
第五百四十五条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
4 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。

(契約の解除と同時履行)
第五百四十六条 第五百三十三条の規定は、前条の場合について準用する。

(催告による解除権の消滅)
第五百四十七条 解除権の行使について期間の定めがないときは、相手方は、解除権を有する者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に解除をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その期間内に解除の通知を受けないときは、解除権は、消滅する。

(解除権者の故意による目的物の損傷等による解除権の消滅)
第五百四十八条 解除権を有する者が故意若しくは過失によって契約の目的物を著しく損傷し、若しくは返還することができなくなったとき、又は加工若しくは改造によってこれを他の種類の物に変えたときは、解除権は、消滅する。ただし、解除権を有する者がその解除権を有することを知らなかったときは、この限りでない。

民法 請負と委任

第九節 請負

(請負)
第六百三十二条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

(報酬の支払時期)
第六百三十三条 報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。

(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)
第六百三十四条 次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。
二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。

第六百三十五条 削除

(請負人の担保責任の制限)
第六百三十六条 請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第六百三十七条 前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
2 前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。
第六百三十八条から第六百四十条まで 削除

(注文者による契約の解除)
第六百四十一条 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。
(注文者についての破産手続の開始による解除)
第六百四十二条 注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。ただし、請負人による契約の解除については、仕事を完成した後は、この限りでない。
2 前項に規定する場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。
3 第一項の場合には、契約の解除によって生じた損害の賠償は、破産管財人が契約の解除をした場合における請負人に限り、請求することができる。この場合において、請負人は、その損害賠償について、破産財団の配当に加入する。

第十節 委任

(委任)
第六百四十三条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

(受任者の注意義務)
第六百四十四条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

(復受任者の選任等)
第六百四十四条の二 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
2 代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対して、その権限の範囲内において、受任者と同一の権利を有し、義務を負う。

(受任者による報告)
第六百四十五条 受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。

(受任者による受取物の引渡し等)
第六百四十六条 受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても、同様とする。
2 受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。

(受任者の金銭の消費についての責任)
第六百四十七条 受任者は、委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

(受任者の報酬)
第六百四十八条 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
2 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。
3 受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。
二 委任が履行の中途で終了したとき。

(成果等に対する報酬)
第六百四十八条の二 委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならない。
2 第六百三十四条の規定は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合について準用する。

(受任者による費用の前払請求)
第六百四十九条 委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。

(受任者による費用等の償還請求等)
第六百五十条 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
2 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
3 受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。

(委任の解除)
第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

(委任の解除の効力)
第六百五十二条 第六百二十条の規定は、委任について準用する。

(委任の終了事由)
第六百五十三条 委任は、次に掲げる事由によって終了する。
一 委任者又は受任者の死亡
二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
三 受任者が後見開始の審判を受けたこと。

(委任の終了後の処分)
第六百五十四条 委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。

(委任の終了の対抗要件)
第六百五十五条 委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。

(準委任)
第六百五十六条 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

契約に関する基礎知識

●契約書を作成する理由
①当事者を明確にする。
②取り決め内容を明確にする。
③後日の紛争を防止し、紛争が生じた場合の証拠とする。

法律で契約書の作成が義務付けられている特別なケースがある。例えば、保証契約については、民法第 446 条第 2 項で「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」と定められている。

●一般的な契約書の例

https://www.inpit.go.jp/content/100874698.pdf

●印の種類
・契印
2枚以上の紙が1つの文書として連続していることを示し、落丁や差替えを防ぐために押す印。各ページにまたがって押印する。

・割印
2者契約の場合、契約書は2通作成され、1通ずつ各当事者が保管する。この2つの契約書の同一性・関連性を証明するために、2つの文書に1個の印を半分ずつ押す印のこと。

・訂正印
文書を訂正したことを証明するために、訂正箇所の欄外に押す印のこと。

・止め印
文書末尾に余白が生じたときに、余白の悪用を防止するため、「以下余白」と記載する代わりに押す印のこと。

・消印
契約書に貼る収入印紙に契約当事者が押す印のこと。

・捨印
契約書等を作成する場合、記載の誤りを訂正する際の訂正印の代わりに契約書等の欄外に押印する。本来は、微細な誤記、誤字、脱字程度の訂正を認めるための押印だが訂正の範囲は限定されていない。
捺印したことは、相手に契約内容を全て一任したことと同等と見なされるおそれがあるので、極力押印することは避けるべき。

https://www.inpit.go.jp/content/100874698.pdf

●内容証明郵便の効力
内容証明郵便は送付された文書の内容、差出人及び受取人、差し出した日の日付が郵便局(日本郵便株式会社)により証明される。

●契約の成立タイミング
契約の当事者の意思が合致したときに成立。書面の有無は関係ない。口頭でも契約は成立する。

●契約を違反した場合
契約の相手方が契約不履行や契約条項に違反した場合は、履行の強制をすること、損害賠償を請求すること、契約の解除・解約を主張すること、の3つが可能。

●製造物責任法(PL法)
PL法によると、製造物(製品)に欠陥があり、それによって損害を受けたことを被害者が証明できれば、メーカーから損害賠償を受けることができる。

●秘密保持契約
秘密保持契約は、秘密にしている情報などが漏洩されるのを防ぐための必要最小限の取り決め。以下のような留意点がある。

①秘密保持の対象となる技術情報の特定
②技術情報の取扱い(秘密保持)
③技術情報の使用目的の特定(目的外使用の禁止)
④技術情報の使用結果の報告
⑤使用目的を達成した場合の次のステップへの移行
⑥秘密保持期間
⑦秘密保持期間終了後の技術情報の取扱い

●営業秘密と不正競争防止法の関係
営業秘密は、不正競争防止法に定められている知的財産。

●営業秘密の民事上の保護とは?
①差止請求権(3条)
営業上の利益が侵害され、又は侵害されるおそれが生じた場合に、侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。

②損害賠償請求権(4条;民法第415条)
「故意又は過失」により営業上の利益が侵害された場合、損害賠償を請求することができる。

民法第415条のポイント
債務不履行:債務者が約束や契約で定められた内容(債務の本旨)を守らなかった場合に適用される。
損害の発生:債務不履行によって実際に損害が発生している必要がある。
賠償請求権の発生:債権者は、債務不履行が原因で生じた損害について、その賠償を請求することができる。

③信用回復措置請求権(14条)
「故意又は過失」により信用を害された場合には、謝罪広告等の営業上の信用回復上、必要な措置を求めることができる。

●営業秘密の刑事上の適用とは?
①悪質な行為は刑事罰の対象 ・営業秘密の不正な取得・使用・開示のうち悪質な行為を行った者は刑事罰の対象となる。

②国外犯も刑事罰の対象 ・日本国内で管理されている営業秘密を、海外で不正な使用、開示する行為も刑事罰の対象となる。

③法人も処罰の対象 ・営業秘密の不正な取得・使用・開示行為についてそれを行なった行為者のみならず、その者が所属する法人も処罰の対象となる。

知的財産契約の基礎知識

参考:https://www.inpit.go.jp/katsuyo/ip-contract.html

契約の種類定義
秘密保持契約 ・情報交換・技術評価等の目的のため、未公開発明・技術ノウハウ等を開示するに当たり、その内容を第三者に開示・漏洩してはならないことを取り決める契約をいう。
サンプル提供契約 ・ライセンサーが製造・販売している製品のサンプルを第三者に見せることにより、サンプルを見せられた第三者がライセンスを受けるか否かを検討できるようにするための契約をいう。
試作品の製作契約 ・第三者に産業財産権に基づく試作品の製作を委託する契約をいう。
・また、開示を受けた側が自己又は第三者を介して評価するために試作品を製作するための契約をいう。
原料・部品・製品等の供給契約・産業財産権を使用している原料・部品・製品等を供給する契約をいう。
オプション契約・当事者の一方が相手方に対し、ある技術(特許等)の企業化の評価・検討に必要な情報、資料等を提供・使用させるとともに、オプション行使の期間内に当該技術につき実施許諾を受けるか否か、また相手方と共同研究を受けるか否かの選択権(オプション)を与える契約をいう。
共同研究・開発契約、研究委託契約・当事者双方が共同で新技術の研究開発をすることを目的とする契約をいう。
・また、当事者の一方が相手方に対して、新技術の研究開発を委託する契約をいう。
技術指導契約 ・当事者の一方が相手方に対して、ある技術の実施に必要な助言・指示・検討・相談・技術者の訓練などの役務を提供する契約をいう。
実施許諾契約(ライセンス契約)・当事者の一方が相手方に対して保有する産業財産権(出願中を含む。)を実施許諾(ライセンス)する契約をいう。
譲渡契約 ・権利者の産業財産権(出願中を含む。)を第三者に有償又は無償で移転することを目的とする契約をいう。
OEM契約 自社で生産した製品に相手方商標(ブランド)をつけて相手方に供給する契約をいう。
ノウハウ契約 ・産業財産権ではなく、ノウハウを実施許諾(ライセンス)の対象とする契約をいう。
共同出願契約 ・産業財産権を受ける権利の共有者が共同で出願を行うことを約する契約をいう。
不実施補償契約(共有特許実施契約)・共有特許において、一方の当事者が産業財産権を実施する場合に、実施しない他方の当事者に対価を支払う契約をいう。
クロスライセンス契約 ・複数の権利者の保有する産業財産権をお互いに等価とみなし、相手方の産業財産権を使用できる契約をいう。

●専用実施権と通常実施権

視点専用実施権通常実施権
ライセンサー権利者のみがライセンスできる。・権利者・専用実施権者いずれも通
常実施権をライセンスできる。ただし、専用実施権者による場合は、権利者の承諾が必要となる。
原簿への設定登録・設定登録により専用実施権と第三者対抗要件の効力が発生する。・特許・実用新案・意匠については
設定登録をしなくても第三者へ対抗できる(法定)。

・商標については設定登録により第三者対抗要件の効力が発生する。
第三者への請求・差止請求や損害賠償請求を行うことができる。・差止請求や損害賠償請求を行うことができない。(なお、独占的通常実施権者は、損害賠償請求権が認められる。)
ライセンサーの自己実施権の留保・ライセンサーは、専用実施権の設定範囲については実施ができない。・ライセンサーは、実施権設定後も自身で実施ができる。
ライセンス重複の可否<設定登録前>
・通常実施権を誰かにライセンスした後に、専用実施権を新たにライセンスすることはできる。
<設定登録後>
・専用実施権の設定後、その設定範囲については、専用実施権と通常実施権の別にかかわらず、ライセンスすることはできない。
・権利者は、非独占的通常実施権の許諾後、その許諾の範囲についても、専用実施権又は通常実施権をライセンスできる。
サブライセンス(再実施権)・権利者の承諾が必要となる。・権利者の承諾が必要となる。
・専用実施権についての通常実施権にあっては、権利者及び専用実施権者の承諾も必要となる。

●ロイヤリティの平均値

2-1(1)委託・共同研究契約

特許庁(https://www.jpo.go.jp/support/general/open-innovation-portal/)では公開されているひな形から一般条項を確認できる。

3-1(1)実施・利用許諾契約(ライセンス契約)

当事者の一方が相手方に対して保有する産業財産権(出願中を含む。)を実施許諾(ライセンス)する契約をいう。

https://www.jpo.go.jp/support/general/open-innovation-portal/document/index/license_chikujouari.pdf

禁止条項

第 ●条(禁止) 乙は、甲の書面等による事前の承諾を得た場合を除き、以下の各号に掲げる行為をしてはならない。
① 第三者(乙の関係会社を除く。)に前条に定める実施権および使用権を再許諾すること。
② 本契約に基づく権利を一部または全部を問わず第三者に譲渡、移転、担保設定、リース、貸与または共有等すること。

■債権の譲渡と債務の譲渡禁止条項
債権譲渡は民法466①で認められている。ライセンス支払い料請求権も債権なので譲渡可能。
契約書で譲渡禁止条項があったとしても、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、拒むことができない。

第●条(譲渡禁止)
甲および乙は、事前に相手方の書面による承諾がない限り、本契約により生じた契約上の地位を移転し、または本契約により生じた自己の権利義務の全部もしくは一部を、第三者に譲渡し、もしくは第三者の担保に供してはならない。

(債権の譲渡性)
第466条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
3 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
4 前項の規定は、債務者が債務を履行しない場合において、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者については、適用しない。

(譲渡制限の意思表示がされた債権に係る債務者の供託)
第466条の2 債務者は、譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地(債務の履行地が債権者の現在の住所により定まる場合にあっては、譲渡人の現在の住所を含む。次条において同じ。)の供託所に供託することができる。
2 (略)
3 (略)

参考文献

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