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「桑の葉」「キトサン」「茶花エキス」──カロリミットの成分を調べると、この3つが必ず出てくる。ただ、なぜこの3つなのか、それぞれ単独でよくないのかは、商品ページを見ているだけではわからない。特許公報を読んでいたら、面白いことが書いてあった。茶花エキスを単独で試したら「ほとんど効果がなかった」という記述がある。それでも3成分を組み合わせると話が変わる、と。
この特許、何を権利にしているのか
特許第6633173号(2019年12月登録、特許権者:株式会社ファンケル)は、発明の名称を「血糖値上昇抑制用、血中トリグリセライド上昇抑制用組成物」とするものです。
請求項(特許で権利を主張している範囲のこと)は大きく4つあります。
請求項1:茶花エキス、桑の葉エキス、キトサンの3成分を有効成分として含む組成物。
請求項2:茶花エキス乾燥物1質量部に対し、桑の葉エキス乾燥物2〜4質量部、キトサン1〜2質量部という配合比。
請求項3:食事摂取直前に飲用するための用途。
請求項4:茶花エキス乾燥物25〜500mg、桑の葉エキス乾燥物50〜1000mg、キトサン25〜1000mgという用量範囲。
つまり、3成分を組み合わせること自体と、その比率・用量まで権利の対象になっています。「同じような成分をなんとなく混ぜた」わけではなく、比率まで特定して特許を取っているところが肝心です。
3成分それぞれの働き──公報から見えてくること
公報【0003】には、桑の葉エキスとキトサンを組み合わせたダイエット食品は従来から知られていた、と書かれています。つまり、この2成分の組み合わせは先行技術として既にあった。では、茶花エキスを加えることにどんな意味があるのか。
桑の葉エキスについて
桑の葉はクワ科クワ属の植物の葉で、カイコのエサとして知られていますが、古くからお茶としても使われてきました(【0022】)。公報では「消化管内のα-グルコシダーゼを阻害してデンプンからグルコースへの分解を抑制する」と説明されています(【0003】)。
α-グルコシダーゼとは、食べたデンプンや砂糖を腸で分解して吸収できる糖にする酵素のことです。これを抑えると、糖が吸収されにくくなる、というしくみです。桑の葉に含まれるイミノシュガー(DNJ:デオキシノジリマイシン)がこの酵素を邪魔することで知られています。
キトサンについて
キトサンはカニやエビの甲羅から作られる多糖類(食物繊維の一種)です(【0024】)。公報によると「消化管内粘膜に粘着することで糖質の吸収を抑制する」ほか、α-グルコシダーゼ阻害作用もあるとされています(【0003】)。分子量が大きいほうが効果的とされており、公報では「平均分子量80万以上、回転粘度100mPa・s以上が好ましい」と書かれています(【0024】)。
この「平均分子量80万以上」という数値は見た目ではわからないところですが、製造コストに直結します。高分子量のキトサンを選定・精製することは、安価な原料をそのまま使うよりも手間がかかります。
茶花エキスについて
茶花とは、緑茶や紅茶の原料となる茶の木(カメリア・シネンシス)の花のことです(【0012】)。葉ではなく「花」の部分を使っている点が珍しい。公報には「茶花特有のフラボノイド配糖体が含有されており脂肪代謝に働きかける」という先行研究への言及があります(【0004】、【0005】)。
また、茶花エキスにはティーサポニンが含まれており、公報【0005】には膵リパーゼ活性阻害作用(脂肪を分解する酵素の働きを抑えること)や遊離脂肪酸産生抑制作用なども「公知」と書かれています。
面白いのはここからです。
ここが肝心──単独では効かなかった茶花エキスが、3成分で話が変わる理由
公報【0025】にこう書かれています。
「血糖上昇抑制作用が知られている茶花エキスについて本願発明者らが試験したところ、動物試験においては食後血糖上昇抑制作用を発揮しなかった」
つまり、先行研究では茶花エキスに作用があるとされていたのに、ファンケルの研究者が実際に単独で試したら効果が見られなかった、と公報に率直に書いてある。
それでも「茶花エキス、桑の葉エキス、キトサンの3成分を配合することで顕著に食後血糖上昇を抑制した」(【0025】)と続きます。
動物試験(ddyマウス、8週齢オス、40匹・5群)では、次の5グループで比較しています(【0030】)。
(1)コントロール(蒸留水5mL/kg)
(2)キトサン66.6mg/kg+桑の葉エキス(図中「クワ」と記載)133.44mg/kg
(3)茶花エキス(図中「チャカ」と記載)39.96mg/kg
(4)キトサン66.6mg/kg+桑の葉エキス133.44mg/kg+茶花エキス39.96mg/kg
(5)陽性対照(ポジコン) アカルボース10mg/kg
アカルボースは、炭水化物を分解する消化酵素を阻害する糖尿病の治療薬です。動物試験の比較対象として使われています(【0030】)。


グラフから読み取れるのは、Cの茶花単独がコントロール(A)とほぼ変わらない推移を示しているのに対し、Dの3成分がEのアカルボースと「ほぼ同様」の抑制を見せているという結果です(【0033】)。
AUC(Area Under the Curve:グラフの面積で糖の総吸収量を示す指標)でも同様の傾向が確認されています(【0034】、図3・図4)。


この結果だけだと「動物試験で」という話ですが、公報にはヒト臨床試験のデータもあります。
ヒト臨床試験の結果
ヒト臨床試験(1)では、20〜65歳の日本人成人男女40名を対象に、被験食とプラセボをクロスオーバー方式で摂取させています(【0035】〜【0041】)。クロスオーバー試験とは、同じ人が両方の条件を試すという試験設計で、個人差の影響を小さくできます。
試験の流れは「被験食を水150mLとともに摂取→10分後にサトウのごはん200g(糖質67.8g)を摂取→30・60・120分後に採血」というものです(【0040】)。


公報【0041】には「プラセボ摂取時に比べ被験食品摂取時のほうが、米飯負荷30分後・60分後の血糖値および120分後までのAUCが有意に低値であった。インスリンにおいても同様の結果であった」と書かれています。
ヒト臨床試験(2)では、脂質負荷試験も実施されており、「脂質負荷2・3・4・6時間後の血中トリグリセリド値および6時間後までのAUCが有意に低値であった」という結果が示されています(【0044】、図7)。トリグリセリドとは血中の中性脂肪のことです。

配合比と用量の確認
公報に書かれている配合の考え方は次のとおりです。
請求項2・【0025】:茶花エキス乾燥物1質量部に対し、桑の葉エキス乾燥物2〜4質量部、キトサン1〜2質量部。
動物試験で使われたヒト等価容量(体重53kgを基準)は【表1】に記載されており、キトサン100mg・桑の葉エキス乾燥物200mg・茶花エキス乾燥物60mgというのが試験の基準になっています(【0030】)。この比率は茶花:桑の葉:キトサン=1:3.3:1.67となり、請求項2の範囲内に収まっています。
また請求項4として、茶花エキス乾燥物25〜500mg、桑の葉エキス乾燥物50〜1000mg、キトサン25〜1000mgという用量幅も権利化されています。
各成分について少し補足
桑の葉エキスについては、消費者庁への届出に基づく機能性表示食品として「食後血糖値の上昇をおだやかにする」という機能表示が認められている製品が存在します。桑の葉イミノシュガーの機能性は、この届出のデータ蓄積からも裏付けが取られています。
キトサンについては、栄養機能食品の対象成分ではありませんが、特定保健用食品(トクホ)の関与成分として「コレステロールの吸収を抑える」という表示が認められた実績があります。
茶花エキスについては、ファンケルが長年研究を続けてきた成分で、葉ではなく「花」の部分を使っている点が独自性のひとつです。公報【0021】には「茶花エキス中に茶花サポニンを総サポニンとして1.5質量%以上含有するものが好ましい」という品質基準も書かれており、単に「花のエキス」を使えばいいというわけではなく、サポニンの含有量まで管理していることがわかります。
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「同じような成分が入っているサプリ、もっと安いのがあるのでは」と思う方もいるかもしれません。この公報を読んで気になったのは、配合の比率と、ヒト臨床試験まで踏んでいる点です。動物試験だけで終わっている食品成分が多い中、クロスオーバーデザイン(40名・交差試験)でヒトでの確認まで行い、それを特許公報として出してきている。そのコストは、安い類似品との差として価格に乗ってくる部分だと思います。
また茶花エキスについては、単体では動物試験で効果がほとんど見られなかったにもかかわらず、3成分組み合わせると結果が変わった、という公報上の記述がある。このあたりの配合設計は、他社が同じ組み合わせを使いにくくする意味合いも含めて、特許で押さえている、と読めます。
食事前に飲む、という使い方も請求項3に明示されています(「食事摂取直前に飲用するための」)。使い方まで特許の範囲に入っているのは、珍しいというほどではないのですが、「いつ飲むか」が技術の一部として認識されているということです。
※本製品は食品であり、疾病の治療・予防を目的とするものではありません。
おわりに
公報を読んで面白かったのは、茶花エキスが単独では効かなかったという記述が正直に書かれていたことです。「この成分が効く」という話ではなく、「この組み合わせでないと機能しない」という話として特許を取っている。それを知ってから、自分はカロリミットを選ぶ理由が少し整理された気がしています。炭水化物が多めの食事が続くときの選択肢として、参考にしてもらえれば幸いです。
参考:特許第6633173号(J-PlatPat)
ここまで読んでくれてありがとうございます。良かったと思ったらコーヒー代をちゃりんとください☕



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