サントリー セサミンEX の配合ロジックを特許から読み解く

■本記事はAmazonアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています。掲載している特許分析は執筆時点の公報に基づきます。

「ごま」から取れる成分なら、安いサプリで十分では?そう思って調べ始めたら、特許公報に面白いことが書かれていました。セサミンとビタミンEの組み合わせには、どちらか片方では出ない「相乗作用」が確認されているというのです。

この特許、何を権利にしているのか

特許第5794761号(サントリーホールディングス株式会社)は、「セサミン類及びビタミンEを有効成分とする抗疲労剤」に関する権利です。

ここで言う「請求項」とは、特許で「これが私の発明です」と宣言する部分のこと。請求項1をざっくり読むと、「セサミン類を1〜10重量%含み、セサミン類の総量1に対してビタミンEの総量を一定の割合で配合した抗疲労剤」という内容が書かれています。

気になるのは、「セサミン単体」や「ビタミンE単体」ではなく、「この2つの組み合わせと配合比率」が権利の中心になっているという点です。なぜ組み合わせなのか。その答えが実施例にあります。

セサミン類とビタミンE ── 公報から見えてくること

公報【0036】〜【0039】に実験の詳細が書かれています。

使われたのは、ストレス状態のマウスを使った「水浸断眠試験」という疲労モデルです。睡眠も十分な休息姿勢も取れない環境で2日間飼育したマウスに、尾に体重の8%相当のおもりをつけて泳がせ、鼻が水没するまでの時間(限界水泳時間)を測るというもの。この泳げる時間が長いほど、疲労に対する抵抗性が高いと判定されます。

実験は5つのグループで比較されました。

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公報【0039】の記述によると、結果は以下のように読み取れます。

群2(疲労対照)は群1(通常飼育)に比べて遊泳時間が短縮しました。ビタミンEを単独投与した群3では、遊泳時間の短縮抑制効果は認められなかった。セサミン/エピセサミン混合物を単独投与した群4では「少し」短縮抑制効果がみられた。ところが、両方を同時投与した群5では、群4と比較して短縮抑制効果が「顕著に増強」されていた、と書かれています。

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図1(公報10ページ)のグラフを見ると、縦軸が遊泳時間(秒)、横軸が群1〜5です。群1と群5の間に「*」印の有意差マーク(スチューデントt検定、危険率5%)が示されており、単独投与では見られなかった効果が組み合わせで表れていることが視覚的に確認できます。

用量・比率・組み合わせの確認

公報【0022】には配合比率について具体的な数字が書かれています。

セサミン類の総量1に対して、ビタミンEの総量を1〜30の割合(質量比)、好ましくは2〜15、さらに好ましくは8〜12の割合で配合する、とあります。

実施例で使われた用量はセサミン/エピセサミン混合物が5mg/kg、α-トコフェロールが50mg/kgで、質量比は1:10。これは「さらに好ましい」範囲(8〜12)のちょうど中心にあたります。

また公報【0031】には、ヒト(成人)への経口投与の目安として「セサミン類3〜60mg、ビタミンE40〜150mg程度を1日1〜3回」という記載もあります。

製剤例2(カプセル剤、公報【0041】〜【0042】)では、1粒360mgのソフトカプセルにセサミン3.5mg・ビタミンE35mgという比率が書かれていて、これも1:10の関係です。単なる「入れてみました」ではなく、実験で有効性が示された比率を製剤に落とし込んでいるという構造が見えてきます。

ここが肝心 ── 「単独では効果なし」の用量を組み合わせる設計

公報で面白いのは、ビタミンE(50mg/kg)を単独で投与した群3では効果が認められなかったという記述です(【0039】)。

つまりこの実験、「ビタミンEは単独では不十分な用量だった」状態で試しているわけです。それでも、セサミンと組み合わせることで群4(セサミン単独)を上回る結果が出た。

公報【0040】には「セサミン類とα-トコフェロールには相乗的な抗疲労作用があることが確認された」と書かれています。

「相乗作用」は特許の世界では重要な根拠になります。1+1が2ではなく3や4になるとき、それは「組み合わせそのものに価値がある」と主張できるからです。この特許が「セサミン単体」の特許ではなく「セサミン×ビタミンEの組み合わせと比率」の特許になっているのは、まさにここに理由があります。

もう一点、公報【0004】の記述も気になります。セサミン類はごま種子中に「0.1〜0.5質量%程度」しか含まれていない、とあります。ごまを毎日食べてセサミンを摂ろうとすると、数十グラム〜数百グラム単位が必要になる計算です。公報【0027】〜【0028】には、「ゴマ油をそのまま使うとセサミン含有量が低く、必要量を配合しようとすると錠剤・カプセルが大きくなりすぎる」という記述もあり、だからこそゴマ油からセサミンを高濃度に抽出・精製した素材を使う必要があると説明されています。安価な「ごまエキス」とはここが違います。

セサミンについて少し補足

セサミンEXは消費者庁への届出に基づく機能性表示食品(届出番号:A246)です。届出内容に基づき、「疲労感を軽減する機能」および「睡眠の質(眠りの深さ、起床時の疲労感・眠気)を高める機能」が表示されています。これは企業の自己申告ではなく、消費者庁への届出という公的な手続きを経た表示です。

ビタミンEは、栄養機能食品としての基準において「抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養素」として知られています。

サントリー セサミンEX について PR

「安いセサミンサプリと何が違うのか」というのが正直な疑問だと思います。公報を読んで分かったことを整理すると、価格差の根拠はいくつかあります。

一つは原料コストです。セサミンはごまの0.5%以下しか含まれない微量成分で、公報が言うように「90質量%以上まで濃縮・精製されたものが最適」とされています。この精製工程はシンプルではありません。

もう一つは配合設計の問題で、「セサミン:ビタミンE=1:10」という比率は実験で相乗作用が確認された比率に基づいています。セサミンだけ入れて「ごま成分配合」とうたう製品と、この比率を守って両方を入れている製品では、設計思想がそもそも異なります。

さらにサントリーは公報の記述からも分かるように、40年以上にわたってセサミンを研究してきた会社です。この特許の出願日は2007年で、長年の研究の蓄積の上に成立した権利です。

※本製品は食品であり、疾病の治療・予防を目的とするものではありません。

おわりに

公報を読む前は「セサミンとビタミンEを一緒に入れているのはよくあるマルチ配合では」と思っていましたが、「単独では効果が出なかった用量のビタミンEが、セサミンと組み合わさることで相乗作用を示した」という実験結果を見てから、受け取り方が変わりました。比率まで実験で裏付けられているのを確認してから、自分はこの製品を選ぶようになっています。疲れやすさや睡眠の浅さが気になっている方に、参考になれば幸いです。

参考:特許第5794761号(J-PlatPat)

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