■本記事はAmazonアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています。掲載している特許分析は執筆時点の公報に基づきます。
ウコンは体にいいと聞くけど、正直「それって本当?」と思ったことはないでしょうか。実は、特許公報を読んでいて、「ウコン単体では免疫への作用はほとんどない」という記述に出くわすことがあります。むしろウコンの面白さは「何かと組み合わせたとき」に現れる──そんな発見を、2025年12月に登録された最新の特許から紹介したいと思います。
この特許、何を権利にしているのか
特許第7790653号(ハウスウェルネスフーズ株式会社)は、「免疫機能を相乗的に増強する組成物」という名称で、2025年12月15日に登録されたばかりの新しい特許です。
権利の核心を一言で言うと、「ウコン抽出物が、乳酸菌(特にラクトバチルス・プランタラムL-137)の免疫賦活作用を向上させる」という組み合わせの発見を権利化したものです。
請求項(特許で守られる権利の範囲を記した部分)の1番に、こう書かれています。「ウコン抽出物を含有する、乳酸菌の免疫賦活作用向上用組成物」。そして、最も注目されているのが請求項3で、乳酸菌として「ラクトバチルス・プランタラムL-137」を特定した組成物として権利化されています。
L-137とは何か、と思う方もいるかもしれません。ラクトバチルス・プランタラムL-137は、ハウスウェルネスフーズが独自に保有する乳酸菌の菌株で、IPOD(製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター)に受託番号FERM BP-08607として登録されています。同社の「LC-プランタム137」などの製品に配合されている、いわば看板成分です。
ウコン抽出物とL-137の組み合わせ── 公報から見えてくること
【0006】には、この発見の経緯が書かれています。「驚くべきことに、ウコン抽出物単独では免疫賦活作用を有しないが、乳酸菌、好ましくは、ラクトバチルス・プランタラムL-137株の存在下において、ウコン抽出物が免疫賦活作用を向上させることを見出した」と。
研究者が「驚くべきこと」と書いているのが、読んでいてリアルだと思いました。常識を覆す発見だったということです。
実施例(試験例1)の実験内容を見ると、免疫細胞としてマクロファージ様細胞株J774.1を使用し、乳酸菌(L-137乾燥死菌体)の終濃度0〜50μg/mL、ウコン抽出物の終濃度0〜400μg/mLという設定で、免疫シグナルとなるサイトカインの一種「IL-12」(インターロイキン12。免疫系の連絡役となるタンパク質)の産生量を測定しています。
図1・図2に示されたデータが非常に興味深いものでした。


図1・図2から読み取れる数値を整理すると次のようになります。
ウコン単独では約0.1 ng/mL前後とほぼ変化なし、L-137単独(5μg/mL)でも1〜2 ng/mL程度なのに、両者を組み合わせた途端に数値が大きく跳ね上がっているのが読み取れます。L-137を50μg/mL、ウコン抽出物を100〜200μg/mL共存させると、最大で約193 ng/mL(図2より)というIL-12産生量が確認されたと公報に書かれています。
「相乗的に増強する」という言葉を公報で使っているのは、足し算ではなく掛け算に近い挙動が見られたからだと理解できます。
用量・比率・組み合わせの確認
この特許で権利化されている具体的な配合についても確認しておきます。
請求項7には、組成物全体に対するウコン抽出物の含有割合として「0.0001%〜95%」という広いレンジが記されています。請求項12では、乳酸菌(L-137)とウコン抽出物の含量比率が「1:1〜1:1000」と規定されており、【0022】にはより好ましい範囲として「1:(2.5〜400)」、さらに好ましくは「1:(2.5〜50)」と書かれています。
つまり、L-137の量に対してウコン抽出物を2.5〜50倍程度の比率で組み合わせることが、この特許の中核的な設計思想として示されています。
ウコン抽出物の抽出方法についても規定があり、請求項5および【0014】には「90℃以上の熱水抽出物」が好ましいとされています。低温ではなく高温の熱水で抽出することが条件のひとつです。ウコンに含まれるターメロノールA・B、ビサクロン、クルクミンなど複数の成分を含有する抽出物を使う点も公報(【0016】)に書かれています。
ここが肝心 ── 「ウコン単体では作用しない」という発見
もう少し立ち止まって考えてみると、この特許の本当の面白さは「ウコン単体では免疫賦活作用を持たない」という前提にあると思っています。
市場にはウコンを配合した健康食品や飲料が多数あります。多くの製品は「ウコンの力」というブランディングで、ウコン=体に働きかける素材というイメージが定着しています。ただ、この公報が示しているのは、IL-12の産生という文脈では、ウコン単体では顕著な作用は確認されず、あくまでも「特定の乳酸菌と組み合わせて初めて相乗効果が現れる」という話です。
これは「1+1=2ではなく、1+1=100になることがある」という話で、組み合わせることで初めて権利として成立するほどの発見があったということです。
試験例2(【0054】)では、L-137以外の乳酸菌、具体的にはラクトバチルス・プランタラムJCM1149株、ラクトバチルス・デルブルエッキー亜種ラクチスATCC7830株、エンテロコッカス・ヒラエATCC8043株でも同様の傾向が確認されており(乳酸菌終濃度50μg/mL)、L-137だけの現象ではなく、乳酸菌全般に通じる現象として捉えられている点も興味深いところです。
L-137について少し補足
ラクトバチルス・プランタラムL-137は、ハウスウェルネスフーズが長年研究してきた独自菌株です。消費者庁への機能性表示食品の届出も行われており、「乳酸菌L-137を配合した機能性表示食品においては、一時的な疲労感を緩和する機能、および免疫機能の維持をサポートする機能が届出に基づき表示されています」(届出表示の内容は各製品の表示を参照ください)。
IL-12(インターロイキン12)は、免疫系において自然免疫と獲得免疫をつなぐ重要なサイトカインです。Th1型免疫応答(細菌・ウイルス等への防御に関わるとされる免疫経路)を誘導するシグナルとして機能することが知られており、公報【0044】にも「IL-12、IFN-β及び/またはIFN-γの産生能が有意に、顕著に又は相乗的に高い場合などに、所望の免疫賦活作用向上効果を有すると判断出来る」と書かれています。
現状の製品とこの特許の位置づけ PR
現時点で「ウコン抽出物×L-137」を両方配合した製品は、少なくとも筆者が確認した範囲では市販されていません。この特許は2025年12月に登録されたばかりで、いわば「将来の商品開発の基盤」として読む性格のものです。
一方、ハウスウェルネスフーズはL-137を含む「LC-プランタム137」という製品を既に展開しており、ウコン系では「ウコンの力」というブランドも持っています。この特許を読んでいると、両者を統合する製品が今後登場してくる可能性を示唆しているように感じます。
現時点でL-137を摂りたいという方には、同社のLC-プランタム137(Amazonでも入手可能)が参考になります。
この特許で示されている配合ロジックを踏まえると、L-137単体の製品と比べて、将来的にウコン抽出物と組み合わせた製品が登場した場合、その設計に相応のコスト(高温熱水抽出によるウコン抽出物の製造、菌株との最適比率の管理など)がかかることは公報から推察できます。
※本製品は食品であり、疾病の治療・予防を目的とするものではありません。
おわりに
公報を読んでいて、「ウコン単体では作用しないが、L-137と組み合わせると相乗的に増強される」という一文に出会ったとき、素直に「へえ」と声が出ました。ウコンをただ飲んでいた人も、L-137を単体で使っていた人も、この組み合わせという視点はあまり意識していなかったのではないかと思います。公報を読んでから、どうせ摂るなら組み合わせの設計があるものを選びたいと思うようになりました。製品化の動向を、引き続き追いかけてみます。参考になれば幸いです。
参考:特許第7790653号(J-PlatPat)
気になったのは「乳酸菌対ウコン抽出物の好ましい比率が1:2.5〜50」という具体的な数字。これがそのまま製品設計の目安になるなら、将来出てくるかもしれない商品の配合量を逆算できるということになる。公報は未来の製品の設計図でもあるとあらためて思いました。
いいねと思ったらスキやコーヒー代をチャリンとください☕



コメント