知財検定1級 3-4 価値評価

知財検定


初めに

本記事は知的財産管理技能協会が公開している試験科目及びその範囲の細目の資料と過去問を踏まえ、関係する資料をまとめたものです。過去試験の問題文やその解説をしているわけではありません。また、本記事に記載の情報が試験にでることを保証するものでもありません。試験情報が少ない中で、受験者の勉強した内容を記録したものであることをご理解ください。

本記事に記載する内容は引例元を記載するので、最新の情報を必ず参照してください。
国や地方公共団体、独立行政法人の報告書等は転載可ですので地の文に記載&最後に出展をまとめています。(国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができます(著32条2項)。)

試験の全体像はこちらにまとめています。

表1 試験科目及びその範囲 試験科目及びその範囲の細目 学 科 試 験 (2025年11月以降)

3 活用
3-4 価値評価
権利の価値評価に関し、次に掲げる事項について専門的な知識を有すること。
(1)定量評価(価格算出を含む)
(2)定性評価
(3)権利の税務上の取り扱い
https://www.kentei-info-ip-edu.org/library/pdf/saimoku01pat_g202511.pdf

知的財産の価値評価について

定量的評価法

定量的評価:ある技術を譲渡する場合の対価額、ライセンスを行う場合のロイヤルティ額、さらには企業が保有する技術の経営資産としての価値といった、金額による評価。主に3つの方法がある。

原価法(コスト・アプローチ)

技術など当該資産を入手・開発するために要するコストをベースに評価額を設定する方法。

・歴史原価法(ヒストリカルコスト・アプローチ):
過去いくらのコストを要したかという観点から、過去の所要コストをベースとして評価する方法。

・置き換え原価法(リプレイスメントコスト・アプローチ):
現時点で当該資産を入手・開発するとした場合に、どれだけのコストを要するかという観点から金額を算定する方法。

メリット:
当該資産に対する投資金額あるいは当該資産を改めて調達する場合に要するコストがそのまま価値となるため、客観性が高く主観や恣意性が入りにくい。

デメリット:
投下した支出内容と経済的成果(将来成果を生み出した場合の価値増分)との関係が必ずしも明確でない。

取引事例比較法(マーケット・アプローチ)

当該資産が現に取引されている類似事例を参照し、そこで設定された取引価格をベースに評価する方法。

メリット:
第三者間の取引を通じた価格を評価額とすることから、客観性が高い。

デメリット:
特に知的財産権の場合は、類似する取引事例が存在しないことが多く、採用が困難なケースが少なくない。

収益還元法(インカム・アプローチ)

当該資産が事業活動などに用いられることによって生み出される収益(インカム)の規模をベースに評価する方法。

メリット:
その資産を実際活用することにより将来獲得される利益を評価の対象とすることから、価値概念に最も近い性格を持つ。

デメリット:
将来予測についての不確実性が伴うため、評価に際して使用した数値の信頼性や安定性の確保が重要と
なる。

インカム・アプローチの中にも、様々な評価法が存在する。ただ、いずれの方法を採るにしても、評価対象とする知的財産を用いる事業から得られる収益(インカム)をベースに評価するという点では共通している。

1.資産控除法(企業価値残価法)

  • 技術の価値={ 事業価値 -(金融資産価値+有形資産価値)} × 技術のウエイト

上記式の中の事業価値は、キャッシュフローの現在価値(ディスカウンティド・キャッシュフロー)を求め、それらの合計額として求められる。ディスカウンティド・キャッシュフローを算出して、事業価値などを求める評価方法は、「ディスカウンティド・キャッシュフロー法(DCF 法)」として、広く知られている。上記式の中の{ }で囲まれた部分が、無形資産の価値を示す。

評価対象企業が上場企業である場合は、株式時価総額を求めることで、無形資産を推計することができると考えられている。

無形資産時価額の推定値=株式時価総額-純資産簿価+無形資産簿価額
=(株式価格×発行株式数)-純資産簿価+無形資産簿価額

2.ルール・オブ・サム法

この評価法は、事業によって得られた収益のうち、おおよそ 25 パーセント程度が技術によって得られた価値に相当するという考え方に基づいたもの。この考え方は、実証的な分析に基づいて導かれた理論ではないが、米国におけるライセンス取引等の実務で、広く一般的に用いられる考え方。

事業において収益を獲得するまでには、研究開発段階、プロトタイプ製作段階、製品製造段階、そして販売段階という 4 つのステップを踏む必要があり、特許等の技術はそのうち、最初のステップである研究開発段階で開発されるものであり、そのため技術は全行程の中で生み出される価値の、四分の一を構成するというもの。

技術の価値=事業価値 × 25%

3.利益三分法

事業による利益(通常、営業利益で代理される)は、資本、経営力、技術の 3 つの要素から生み出され、これらの協働によるものとして、得られた利益額を三つに分けて、そのひとつを技術に帰属させるべきとする考え方。

技術の価値=事業(営業)利益 ÷ 3

4.リリーフ・フロム・ロイヤルティ法(ロイヤルティ免除法)

ある特許などの技術を自社で持っていない場合、それを外部からライセンスを受けて導入するとすれば、ロイヤルティの支払いが発生する。それに要するコスト(ロイヤルティ)が、その特許等の技術の価値に相当するという考え方。

技術の価値=売上高 × ロイヤルティ・レート

補足:リアルオプション法

資産が将来において実現する形について、バリュエーションのあるものととらえ、それらバリュエーションに対して資産の保有者(もしくは保有する予定の者)が選択権を有しているとして、その選択権の価値を評価する評価法。

リアルオプション法は、特定の公式に基づいて評価できる反面、評価に際しては原資産価格(いわば技術自体の市場価格)について、特別にデータを蓄積しておくことが必要となり、通常は専門コンサルティング会社のサポートを求めることが必要となる。

定性的評価

基本的なベースとなる基礎技術である、既存技術の単なる改良に過ぎない、など技術の性質に着目して行われる評価。例えば以下の評価方法がある。

クオリティ評価(質評価)

ビジネスモデルの質の段階的評価(S/A/B/Cのランク付けなど)をする。具体的には、保有資源・外部資源をどう活用するか等のビジネスモデルの実現の戦略を踏まえ、市場性、革新性、社会性等の観点から評価する。

インパクト評価(量的なイメージを掴むためのもの)

ビジネスモデルの量的イメージを掴むために、ビジネスモデルがどれだけのオーダーのインパクトを市場や自社に与えるかについて、投資額・リターン・持続期間等を組み合わせたレンジの評価(何桁規模なのかなど)をする。

知財の価値の評価を行う場面

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/torimatome/houkokusho.pdf から引用

お金が絡む場面では定量的な評価を、ビジネスに絡む場面では定性的な評価が必要とされる。

権利の税務上の取り扱い

無形固定資産とは、有形固定資産と違い物理的な形態を持たないが、1年を超えて利用される資産であり、特許権や借地権等の法律上の権利やソフトウェア、のれん(営業権)等がある。これらの無形固定資産は、資産計上後毎期均等額ずつ償却され、償却額を控除した残額が貸借対照表の無形固定資産の期末値となる。

減価償却とは、事業に使うための固定資産を購入した際に、資産の耐用年数に応じて分割で経費として計上する会計処理のこと。
例:200万円の機械や設備を購入し、その耐用年数が10年の場合、1年あたり20万円を経費として計上していく。
※主な資産の耐用年数は、「法定耐用年数」として定められている

減価償却には定額法(毎年一定額を償却する)、定率法(毎年一定率を償却する)、生産高比例法(購入した固定資産の使用度合い(生産高)に応じて、減価償却する)がある。特許権は定額法であり、また、耐用年数は、特許権8年、実用新案権5年、意匠権7年、商標権10年である。


減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第三 無形減価償却資産の耐用年数表
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=340M50000040015
「」によれば、特許権8年、実用新案権5年、意匠権7年、商標権10年である。

参考文献

特 許 庁(一社)発明協会アジア太平洋工業所有権センター 知的財産の価値評価について
https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/developing/training/textbook/document/index/Valuation_of_Intellectual_Property_JP.pdf

経済産業省 第 4 章 知的資産経営評価融資における価値評価方法(補論)
https://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/pdf/0409_4_dai4sho_kachihyokahouhou.pdf

知的財産戦略本部 検証・評価・企画委員会 知財のビジネス価値評価検討タスクフォース
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/torimatome/houkokusho.pdf

財務省 キーワードで見る法人企業統計
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/keyword/keyword_12.pdf

fundbook 減価償却の概要
https://fundbook.co.jp/column/business/depreciation/

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