【意見書で学ぶ】引用文献は適格性を欠く旨を主張して進歩性が認められた事例(1行記載など)

学ぶシリーズ


進歩性の判断フロー

進歩性有無の判断の仕方は特許庁が公開しています。

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/document/index/03_0202bm.pdf

チャートにしたら下のようになります。

小山特許事務所HPより引用

特許第7598664号

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】特許第7598664号(P7598664)
(24)【登録日】令和6年12月4日(2024.12.4)
(45)【発行日】令和6年12月12日(2024.12.12)
(54)【発明の名称】化粧用組成物、美容組成物、関節保護組成物、組成物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N-アセチルグルコサミンと、オオイタドリとを含有する関節若しくは軟骨の保護用又は維持用組成物
(ただし、以下の(A)~(D)を除く
(A)プロテオグリカン、N-アセチルグルコサミン、トゲドコロ及びオオイタドリを含有する組成物
(B)N-アセチルグルコサミン、オオイタドリ、コンドロイチン、ヒアルロン酸及びコラーゲンを含有する組成物
(C)非変性2型コラーゲン、ヒアルロン酸、N-アセチルグルコサミン、オオイタドリ及び筋骨草を含有する組成物
(D)N-アセチルグルコサミン、オオイタドリ及び筋骨草を含有するゼリー)。
【請求項2】
N-アセチルグルコサミンと、オオイタドリとを含有する美容組成物
(ただし、以下の(A)~(D)を除く
(A)プロテオグリカン、N-アセチルグルコサミン、トゲドコロ及びオオイタドリを含有する組成物
(B)N-アセチルグルコサミン、オオイタドリ、コンドロイチン、ヒアルロン酸及びコラーゲンを含有する組成物
(C)非変性2型コラーゲン、ヒアルロン酸、N-アセチルグルコサミン、オオイタドリ及び筋骨草を含有する組成物
(D)N-アセチルグルコサミン、オオイタドリ及び筋骨草を含有するゼリー)。
【請求項3】
N-アセチルグルコサミンと、オオイタドリとを含有する経口用組成物
(ただし、以下の(A)~(D)を除く
(A)プロテオグリカン、N-アセチルグルコサミン、トゲドコロ及びオオイタドリを含有する組成物
(B)N-アセチルグルコサミン、オオイタドリ、コンドロイチン、ヒアルロン酸及びコラーゲンを含有する組成物
(C)非変性2型コラーゲン、ヒアルロン酸、N-アセチルグルコサミン、オオイタドリ及び筋骨草を含有する組成物
(D)N-アセチルグルコサミン、オオイタドリ及び筋骨草を含有するゼリー)。

意見書(認められて特許査定)

P.1

【書類名】      意見書
【整理番号】     TSPJ1213
【提出日】      令和 6年 7月 2日
【あて先】      特許庁審査官 殿
【事件の表示】
  【出願番号】   特願2023- 10424
【特許出願人】
  【識別番号】   398028503
  【氏名又は名称】 株式会社東洋新薬
  【代表者】    服部 利光
【発送番号】     097633
【意見の内容】※抜粋

(2)引用文献9が引用文献としての適格性に欠くことについて
 審査官殿は、上述した引用文献9に基づき、オオイタドリとグルコサミンを含有する関節への高い効果を示す組成物が記載されていると認定されました。しかしながら、引用文献9は引用文献としての適格性に欠く文献ですので、以下に詳細を説明します。

まず、前提として、何ら裏付けのない医薬発明が刊行物に列挙されていたとしても、当該刊行物に医薬発明が記載されているとは認められません。このことは、貴庁の特許・実用新案審査ハンドブックに示されるとおりです。
[特許・実用新案審査ハンドブック 附属書B 第3章 医薬発明]
『・・・当業者が当該刊行物等の記載及び出願時の技術常識に基づいて、その化合物等を医薬用途に使用できることが明らかであるように当該刊行物等に記載されていない場合にも、当該刊行物等に医薬発明が記載されているとすることはできない。
 例えば、当該刊行物等に何ら裏付けされることなく医薬用途が単に列挙されている場合は、当業者がその化合物等を医薬用途に使用できることが明らかであるように当該刊行物等に記載されているとは認められない。したがって、当該刊行物等に医薬発明が記載されているとすることはできない。』(アンダーラインは出願人が付記) ここで、引用文献9には、『グルコサミンとの併用により、関節への高い効果が分かっています。』という記載があるに過ぎず、具体的な裏付けが一切開示されておりません。
このような一行記載に基づき、オオイタドリとグルコサミンを含有する関節への高い効果を示す組成物が引用文献9に開示されると認定されるのは、貴庁にて示されている審査の基準に反するものであり、著しく不当です。
 したがって、引用文献9を主引例として本願発明の進歩性を否定することは許されないと考えます。

列挙された成分は具体的に引用文献には開示されていないとして新規性及び進歩性を認めた判例 〔東京地方裁判所平成22年(ワ)第26341号〕

〔東京地方裁判所平成22年(ワ)第26341号〕
本件発明1は,(B)成分及び(D)成分につき,その種類を限定し,かつ,(C)成分につき,その炭素数を限定した上で,これらの(A)ないし(D)成分を必須成分として組み合わせることにより,争点(1)イに関する当裁判所の判断でみた本件発明1の作用効果(手や顔が濡れた環境下で使用できる,透明であり,かつ,使用感に優れた粘性を有した油性液状クレンジング用組成物を提供すること)を奏することができることを開示したものであるから,本件発明1と乙2の1発明が同一のものであるというためには,乙2の1文献に,本件発明1に係る上記作用効果を奏する油性液状クレンジング用組成物を得るため,(A)ないし(D)成分を必須の構成として組み合わせること及び(B)ないし(D)成分の種類等を上記のとおり限定したものとすることにつき開示があることを要するものであり,単に,実施例において,油性ゲル状クレンジングが含有する成分として,(A)ないし(D)成分に相当する物質が個別に開示されているのみでは足りないというべきである。したがって,被告の主張を採用することはできない。


油ゲル化剤として,本件発明1の(B)成分に該当する成分のほかに,種々の成分が列挙されているから,増粘に関する作用効果の点のみからみても,これらの種々の成分の中から,本件発明1の(B)成分に該当する成分のみを取り上げて必須成分とすることにつき,示唆又は動機付けはないものというべきである

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