特許出願は高すぎる?費用の内訳と賢く抑える方法

知財部の話

「特許を取りたいけど、費用がどれくらいかかるのか分からなくて一歩踏み出せない…」「特許出願費用って、なんだかすごく高そう…」

特許出願を検討している方の中には、このような悩みを抱えている方が多いのではないでしょうか。特許出願にかかる費用は、決して安くはありません。特許庁に支払う手数料(印紙代)だけでなく、弁理士に依頼する報酬も必要になります。

しかし、費用の内訳や仕組みを理解すれば、必要以上に恐れることはありません。むしろ、費用を抑えるための制度や方法を賢く活用することで、コストを最小限に抑えながら特許取得を目指すことも可能です。

この記事では、特許出願にかかる費用の解説します。具体的には、以下の内容について詳しくお伝えします。


1. 特許出願にかかる費用の全体像:自分でやる?プロに頼む?

特許出願にかかる費用は、大きく分けて**「自分で出願する場合」「弁理士に依頼する場合」**の2パターンがあります。それぞれの費用相場を見てみましょう。

メリットデメリット費用相場(全体)
自分で出願弁理士報酬が不要なため、費用を大幅に抑えられる。膨大な時間と労力が必要。専門知識が不足し、不備が生じやすい。特許取得の可能性が低い。数十万円〜
弁理士に依頼特許取得の可能性が飛躍的に高まる。時間や労力を大幅に節約できる。弁理士報酬がかかるため、費用が高くなる。50万円〜

自分で出願すれば弁理士報酬はかかりませんが、特許明細書などの書類は専門的な知識がなければ作成が非常に困難です。書類に不備があったり、先行技術調査が不十分だったりすると、せっかくの時間と労力が無駄になる可能性が高いです。

特許取得という目的を確実に達成するためには、弁理士に依頼することが最も賢明な選択と言えます。この記事では、弁理士に依頼することを前提に、費用の内訳を詳しく解説していきます。


2. 特許出願費用の内訳:4つの構成要素

弁理士に特許出願を依頼した場合の費用は、主に以下の4つの要素で構成されています。

  1. 特許庁に支払う手数料(印紙代)
  2. 弁理士の報酬
  3. 成功報酬(特許査定時)
  4. その他実費(翻訳料、出張費など)

それぞれの要素について、詳しく見ていきましょう。

2-1. 特許庁に支払う手数料(印紙代)

特許庁に支払う手数料は、特許法によって定められており、誰が出願しても金額は変わりません。ただし、手続きの段階によって支払いが必要になります。

  • 特許出願料: 出願時に支払う費用です。現在、14,000円です。
  • 出願審査請求料: 特許庁に特許審査を求める際に支払う費用です。この請求をしなければ、特許審査は開始されません。
    • 138,000円 + (請求項の数 × 4,000円)
    • この費用は、請求項の数(特許を求める範囲)によって変動します。請求項が10個の場合、138,000円 + (10 × 4,000円) = 178,000円となります。
  • 特許料(登録料): 特許査定後に、特許権を維持するために支払う費用です。
    • 年金とも呼ばれ、特許権を維持したい年数分を支払います。
    • 1年目から3年目までは一括で支払うのが一般的です。1年目〜3年目:(請求項の数 × 2,300円) × 3年分

これらの特許庁手数料は、後述する減免制度を適用することで、大幅に安くすることができます。

【豆知識】 特許庁手数料は、特許出願の各段階で支払う必要があります。特許出願料を支払っても、出願審査請求料を支払わなければ、特許審査は始まりません。特許は「権利」であるため、その権利が欲しい人が、その都度必要な費用を支払う仕組みになっています。

参考

産業財産権関係料金一覧 | 経済産業省 特許庁
産業財産権関係料金一覧

2-2. 弁理士の報酬

弁理士の報酬は、各特許事務所が自由に設定しています。そのため、事務所によって金額が大きく異なります。報酬の内訳は、主に以下のようになっています。

  • 特許出願書類作成料: 特許出願の核となる「特許明細書」や「特許請求の範囲」などの書類を作成するための費用です。
    • この書類の出来不出来が、特許取得の成否を左右すると言っても過言ではありません。
    • 費用相場: 30万円〜60万円
  • 中間処理費用: 出願後、特許庁の審査官から「拒絶理由通知」が届いた際に、その内容に対応するための費用です。
    • ほとんどの出願で1回は発生すると考えておいた方が良いでしょう。
    • 費用相場: 10万円〜20万円(意見書・手続補正書作成)
  • 特許査定後の費用: 特許査定後に、特許料の納付手続きなどを行う費用です。
    • 費用相場: 数万円

弁理士報酬は、特許事務所の規模や実績、依頼する技術分野の難易度などによって変動します。いくつかの特許事務所から見積もりを取って比較検討することをおすすめします。

2-3. 成功報酬(特許査定時)

特許事務所によっては、特許査定時に「成功報酬」として追加の報酬を請求するところもあります。これは、弁理士の頑張りに対して支払うボーナスのようなものです。

  • 費用相場: 10万円〜20万円

成功報酬の有無や金額は、契約前にしっかりと確認しておきましょう。

2-4. その他実費

上記以外にも、以下のような費用が発生する場合があります。

  • 先行技術調査費用: 出願前に、同じような発明がすでに存在しないかを調査する費用です。
  • 翻訳費用: 海外出願をする場合や、外国語の文献を調査する場合に発生します。
  • 出張費用: 弁理士が依頼者のもとへ訪問する際にかかる交通費など。

3. 費用を大幅に抑える「減免制度」を賢く活用!

特許出願の費用は高額になりがちですが、国が設けている「減免制度」を活用することで、特許庁に支払う手数料を大幅に安くすることができます。これは特に、個人事業主や中小企業にとって非常に心強い制度です。

3-1. 減免制度の対象者

以下のような方が減免制度の対象となります。

  • 小規模企業: 従業員が20人以下(卸売業、小売業、サービス業は5人以下)の法人や個人事業主
  • 中小企業: 資本金3億円以下、または従業員300人以下の法人
  • 大学、国立研究開発法人
  • 個人、その他

3-2. 減免される金額

減免制度を適用すると、特許庁手数料が1/2または1/3に軽減されます。

減免額対象
1/2に軽減出願審査請求料、特許料(年金)中小企業など
1/3に軽減出願審査請求料、特許料(年金)小規模企業など

例えば、小規模企業が請求項10個で出願した場合、出願審査請求料は以下のようになります。

  • 通常: 178,000円
  • 減免後: 178,000円 × 1/3 = 約59,333円

このように、減免制度を適用することで、特許出願にかかる費用を大きく削減できるのです。減免申請は弁理士に依頼すれば代行してもらえますので、必ず活用するようにしましょう。


4. 弁理士報酬を抑えるためのヒント

弁理士報酬は、特許事務所によって金額が大きく異なります。ここでは、弁理士報酬を抑えるための交渉術や、依頼する際の注意点をご紹介します。

4-1. 複数の特許事務所から見積もりを取る

特許事務所は、報酬体系が様々です。1つの事務所だけでなく、複数の事務所から見積もりを取り、比較検討することが重要です。

  • 見積もりの内訳をしっかり確認する: どのような作業にどれくらいの費用がかかるのか、具体的に確認しましょう。特に、中間処理費用や成功報酬の有無は要チェックです。
  • 直接面談でフィーリングを確かめる: 弁理士との相性は非常に重要です。面談を通して、あなたの話にしっかり耳を傾けてくれるか、信頼できる人柄かを見極めましょう。

4-2. 可能な作業は自分でやる

特許事務所に依頼する作業を、可能な範囲で自分で行うことで、報酬を抑えることができます。

  • 先行技術調査: 特許出願する前に、似たような発明がすでに存在しないかを、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)などで自分で調べておく。
  • 発明の詳細な説明書を作成する: 弁理士に発明内容を伝えるための資料を、できるだけ詳細にまとめておく。

これらの作業は、弁理士の作業時間を短縮することにつながり、結果として報酬が安くなる可能性があります。

4-3. 弁理士に特許出願後の費用についても相談する

特許は、出願時だけでなく、登録後も年金(特許料)を支払う必要があります。特許を何年間維持するのか、海外出願の可能性はあるかなど、将来的な費用についても弁理士としっかり話し合っておきましょう。


5. 知っておきたい「特許出願後の費用」と「海外出願費用」

最後に、特許出願後と海外出願にかかる費用についても簡単にご紹介します。

5-1. 特殊出願後の費用(特許年金)

特許は、登録後も特許庁に毎年「年金」を支払う必要があります。

  • 1年目〜3年目:(請求項の数 × 2,300円) × 3年分
  • 4年目以降:毎年、請求項の数に応じて金額が変動します。

特許は、特許権を維持したい年数分だけ費用を支払う仕組みです。事業の状況や市場の動向を鑑みて、本当に必要な特許だけを維持していくことが、コストを抑える上で重要になります。

5-2. 海外出願にかかる費用

海外で特許を取得したい場合、日本国内の出願とは別に費用がかかります。

  • 特許出願料: 各国の特許庁に支払う費用。
  • 現地代理人費用: 現地の弁理士に依頼するための費用。
  • 翻訳費用: 日本語の書類を現地の言語に翻訳する費用。

海外出願は、国内出願に比べて費用が大幅に高くなります。費用を抑えるためには、本当に必要な国だけに出願する、PCT出願(国際特許出願)を利用して段階的に出願する、などの戦略が重要になります。


まとめ:特許出願費用は「投資」と考える

この記事では、特許出願にかかる費用の内訳と、費用を抑えるための具体的な方法について解説しました。

特許出願費用は、一見すると高額に思えるかもしれません。しかし、それは単なる「経費」ではなく、「知的財産という無形資産への投資」と考えることができます。

特許を取得することで、あなたの発明は法的に保護され、競合他社との差別化を図ることができます。また、特許をライセンスすることで収益を得たり、企業の価値を高めたりすることも可能です。

費用に対する不安で一歩踏み出せない…という方は、ぜひ一度、弁理士に相談してみてください。無料相談を受け付けている特許事務所も多いです。あなたの発明が、未来のタコパをより楽しくするような素晴らしいものになることを、心から願っています!


【情報源(ソース)】

  • 特許庁「産業財産権関係料金一覧」
  • 特許庁「産業財産権に係る減免措置」
  • 日本弁理士会
  • その他、複数の特許事務所のウェブサイトを参照

【免責事項】 この記事で紹介している費用は一般的な目安であり、具体的な金額は出願内容や依頼する特許事務所によって変動します。また、法改正等により金額が変更になる可能性があります。正確な費用については、必ず弁理士にご相談の上、ご確認ください。

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