知財検定1級 5D-2 外国権利化

知財検定


初めに

本記事は知的財産管理技能協会が公開している試験科目及びその範囲の細目の資料と過去問を踏まえ、関係する資料をまとめたものです。過去試験の問題文やその解説をしているわけではありません。また、本記事に記載の情報が試験にでることを保証するものでもありません。試験情報が少ない中で、受験者の勉強した内容を記録したものであることをご理解ください。

本記事に記載する内容は引例元を記載するので、最新の情報を必ず参照してください。
国や地方公共団体、独立行政法人の報告書等は転載可ですので地の文に記載&最後に出展をまとめています。(国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができます(著32条2項)。)

試験の全体像はこちらにまとめています。

表1 試験科目及びその範囲 試験科目及びその範囲の細目 学 科 試 験 (2025年11月以降)

5 前各号に掲げる科目のほか次に掲げる科目
イ 特許専門業務
D-2 外国権利化
Ⅰ 外国特許権利化に関し、次に掲げる事項について専門的な知識を有すること。
(1)諸外国(米国、欧州、中国、韓国、インド等、以下同じ)の明細書(英文明細書を含む。)
(2)諸外国の意見書提出手続
(3)諸外国の補正手続
(4)諸外国の中間処理
(5)諸外国の権利取得のための争訟手続
(6)国際出願手続

Ⅱ 外国特許事務に関し、次に掲げる事項について専門的な知識を有すること。
(1)諸外国(米国、欧州、中国、韓国、インド等、以下同じ)の出願事務
(2)諸外国の期限管理
(3)諸外国の年金管理
https://www.kentei-info-ip-edu.org/library/pdf/saimoku01pat_g202511.pdf

米国特許法

試験範囲には外国権利化と書かれているが、第37回~49回試験では米国特許法4~5問+諸外国の特許法1問 くらいの感覚。つまり米国特許法を押さえておけば十分合格点を目指せる。

米国特許法の問題は国内実務だけでは見慣れない用語が多く出てくるが、出題範囲はそれほど広くない。過去問を集中的に回して穴を塞いでいくアプローチが効率がよさそうに感じた。

丸島敏一氏が公開している「米国特許実務ノート」が教材として非常に参考になる。本ページもこちらを参考にまとめています。
https://www.craft-ip.com/uspat/

制度の特徴

●コモンロー(判例法、英米法)
特許法に加え、連邦裁判所の判決にも法的拘束力がある。
⇆ 大陸法:ヨーロッパ諸国や日本はこっち。

●情報開示義務(IDS)
発明について知っている先行技術情報を提出する義務有。代理人も!
・知ってる情報は出せ、という感じ。IDSのために追加調査をすることまでは求められていない。また、提出した情報が「特許性判断に重要だと考えている」との容認とは解釈されない。

・提出する書類は文献のリストやコピー、非英語文献の英訳のコピーなど。関連性について簡潔な説明も必要。文献の翻訳文の提出までは要求されない

・提出の時期は複数あり、値段も変わる。
(出願日から3か月以内 or 最初の拒絶理由通知)の遅いほうまで → 無料
最終拒絶理由通知 or 許可通知 まで → 陳述書 or 提出料 のいずれか
特許庁納付前 → 陳述書&提出料

●出願の種類
仮出願と非仮出願がある。

A:仮出願
通常出願(非仮出願)の要件は満たさなくてもよい、簡易的な出願。1年以内に通常出願に移行できる
★通常出願と違い、クレーム、発明者宣言書、譲渡証は提出不要
★日本語でもOK
★記載の形式は問われないため、論文などをそのままでも非仮出願は可能。
★パリ条約の優先権の基礎OK
★情報開示義務(IDS)なし
★出願公開の対象外。本出願がなされたら公開される。仮出願は非公開の請求できない(そもそも公開されない)。

B:非仮出願

B-1 継続出願
先の出願が最終拒絶された場合に再審査させるための出願。分割に似ているが「再審査」。
★新規事項の追加はNG
★特許性の判断基準日や存続期間の起算日は先の出願

B-2:一部継続出願
先の出願に新規事項を追加した継続出願

B-3:分割出願
日本とおおむね同じ

●優先権主張出願(パリ条約)
他国でされた先の出願(第1国出願)をした後に優先権を伴って後の出願(第2国出願)をした場合に、第2国出願に対して第1国出願時に出願したのと同様の取扱いを認める権利。
そのために
(a)第1国出願が正規なものであること、
(b)第1国出願が最初の出願であること、
(c)第1国出願と第2国出願の内容に同一性があること、
(d)優先期間(12ヶ月)内に第2国出願を行うこと、
(e)第2国出願において優先権主張を行うこと、という条件を満たす必要あり

★先の出願の内容を証明するための優先権証明書は、日本出願を基礎とする場合には提出する必要はなし。
★優先権証明書の英語訳は、要求されない限り提出する必要なし。
★優先権主張の意思表示は、米国出願日から4ヶ月または最初の出願日から16ヶ月のいずれか遅いときまでにされる必要あり。

●限定要求
一つの出願中に2以上の独立した(independent)区別可能な(distinct)発明が含まれている場合に、審査官が出願人に対して発明を選択してクレームを限定するよう要求すること。審査官は、クレームをグループ分けして、何れかのグループを選択するよう要求する。
★限定要求を否認して再考を求めてもOK。だが審査官の心証は悪いし独立して区分できないという意思表示にもなる点が注意。

●選択要求
1つの出願に、1つの属(generic)クレームと、それに包含される複数の種(species)が含まれている場合に、属クレームが許可されない場合に、属クレームが許可できないと思われるとき、審査官が出願人に対して種を選択するよう要求するもの。

・審査の結果、上位概念の属クレームが特許可能となれば、選択した(種)グループ I だけでなく、選択しなかった(種)グループ II も再結合(rejoinder)され、特許可能となる。

https://www.jpaa.or.jp/cms/wp-content/uploads/2023/06/20221209-2.pdf

書類

●必須書類
明細書、図面、宣誓書または宣言書、出願料
出願日認定要件:明細書が特許庁に提出された日。
★クレームは出願日の認定に必須書類ではない。
★宣誓書又は宣言書、クレームは追加のお金を払うことで後出しが認められる。

<その他>
・要約をクレーム解釈に用いてはならないという規定はない。
・米国でした発明は最初に米国に出願しないとだめ。特許出願には外国出願の許可を求める請願書も含まれるとみなされる。

審査

最初の拒絶理由通知(first Office Action, non-final Office Action)

●補正(amendment)
明細書および図面を補正する際、新規事項(new matter)を追加する補正は認められない。
・クレーム以外への新規事項追加は、第132条の規定(35 U.S.C. 132)に違反するものとしてオブジェクションを受け、当該補正のキャンセルを要求される。これに不服な出願人は、請願書(petition)を提出できる。
・クレームへの新規事項追加はリジェクションを受ける。この場合は、拒絶査定に対して審判請求(appeal)できる。
・新規事項を追加しない補正は、新規争点(new issue)を提起するような補正をすることは可能

●応答期間(time period for reply)
原則3ヶ月。方式的拒絶理由しか含まれていない場合は2ヶ月。
当初の設定期間を含めて合計6ヶ月まで延長(extension of time)できる。

●インタビュー(interviews)
継続出願等を除き、通常は拒絶通知後に設けられる。
拒絶通知前にインタビューを要求すると、先行技術の提出を求められる場合あり。
インタビューは応答の代わりにはならない。

最終拒絶理由通知(final Office Action)

1st OAの応答で許可可能にならない場合に通知される。新規争点(new issue)を含む補正は不可。

★権利として補正できるわけではない。審査官が認めなければ自由に補正することはできない。
★特許可能となるような補正は認められる。
 拒絶されたクレームを削除するような補正や、拒絶通知において指摘された要求に従った形式の整合などはOK。
★審判のためにより良い形式にする補正は認められる可能性がある。
★最終拒絶通知の後の実体的な補正については、その補正の必要性および以前にその補正を提示できなかったことの良好かつ十分な理由を示すことにより、認められる場合がある。

アドバイザリーアクション(意見通知(advisory action))

最終拒絶通知に対する応答の後、拒絶が解消していないと審査官が判断すると、審査官は出願人に対して意見通知(advisory action)を発行する。
※拒絶査定に似ているが、拒絶査定という制度はない

★補正が受け入れられなかった場合、その発明について審査を受けたいときには、継続出願するとともに3ヶ月以内に予備補正(preliminary amendment)を行うことにより、または、RCEをすると同時に補正を行うことにより、新規争点について審査官にサーチをさせることができる。

★一部のクレームだけが拒絶され、残りのクレームにより権利化を希望する場合には、拒絶されたクレームを削除する補正をすることができる。

★拒絶されたクレームについてさらに権利化を図ることを希望する場合には、その拒絶されたクレームについて継続出願を行うことができる。

★拒絶をした審査官の判断に不服な場合には、審判請求(appeal)をして審判官の判断を仰ぐことができる。

●応答期限(time period for reply)
延長料を支払ったとしても最終拒絶通知から6ヶ月以内に何らかの対応をしなければ出願は放棄されたものとみなされる。
→意見通知を待たずにRCEや審判請求をしておく必要あり。
※「最終拒絶理由通知~意見書等による反論~意見通知~RCEや審判請求などの対応」を6か月内に行う

継続審査要求(RCE)

出願することなく拒絶の最終状態(finality)を解消するために行われる手続のこと。
・RCEは最終状態を解消するために行われる手続なので、分割出願や一部継続出願の代用としては利用できない。
・仮出願や、再審査中の特許については、RCEをすることはできない。
・再発行出願においてはRCEを利用することができる

時期
出願の審査手続が終了した後であって、以下の何れかのうち最も早い時まで。
(1) 発行料が支払われた時(発行の取下げ(37 CFR 1.313)が認められた場合を除く)
(2) 出願の放棄がされた時
(3) 審決に対する連邦控訴裁判所(CAFC)への訴状提出時または民事訴訟の開始時

許可通知(notice of allowance)

 最終的に審査官が特許すべきものと判断した場合、許可通知(notice of allowance)が郵送される。
 この正式な許可通知に加えて、許可可能通知(notice of allowability)も郵送される。この許可可能通知において正式図面の提出が求められた場合には、許可可能通知の郵送日から3ヶ月以内に提出しなければいけない。

 審査官は、クレームを許可する際に審査官の補正(examiner’s amendment)を付することができる。誤字や脱字等の軽微な誤り、参照符号の訂正をするもの。

 また、審査官は、クレームを許可する際に許可理由(reasons for allowance)を付することができる。これに対し、出願人はその許可理由に対する見解を述べる陳述書(statement)を提出することができるが、提出しなくても、許可理由を受け入れたことにはならない(MPEP §1302.14 V.)。

Application for Reissue patent(再発行特許出願)

既に発行された特許の内容の変更を求めて再度の特許処分を求める特許出願。特許の全体又は一部が、過誤により、機能しない(inoperative)とき、或いは、有効でないときには、特許庁長官は、新しくかつ補正された特許出願-再発行特許出願-に応じて、オリジナルの特許で開示された発明に対して、特許を再発行することができる。

再発行特許出願が行われると、これに対して再度の審査が行われる。通常の特許出願と同じように、新規性・進歩性も審査される(今岡特許事務所の専門用語一覧より引用)。

★原出願から2年以内であれば範囲拡張も可。新規事項追加はNG。

いわゆる異議申し立てや無効審判に相当する制度

●査定系再審査
何人も、いかなる時も請求可能。請求の理由は先行特許は又は刊行物による、新規性の欠如又は非自明性の欠如のみ。
中央再審査部(×審判官合議体)が審査する。

●特許付与後レビュー
特許付与 or 再発行から9か月内。匿名OK。
記載要件、新規性、非自明性、特許適格性を含む無効理由OK。
審判官合議体の決定に対して上訴可能。

●当事者系レビュー
特許発行後9か月内 or 付与後レビュー後。実名(利害関係人のみ請求可)。
特許・刊行物に基づく無効理由(新規性、非自明性のみ)。
審判官合議体の決定に対して上訴可能。

EPC(欧州特許制度)

欧州特許制度についてはWeb上の情報だけで勉強するのは困難、書籍を購入して理解を深める必要がある。

とはいえ、特許事務所が制度を解説していることもあり参考となる。

■創英国際特許法律事務所
EPCの基礎知識を3回にわたり解説している。

[特許/欧州] 欧州単一特許制度の基礎知識(1) - 創英国際特許法律事務所
はじめに  欧州において40年以上に亘って議論されてきた欧州単一特許制度の開始が、ようやく現実のものとなろうとしています。2022年1月18日、オーストリアが「統一特許裁判所協定(UPCA)の暫定適用に関する議定書(PP

参考文献

米国特許実務ノート
https://www.craft-ip.com/uspat

青山特許事務所
https://www.aoyamapat.gr.jp/contents/corporate/aocpcd/wp-content/uploads/2018/04/%EF%BC%92%EF%BC%90%EF%BC%91%EF%BC%91%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%80%80%E7%A7%8B%E5%B1%B1%E4%BF%A1%E5%BD%A6.pdf

今岡特許事務所
http://imaokapat.biz/__HPB_Recycled/yougo501-600/yougo_detail571.html

https://www.jpaa.or.jp/cms/wp-content/uploads/2023/06/20221209-2.pdf
米国特許実務ノート [米国特許実務ノート]

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