知財検定1級 5B 管理 B-1 法務

知財検定


初めに

本記事は知的財産管理技能協会が公開している試験科目及びその範囲の細目の資料と過去問を踏まえ、関係する資料をまとめたものです。過去試験の問題文やその解説をしているわけではありません。また、本記事に記載の情報が試験にでることを保証するものでもありません。試験情報が少ない中で、受験者の勉強した内容を記録したものであることをご理解ください。

本記事に記載する内容は引例元を記載するので、最新の情報を必ず参照してください。
国や地方公共団体、独立行政法人の報告書等は転載可ですので地の文に記載&最後に出展をまとめています。(国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができます(著32条2項)。)

試験の全体像はこちらにまとめています。

表1 試験科目及びその範囲 試験科目及びその範囲の細目 学 科 試 験 (2025年11月以降)

B 管理
B-1 法務
法務に関し、次に掲げる事項について専門的な知識を有すること。
(1)営業秘密管理
(2)特許関連社内規定(営業秘密管理に関するものを除く)
https://www.kentei-info-ip-edu.org/library/pdf/saimoku01pat_g202511.pdf

営業秘密管理

○(不正競争防止法の位置付け)
 不正競争防止法は、他人の技術開発、商品開発等の成果を冒用する行為等を不正競争として禁止している。具体的には、ブランド表示の盗用、形態模倣商品の提供等とともに、営業秘密の不正取得・使用・開示行為等を差止め等の対象としており、不法行為法の特則として位置付けられるものである。

○(不正競争防止法における営業秘密の定義)
 不正競争防止法第2条第6項は、営業秘密を
①秘密として管理されている[秘密管理性
②生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報[有用性] であって、
③公然と知られていないもの[非公知性
と定義しており、この三要件全てを満たすことが法に基づく保護を受けるために必要となる。

秘密管理性

秘密管理性要件の趣旨:
企業が秘密として管理しようとする対象(情報の範囲)が従業員や役員、取引相手先などに対して明確化されることによって、従業員等の予見可能性、ひいては、経済活動の安定性を確保することにある。

秘密管理措置の程度:
秘密管理性要件が満たされるためには、営業秘密保有者の秘密管理意思が秘密管理措置によって従業員等に対して明確に示され、当該秘密管理意思に対する従業員等の認識可能性が確保される必要がある。
具体的に必要な秘密管理措置の内容・程度は、企業の規模、業態、従業員等の職務、情報の性質その他の事情の如何によって異なるものであり、企業における営業秘密の管理単位における従業員等がそれを一般的に、かつ容易に認識できる程度のものである必要がある。

☆秘密管理性要件が満たされるためには、営業秘密保有者が当該情報を秘密であると単に主観的に認識しているだけでは不十分。従業員等に対して明確に示され、従業員等が容易に認識できる(認識可能性がある)ことが必要。秘密管理措置の対象者たる従業員において当該情報が秘密であって、一般情報とは取扱いが異なるべきという規範意識が生じる程度の取組(管理措置)であることがポイントとなる。。

秘密管理措置の具体的な内容・程度:
営業秘密に接する従業員の多寡、業態、従業員の職務、情報の性質(重要性)、執務室の状況その他の事情によって異なる。

例:当該営業秘密保有者にとって重要な情報であり、当然に秘密として管理しなければならないことが従業員にとって明らかな場合には、そうした従業員の認識を活用した管理が許されて然るべきであり、会社のパソコン等へログインするための IDやパスワードなどにより秘密情報へのアクセスが制限されているといった程度の技術的な管理措置や、就業規則や誓約書において当該情報の漏えいを禁止しているといった規範的な管理措置で足りる場合もある。

例: 当該媒体に接触する者の限定に関して、従業員ごとに厳密に業務の必要性を考慮した上で限定することまでは求められるものではなく、業務上の必要性等から特定の部署で広くアクセス権限が付与されていたとしても、特定の従業員に限定されていたことに変わりはないと考えられる。

例:営業秘密に合法的かつ現実的に接しうる従業員が少数である場合において、状況によっては当該従業員間で口頭により「秘密情報であること」の確認をしている等の措置で足りる場合もあり得る。

留意事項:
・情報に対する秘密管理措置がその実効性を失い「形骸化」した状況で、従業員が企業の秘密管理意思を認識できない場合は、適切な秘密管理措置とはいえない。
個人情報保護法で保護される個人情報については、同法で漏えい対策を含む安全管理義務が保有企業に対して義務づけられており、それが従業員にとっても明らかであり、かつ、一般情報との区別も外見上明確であることから、その他の情報に比べて、秘密管理性が認められる可能性が高いものと考えられる。

有用性

「有用性」が認められるためには、その情報が客観的にみて、事業活動にとって有用であることが必要。一方、企業の反社会的な行為などの公序良俗に反する内容の情報は、「有用性」が認められない。

過去に失敗した研究データ(当該情報を利用して研究開発費用を節約できる)や、製品の欠陥情報(欠陥製品を検知するための精度の高い AI 技術26を利用したソフトウェアの開発には重要な情報)等のいわゆるネガティブ・インフォメーションにも有用性は認められる

なお、有用性の要件の判断に際しては、当該情報を不正に取得した者がそれを有効に活用できるかどうかにより左右されない。また、当業者であれば、公知の情報を組み合わせることによって容易に当該営業秘密を作出することができる場合であっても、有用性が失われることはない(特許制度における「進歩性」概念とは無関係)。

非公知性

「公然と知られていない」状態:
「公然と知られていない」状態とは、当該営業秘密が一般的に知られた状態になっていない状態、又は容易に知ることができない状態。

例:当該情報が合理的な努力の範囲内で入手可能な刊行物に記載されていない、公開情報や一般に入手可能な商品等から容易に推測・分析されない等、営業秘密保有者の管理下以外では一般的に入手できない状態。

「公然知られた発明」(特許法第29条第1項第1号)との関係:
営業秘密における非公知性要件は、発明の新規性の判断における「公然知られた発明」(特許法第29条第1項第1号)の解釈と一致するわけではない。特許法の解釈では、特定の者しか当該情報を知らない場合であっても当該者に守秘義務がない場合は特許法上の公知となりうるが、営業秘密における非公知性では、特定の者が事実上秘密を維持していれば、なお非公知と考えることができる場合がある。また、営業秘密保有者以外の第三者が同種の営業秘密を独立に開発した場合、当該第三者が秘密として管理していれば、なお非公知である。

外国の刊行物に過去に記載されていたような状況:
当該情報が実は外国の刊行物に過去に記載されていたような状況であっても、当該情報の管理地においてその事実が知られておらず、その取得に時間的・資金的に相当のコストを要する場合には、非公知性はなお認められうる。

ダークウェブに公表された場合:
第三者からのハッキング等により営業秘密が、ダークウェブに公表されたとしても、その一事をもって直ちに非公知性が喪失するわけではない。

公知情報の組み合わせ:
「営業秘密」とは、様々な知見を組み合わせて一つの情報を構成していることが通常であるが、ある情報の断片が様々な刊行物に掲載されており、その断片を集めてきた場合、当該営業秘密たる情報に近い情報が再構成され得るからといって、そのことをもって直ちに非公知性が否定されるわけではない。なぜなら、その断片に反する情報等も複数あり得る中、どの情報をどう組み合わせるかといったこと自体に価値がある場合は、営業秘密たり得るから。

複数の情報の総体としての情報については、組み合わせの容易性、取得に要する時間や資金等のコスト等を考慮し、保有者の管理下以外で一般的に入手できるかどうかによって判断することになる。
例えば、公知情報の組み合わせであっても、その組み合わせが知られていなかったり容易に知り得ないため、財産的価値が失われていない場合には非公知と言いうる。また、仮に公知情報の組み合わせであって、その組み合わせが知られていたり容易であったりしたとしても、取得に要する時間や資金的コストがかかるため財産的価値があるという場合には非公知と言いうる。

進歩性(特許法第29条第2項)との関係:
不正競争防止法が営業秘密を保護する趣旨は、進歩性のある特別な情報を保護することにあるのではないから、当該情報が非公知の情報といえるための要件として「予想外の特別に優れた作用効果」を生じさせるものであることまでは要しない。

リバースエンジニアリング:
リバースエンジニアリングによって営業秘密を抽出できる場合、抽出可能性の難易度の差によって判断がわかれる。具体的には、誰でもごく簡単に製品を解析することによって営業秘密を取得できるような場合には、当該製品を市販したことによって営業秘密自体を公開したに等しいと考えられることから、非公知性を喪失すると考えられる。これに対し、特殊な技術をもって相当な期間が必要であり、誰でも容易に当該営業秘密を知ることができない場合には、当該製品を市販したことをもって非公知性を喪失するとはならない。

営業秘密と秘密情報

混同しないように注意。
営業秘密は不競法での保護対象で、秘密管理性・有用性・非公知性を備えた情報のこと。秘密情報は秘密保持契約書などでお互いに不必要に開示しないなどと定義した情報。

営業秘密として管理すべき情報か否かは事業者により異なる。また、管理方法も事業者により異なる。

☆営業秘密の管理手順
まずは自社の強みとなる情報資産を洗い出し、営業秘密として管理する情報を特定する。その情報を重要度の度合いに応じた適切な管理ルールを設定する。社内に秘密情報やその管理方法を周知徹底する。

特許関連社内規定(営業秘密管理に関するものを除く)

+α:先使用権

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参考文献

経産省 営業秘密管理指針(令和7年3月改訂版)、秘密情報の保護ハンドブック ~企業価値向上にむけて~(令和6年2月改訂版)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html

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