進歩性の判断フロー
進歩性有無の判断の仕方は特許庁が公開しています。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/document/index/03_0202bm.pdf
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特許第6446874号 粉末とエキス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】特許第6446874号(P6446874)
(24)【登録日】平成30年12月14日(2018.12.14)
(45)【発行日】平成31年1月9日(2019.1.9)
(54)【発明の名称】固形製剤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランタゴ・オバタ種皮とキジツ末、コウボク末、マシニン末、コショウ末及びダイオウ末から選ばれる1種以上を含む固形製剤。
【請求項2】
顆粒剤である、請求項1に記載の固形製剤。
拒絶理由通知書
特許出願の番号 特願2014-144648
起案日 平成30年 3月14日
特許庁審査官 鶴見 秀紀 8415 4C00
特許出願人 大正製薬株式会社 様
適用条文 第29条第1項、第29条第2項
この出願は、次の理由によって拒絶をすべきものです。これについて意見がありましたら、この通知書の発送の日から60日以内に意見書を提出してください。
理由
1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(新規性),理由2(進歩性)について
・請求項1
・引用文献等1
・備考1
引用文献1(SUMMARY参照)には、プランタゴ・オバタ種皮(サイリウムハスク)と、ショウキョウ末あるいはカンキョウ末(ジンジャーパウダー)を含有する固形製剤と認められるクッキーが記載されているので、請求項1に係る発明は、引用文献1に記載されているものと認める。
また、引用文献1記載のジンジャーパウダーをショウキョウ末あるいはカンキョウ末とすることは、当業者であれば容易に為し得ることと認める。
●理由2(進歩性)について
・請求項1,2
・引用文献等2
・備考2
引用文献2(成分分量参照)には、プランタゴ・オバタ種皮とダイオウエキスを含有する便秘薬が記載されている。
引用文献2には、ダイオウがダイオウ末であることは記載されていない。
しかしながら、同様な効果を得るために、ダイオウエキスをダイオウ末とすることは、当業者によれば必要に応じ適宜為し得る程度のことである。
かつ、上記便秘薬を顆粒剤とすることも、当業者によれば必要に応じ適宜為し得る程度のことである。
したがって、請求項1,2に係る発明は、引用文献2記載の技術に基づいて、当業者であれば容易に為し得ることと認める。
<引用文献等一覧>
1.Advances in Food Sciences,2006年,Vol.28,No.2,pp.74-78
2.ファイバコートα説明書,2012年12月
(注)法律又は契約等の制限により、提示した非特許文献の一部又は全てが送付されない場合があります。
意見書(認められて特許査定)
【書類名】 意見書
【整理番号】 00NS-P4901
【あて先】 特許庁審査官 鶴見 秀紀 殿
【事件の表示】
【出願番号】 特願2014-144648
【特許出願人】
【識別番号】 000002819
【氏名又は名称】 大正製薬株式会社
【代表者】 上原茂
【発送番号】 117816
【意見の内容】
1.審査官殿は本出願についての拒絶理由通知書において、特許法第29条第1項第3号(理由1)、及び、特許法第29条第2項(理由2)の規定により特許を受けることができないと認定されています。
これに対し出願人は、本意見書と同日に手続補正書を提出し、本願の特許請求の範囲を以下のとおりに補正を行うと共に意見を述べます。
2.補正の内容
出願人は特許請求の範囲を以下のように補正致しました。
[請求項1]
プランタゴ・オバタ種皮とキジツ末、コウボク末、マシニン末、コショウ末及びダイオウ末から選ばれる1種以上を含む固形製剤。
[請求項2]
顆粒剤である、請求項1に記載の固形製剤。
具体的には、補正前の請求項1のショウキョウ末及びカンキョウ末を削除しました。
従って、当該補正は何ら新規事項を追加するものではなく、適法なものであります。
3.拒絶理由に対する意見
(1)理由1について
審査官殿は、「引用文献1には、プランタゴ・オバタ種皮(サイリウムハスク)と、ショウキョウ末あるいはカンキョウ末(ジンジャーパウダー)を含有する固形製剤と認められるクッキーが記載されているので、請求項1に係る発明は、引用文献1に記載されているものと認める。また、引用文献1記載のジンジャーパウダーをショウキョウ末あるいはカンキョウ末とすることは、当業者であれば容易に為し得ることと認める。」と認定されております。
これに対し出願人は、上記補正により、引用文献1に記載のショウキョウ末及びカンキョウ末を削除しました。よって拒絶理由は解消したと思料致します。
(2)理由2について
審査官殿は、「引用文献2には、プランタゴ・オバタ種皮とダイオウエキス含有する便秘薬が記載されている。引用文献2には、ダイオウがダイオウ末であることは記載されていない。しかしながら、同様な効果を得るためにダイオウエキスをダイオウ末とすることは、当業者によれば必要に応じて適宜為し得る程度のことである。かつ、上記便秘薬を顆粒剤とすることも、当業者によれば必要に応じ適宜為し得る程度のことである。したがって、請求項1、2に係る発明は、引用文献2記載の技術に基づいて、当業者であれば容易に為し得ることと認める。」と認定されております。
これに対し、出願人は以下に意見を述べます。
本願発明は、生薬や賦形剤と共に製剤化した際に生じるプランタゴ・オバタ種皮の膨潤性低下の課題に対して、特定の生薬末を配合することによりこれを改善したものであります。
審査官殿は、「同様な効果を得るためにダイオウエキスをダイオウ末とすることは、当業者によれば必要に応じて適宜為し得る程度のことである。」と述べられております。
しかしながら、日本薬局方第16改正 製剤総則 [3]生薬関連製剤 1.エキス剤(URL:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/JP16.pdf)に、「エキス剤は、適切な大きさとした生薬に適切な浸出剤を加え、一定時間冷浸、温浸、・・・により浸出し、浸出液をろ過し、適切な方法で濃縮又は乾燥する。軟エキス剤は水あめ様の稠度とし、乾燥エキスは砕くことができる固塊、粒状又は粉末とする。」と記載されているように、生薬エキスは、浸出液を水あめ状に濃縮したもの、もしくは浸出液を乾燥したものであります。
一方、生薬末は、日本薬局方第16改正 生薬総則に、「粉末生薬は、全形又は切断生薬を粗末、中末、細末又は微末としたものであり、通例、細末としたものについて医薬品各条に規定する。」と記載されているように、生薬そのものを粉砕し、粉末化したものであります。
したがって、ダイオウエキスとダイオウ末は、薬理作用的には同様な効果を有しますが、それらの性状は全く異なるものであります。よって当業者であれば、ダイオウエキス及びダイオウ末をそれぞれ固形製剤とした場合、製剤設計上異なる性質を示すであろうと考えるのが一般的であると思料致します。
してみれば、本願発明の課題であるプランタゴ・オバタ種皮の膨潤性低下という製剤設計上の課題に対し、同様の効果を期待して、ダイオウエキスをダイオウ末に替えることは、当業者は到底想起し得ないと思料致します。
よって、補正後の請求項1は進歩性を有しております。なお、請求項2は請求項1の従属項であることからやはり進歩性を有しております。よって拒絶理由は解消したと思料致します。
4.むすび
審査官殿ご指摘の拒絶理由は全て解消したと思料致しますので、特許査定を賜りたくお願い申し上げます。
以上
特許7424606 種子と葉、セレンとセレン含有酵母など
【請求項1】
松樹皮抽出物と、セラミド含有米抽出物、及びセレン含有酵母から選ばれる少なくとも1種の素材とを含有することを特徴とする美容組成物(ただし、セラミド及びコラーゲントリペプチドを含有する液体飲料、並びに、セレンを含有する消耗性フィルム組成物を除く)。
【請求項2】
松樹皮抽出物と、カモミール、セイヨウサンザシ、ドグダミ及びブドウ葉からなる混合ハーブ抽出物とを含有することを特徴とする経口用美容組成物。
意見書(認められて特許査定)
【書類名】 意見書
【整理番号】 TSPJ0990
【提出日】 令和 5年 9月28日
【あて先】 特許庁審査官 殿
【事件の表示】
【出願番号】 特願2019-180774
【特許出願人】
【識別番号】 398028503
【氏名又は名称】 株式会社東洋新薬
【代理人】
【識別番号】 100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】 ▲高▼津 一也
【発送番号】 312277
【意見の内容】
1.拒絶理由について
審査官殿は、令和5年6月19日起案の拒絶理由通知書により、本願が次の理由により拒絶をすべきものである旨通知されました。
『 理由
1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
3.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・・・省略・・・
2.意見理由
以下、拒絶理由の点につき、本意見書と同日付で提出した補正書により補正された特許請求の範囲に基づき、意見を申し述べます。
2-1 本願発明
(1)補正後の本願発明(以下「本発明」という)
本発明は、特許請求の範囲に記載された以下の事項により特定されるものです。
[請求項1]
松樹皮抽出物と、セラミド含有米抽出物、及びセレン含有酵母から選ばれる少なくとも1種の素材とを含有することを特徴とする美容組成物(ただし、セラミド及びコラーゲントリペプチドを含有する液体飲料、並びに、セレンを含有する消耗性フィルム組成物を除く)。
[請求項2]
松樹皮抽出物と、カモミール、セイヨウサンザシ、ドグダミ及びブドウ葉からなる混合ハーブ抽出物とを含有することを特徴とする経口用美容組成物。
(2)補正の内容
新請求項1において、「松樹皮」を「松樹皮抽出物」に限定し、「セラミド」を「セラミド含有米抽出物」に限定し、「セレン」を「セレン含有酵母」に限定しました。なお、「ハーブ」は、別途、新請求項2において特定しました。かかる補正は、本件明細書の段落[0013]、[0030]、[0031]、[0056]等の記載に依拠するものであり、新規事項を追加するものではありません。
また、引用文献2及び6に基づき、いわゆる除くクレームにより、所定の組成物を除きました。かかる補正は、新たな技術的事項を導入するものではなく、新規事項を追加するものではありません。
また、新請求項2において、旧請求項1の「ハーブ」について特定し、「ハーブ」を「カモミール、セイヨウサンザシ、ドグダミ及びブドウ葉からなる混合ハーブ抽出物」に限定しました。また、「松樹皮」を「松樹皮抽出物」に限定しました。かかる補正は、本件明細書の段落[0013]、[0023]、[0056]等の記載に依拠するものであり、新規事項を追加するものではありません。また、旧請求項3に基づき、「経口用」に限定しました。
2-2 意見
(1)理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
1)引用文献1について
上記のように、今般の補正により、本発明の組成物において、「松樹皮抽出物」と共に含有する成分である「ハーブ」を、「カモミール、セイヨウサンザシ、ドグダミ及びブドウ葉からなる混合ハーブ抽出物」に限定しました。
これに対して、引用文献1には、松樹皮エキスと共に含有する成分として「ブドウ種子」しか開示されておりませんので、引用文献1の商品において、上記本発明の「混合ハーブ抽出物」を配合することは、容易に想到できないものと思料します。特に「ブドウ種子」と「ブドウ葉」は、部位が異なり、その含有成分が異なることは明らかですので、引用文献1の商品において、「ブドウ種子」を「ブドウ葉」に置き換える動機付けがないことも明らかです。
また、本発明は、松樹皮抽出物と混合ハーブ抽出物とを組み合わせることにより、DPPHラジカル消去活性が相乗的に向上するものであり(図1参照)、このような効果は当業者といえども予期できるものではありません。
したがって、本発明は、引用文献1からみて、新規性及び進歩性を有するものです。
・・・省略・・・
3)引用文献3について
上記のように、今般の補正により、本発明の組成物において、「松樹皮抽出物」と共に含有する成分である「セレン」を、「セレン含有酵母」に限定しました。
引用文献3の組成物は、a)有機カルシウム及び松樹皮の乾燥抽出物を含むベースマトリックスを含んでなるものであり(請求項1)、この有機カルシウムの一例であるリソサムニウム種由来の有機カルシウムに、70超のミネラルが含まれ、そのミネラルの1つにセレンが含まれています(段落[0025]、[0026])。
したがって、引用文献3の組成物においては、そもそもセレンを含有させる意図があるわけではありません。
一方、本発明の組成物においては、上記のように「セレン含有酵母」といった特殊な形態のものが含まれます。
したがって、引用文献3の有機カルシウムにたまたま含まれる「セレン」の記載から、引用文献3の組成物において、「セレン含有酵母」を用いようとする動機付けはないものと思料します。
また、本発明は、松樹皮抽出物とセレン含有酵母とを組み合わせることにより、DPPHラジカル消去活性が相乗的に向上するものであり(図3参照)、このような効果は当業者といえども予期できるものではありません。
したがって、本発明は、引用文献3からみて、新規性及び進歩性を有するものです。
4)引用文献4について
上記のように、今般の補正により、本発明の組成物において、「松樹皮抽出物」と共に含有する成分である「セラミド」を、「セラミド含有米抽出物」に限定しました。
引用文献4には、松樹皮抽出物と、大豆セラミド抽出物とを含有する発泡性皮膚外用剤が開示されていますが、引用文献4の発明においては、大豆セラミド抽出物が必須成分となっており(請求項1等)、この「大豆セラミド抽出物」を「セラミド含有米抽出物」に変更する動機付けがないことは明らかであると思料します。
また、本発明は、松樹皮抽出物とセラミド含有米抽出物とを組み合わせることにより、DPPHラジカル消去活性が相乗的に向上するものであり(図2参照)、このような効果は当業者といえども予期できるものではありません。
したがって、本発明は、引用文献4からみて、新規性及び進歩性を有するものです。
5)引用文献5について
引用文献5は、旧請求項1の「ハーブ」に関する発明に対する引用文献ですが、この引用文献5に基づいて、旧請求項3の「経口用(美容組成物)」は拒絶されておりません。
一方、「ハーブ」に関する新請求項2では、「ハーブ」を「カモミール、セイヨウサンザシ、ドグダミ及びブドウ葉からなる混合ハーブ抽出物」に限定すると共に、「経口用」に限定いたしました。
上記のように、旧請求項3の「経口用」については、引用文献5に基づく拒絶理由が指摘されていないものですので、この旧請求項3の発明特定事項を組み入れた新請求項2の発明が拒絶理由を有しないことは明らかです。
6)引用文献6について
上記のように、今般の補正により、本発明の組成物において、「セレンを含有する消耗性フィルム組成物」を除きました。
引用文献6の発明は、消耗性フィルム組成物であることを最大の特徴(必須の構成要件)とするものです(請求項1等)。したがって、引用文献6の発明において、消耗性フィルム組成物でない形態とした場合には、引用文献6の発明の目的を十分に達成する(効果を奏する)ことができませんので、引用文献6の発明において、消耗性フィルム組成物以外の形態とすることは考えられず、消耗性フィルム組成物以外の形態とすることに対しては阻害要因があります。
したがって、引用文献6の発明から、消耗性フィルム組成物を含まない本発明を容易に想到できないことは明らかです。
また、本発明は、松樹皮抽出物とセレン含有酵母を組み合わせることにより、DPPHラジカル消去活性が相乗的に向上するものであり(図3参照)、このような効果は当業者といえども予期できるものではありません。
したがって、本発明は、引用文献6からみて、新規性及び進歩性を有するものです。
・・・省略・・・
3.以上のとおりでありますから、再度ご審査の上、特許をすべき旨の査定を賜りますようお願い申し上げます。
以上





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