身近なヒット商品の裏側に隠された知財戦略を紐解く「商品で見る特許」シリーズ第2弾! 今回は、飲み会の強い味方であるハウスウェルネスフーズの「ウコンの力 超MAX」を取り上げます。
コンビニやスーパーの棚で圧倒的な存在感を放つ本商品ですが、実は競合他社が簡単には真似できない「非常に強力な特許」によって守られているのをご存知でしょうか? 知財や研究開発に携わる方にとって、「特許で競合をブロックする」ための素晴らしいお手本となる事例ですので、ぜひ最後までご覧ください。
「ウコンの力 超MAX」の商品特徴:シリーズ最多の健康成分
まずは商品の特徴をおさらいしましょう。
・商品名:ウコンの力 超MAX
・メーカー:ハウスウェルネスフーズ
・メーカーHP:https://www.house-wf.co.jp/products/detail.php?cd=088778
<商品情報>
ハウスウェルネスフーズ公式HPより引用
3種のウコンエキス(秋・紫・春)を配合し、1本当たり秋ウコン由来の健康成分であるビサクロンはシリーズ最多量の600μgを含有。これまでのウコンの力を超えるウコンの成分を凝縮したウコンエキスドリンクです。
ここで注目すべき最大のキーワードは、秋ウコン由来の健康成分である「ビサクロン」です。これが本商品の肝であり、特許戦略の要(かなめ)となっています。
他社を寄せ付けない!ハウス食品の「ビサクロン」特許
「ウコンの力 超MAX」を保護していると考えられる特許を確認してみましょう。ハウス食品グループ本社が出願・権利化している、以下の特許が該当します。
【特許情報】
- 特許番号: 特許第5543656号
- 発行日: 2014年7月9日
- 発明の名称: ウコン中の有用成分を含有する組成物
- 特許権者: ハウス食品グループ本社株式会社
【特許請求の範囲(抜粋)】
【請求項1】 経口摂取される組成物であって、一回の経口摂取量当たり、ビサクロンを0.5mg以上含有する組成物。
【請求項4】 飲食品又は医薬品である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】 ビサクロンを有効成分として、一回の経口摂取量当たり、ビサクロンを0.5mg以上含有する、二日酔いの症状の抑制剤。
ひとりごと:シンプルゆえに恐ろしい「数値限定特許」
知財の実務担当者としてこの特許を読んだ率直な感想は、**「めちゃくちゃ強い(範囲が広い)特許だな…!」**という一言に尽きます。
最大のポイントは、請求項1の**「一回の経口摂取量当たり、ビサクロンを0.5mg以上含有する」**という非常にシンプルな数値限定のみで権利化されている点です。特殊な製造方法や、他の成分との複雑な組み合わせ(配合比率など)による限定が入っていません。
ビサクロンは、ウコンそのものに含有される成分です。もし競合他社が「ウコンの力 超MAX」に対抗しようと、健康効果を謳うためにウコンエキスをたっぷり配合した高濃度飲料を開発したとします。 その結果、製品内に自然と「0.5mg以上のビサクロン」が含まれてしまった場合、配合の意図にかかわらず、この特許に抵触してしまうリスクが極めて高くなります。
つまり、この特許が存在する限り、他社は「ウコン成分を極限まで高めた上位互換商品(=結果的にビサクロンが0.5mgを超えてしまう商品)」を市場に出すことが事実上不可能になります。
普段何気なく飲んでいるドリンクも、特許の視点で見ると企業の巧みな防衛線が見えてきますね。「ウコンの力」が長年にわたりトップブランドであり続ける理由の一つは、間違いなくこの特許戦略にあると言えるでしょう。


