■ はじめに:身近な商品の裏側にある「特許」の世界
私たちの身の回りにある多くの商品には、各企業の努力の結晶である「特許技術」が隠されています。
この「商品で見る特許シリーズ」では、普段何気なく手に取っている身近な商品を特許の視点から掘り下げ、「へえ~」って知財の面白さを感じていただける内容をお届けします。
今回は、ドラッグストアなどでもおなじみの資生堂のサプリメント、「ザ・コラーゲン <パウダー>」の特許を見ていきましょう。企業が特許をどのように販促(マーケティング)に活用しているかが見えてきて、なかなか面白いですよ!
■ ザ・コラーゲン <パウダー>の商品情報
まずは、商品の基本情報をおさらいします。
・商品名:ザ・コラーゲン <パウダー> ・メーカー:株式会社資生堂
<商品のコンセプトと背景> 毎日の飲み物や食べ物にサッと溶かして、手軽にコラーゲンを摂取できるパウダータイプの健康補助食品です。コラーゲン特有の味や匂いを抑えつつ、資生堂独自の「W(ダブル)美容特許成分」を含む、7種の美容成分が配合されているのが特長です。
ニュースリリースや公式サイトを見ると、コケモモ+アムラ果実や、トマト種子エキスといった成分が「美容に関する特許を取得した成分」としてアピールされています。
では、この「美容特許」とは一体どんな特許なのでしょうか?
■ ザ・コラーゲンの「美容特許」をのぞいてみよう
実際に、商品に関連する特許をJ-PlatPatで確認してみましょう。 今回の特許を読み解くキーワードは「用途特許」です。
用途特許とは、全く新しい成分をゼロから発明したという特許ではなく、すでに知られている成分の「新しい使い道(用途)」を発見した特許のことです。 たとえば、ただの植物だと思っていたアムラ果実に「コラーゲンを増やす働き」があることを発見した!となれば、用途特許として認められる可能性があります。
では、具体的な特許請求の範囲を見てみます。
- アムラ果実やコケモモの特許(特許第4420358号、第4917180号) アムラ果実やコケモモを含有する「ヒアルロン酸産生促進剤」や「コラーゲン産生促進剤」としての特許です。 まさにキレイを生み出すための特許ですね。この特許があることで、他社はアムラとコケモモを組み合わせて「肌のハリ改善」を謳う商品を勝手に作ることができなくなります。
- トマト種子エキスの特許(特許第7026181号) こちらは、トマトの種子に含まれる特定の成分(lycoperoside A)を含む抽出物を有効成分とする「コラーゲン産生促進剤」などの特許です。
ここで知財的な面白さを感じたのが、特許の取り方です。 権利の広さだけを考えれば、純粋な化学成分名だけで権利を取る方が広いのですが、あえて「トマト種子の含水エタノール抽出物」のように、由来となる植物名を特許に入れています。
消費者目線で考えると、よくわからない化学物質名を書かれるよりも「トマト種子エキスによる美容特許」と言われた方が、自然由来で安心感があり納得感が強いですよね。販促に使いやすい特許の取り方をしているなと、なるほどと思いました。
■ ちょっと意外な特許?(特許第6397550号)
もう一つ、コケモモとアムラ果実を組み合わせた特許があるのですが、実はその用途が「疲労、睡眠、むくみ、肩のこり、又は手足の冷えのいずれかを改善するための体質改善剤」となっています。
直接的な肌の美容というよりは、体質改善の特許ですね。 ですが、資生堂は商品のPRにおいて、これも含めて「配合成分の組み合わせによる美容についての特許」と表現しています。
むくみや冷えの改善も美容に繋がるといえばそうなのですが、特許の活用の仕方として、なかなか上手くぼかしているなーというのが素直な感想です。これも企業知財のテクニックの一種かもしれません。
■ まとめ:商品パッケージから特許を読み解こう
今回は「ザ・コラーゲン <パウダー>」を題材に、用途特許の活用の仕方を見てきました。
商品のコンセプトに合う成分をスクリーニングし、その用途で特許を取得して「美容特許成分配合」としてしっかりマーケティングに活かす。企業の知財戦略のリアルが見えてきて面白いですよね。
ドラッグストアでサプリメントや化粧品を買うとき、「この特許成分って、本当はどんな用途で取った特許なんだろう?」と裏側を想像してみると、いつものお買い物がちょっと違った視点で楽しめるかもしれません。
ご意見やご感想などあれば、ぜひコメントよろしくお願いします!



コメント