職務発明┃特許法35条

特許法

☆まずは何条あたりにあるかを大まかにわかるようになる。

第一章 総則(第一条―第二十八条)
第二章 特許及び特許出願(第二十九条―第四十六条の二)
第三章 審査(第四十七条―第六十三条)
第三章の二 出願公開(第六十四条―第六十五条)
第四章 特許権
第一節 特許権(第六十六条―第九十九条)
第二節 権利侵害(第百条―第百六条)
第三節 特許料(第百七条―第百十二条の三)
第五章 特許異議の申立て(第百十三条―第百二十条の八)
第六章 審判(第百二十一条―第百七十条)
第七章 再審(第百七十一条―第百七十七条)
第八章 訴訟(第百七十八条―第百八十四条の二)
第九章 特許協力条約に基づく国際出願に係る特例(第百八十四条の三―第百八十四条の二十)
第十章 雑則(第百八十五条―第百九十五条の四)
第十一章 罰則(第百九十六条―第二百四条)
「章」順に覚える⇒総出審特許、異議審再審訴訟、184特例、雑則罰則。(リズムで覚える)

関連問題

第三十五条 (職務発明)

使用者、法人、又は地方公共団体(以下「使用者等」という。)は、従業者、法人の役員、国家公務員又は地方公務員(以下「従業者等」という。)がその性質上当該使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至つた行為がその使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する発明(以下「職務発明」という。)について特許を受けたとき、又は職務発明について特許を受ける権利を承継した者がその発明について特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有する。
2 従業者等がした発明については、その発明が職務発明である場合を除き、あらかじめ、使用者等に特許を受ける権利を取得させ、使用者等に特許権を承継させ、又は使用者等のため仮専用実施権若しくは専用実施権を設定することを定めた契約、勤務規則その他の定めの条項は、無効とする。
3 従業者等がした職務発明については、契約、勤務規則その他の定めにおいてあらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めたときは、その特許を受ける権利は、その発生した時から当該使用者等に帰属する。
4 従業者等は、契約、勤務規則その他の定めにより職務発明について使用者等に特許を受ける権利を取得させ、使用者等に特許権を承継させ、若しくは使用者等のため専用実施権を設定したとき、又は契約、勤務規則その他の定めにより職務発明について使用者等のため仮専用実施権を設定した場合において、第三十四条の二第二項の規定により専用実施権が設定されたものとみなされたときは、相当の金銭その他の経済上の利益(次項及び第七項において「相当の利益」という。)を受ける権利を有する。
5 契約、勤務規則その他の定めにおいて相当の利益について定める場合には、相当の利益の内容を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況、策定された当該基準の開示の状況、相当の利益の内容の決定について行われる従業者等からの意見の聴取の状況等を考慮して、その定めたところにより相当の利益を与えることが不合理であると認められるものであつてはならない。
6 経済産業大臣は、発明を奨励するため、産業構造審議会の意見を聴いて、前項の規定により考慮すべき状況等に関する事項について指針を定め、これを公表するものとする。
7 相当の利益についての定めがない場合又はその定めたところにより相当の利益を与えることが第五項の規定により不合理であると認められる場合には、第四項の規定により受けるべき相当の利益の内容は、その発明により使用者等が受けるべき利益の額、その発明に関連して使用者等が行う負担、貢献及び従業者等の処遇その他の事情を考慮して定めなければならない。

趣旨

職務発明制度は、「●●●(使用者等)」が組織として行う研究開発活動が我が国の知的創造において大きな役割を果たしていることにかんがみ、使用者等が●●●を積極的に行い得るよう安定した環境を提供するとともに、職務発明の直接的な担い手である個々の「●●●(従業者等)」が使用者等によって適切に評価され報いられることを保障することによって、●●●を喚起しようとするものである。つまり、全体として我が国の研究開発活動の奨励、研究開発投資の増大を目指す産業政策的側面を持つ制度であり、その手段として、従業者等と使用者等との間の利益調整を図ることを制度趣旨としている。

特許庁HPより

1項

職務発明の定義

職務発明とは、「従業者等がその性質上当該使用者等の●●●に属し、かつ、その発明をするに至った行為がその使用者等における従業者の●●●に属する発明」をいう。

具体的な例をもって示すと、現行法においては同一企業内において職務を変わった場合、転任前の職務に属する発明を転任後にした場合も職務発明に属することになる。なお、職務発明は同一企業内の場合に限られ、甲会社の時代の職務上の経験に基づいて乙会社へ転任後発明したとしても、それは「その使用者等における」ということにならないので職務発明には該当しない。またここにいう「職務に属する発明」とは、必ずしも発明をすることを職務とする場合に限らないが、自動車の運転手が自動車の部品について発明したような場合まで含める趣旨ではない。すなわち、ここにいう職務に属するという場合の職務は、ある程度発明活動に関連をもった職務に限られる。このような職務発明について従業者等が特許を受けたときは、使用者等がその特許権について通常実施権を有するとしたのは、両者の間の衡平ということを考えたものにほかならない。すなわち、職務発明がされるまでには、使用者等も直接間接にその完成に貢献していることを参酌したものであ

工業所有権法逐条解説 21版

2項:予約承継について

職務発明の場合を除いて、従業者等がした発明について、あらかじめ、以下のことを定めた契約、勤務規則その他の定めの条項は無効となる。

 ① 使用者等に●●●を取得させること
 ② 使用者等に●●●を承継させること
 ③ 使用者等のため●●●●●●を設定すること

⇔反対解釈:職務発明の場合は、上記契約等は有効である。

(職務発明以外の発明について予約承継を禁じた理由)
発明前における契約はとかく従業者等の不利なものになりがちであるので、従業者等を保護し、ひいては発明意欲を増進せしめるためにほかならないため。

3項:職務発明の発生時期

特許を受ける権利が共有に係る場合の問題や二重譲渡問題といった権利帰属の不安定性問題を解消することを目的としている。特許を受ける権利を使用者等が取得することを、職務発明が生まれる前から、あらかじめ契約等によって意思表示していることを要件とすることで、当該使用者等とライセンス契約等の取引を行う第三者にとって、当該契約等による意思表示の存在及び内容を当該使用者等に確認することにより職務発明の特許を受ける権利の帰属が従業者等と使用者等のどちらにあるのか明確に認識することが可能であるとともに、契約等によりあらかじめ意思表示していない場合には、職務発明を生み出した従業者等に特許を受ける権利が帰属することとなるため、当事者間で意図していない特許を受ける権利の帰属の変更が行われない。

工業所有権法逐条解説 21版

原則、特許出願前における特許を受ける権利の承継は、その承継人が特許出願をしなければ、第三者に対抗することができない(34①)が、従業者等がした職務発明については、契約、勤務規則その他の定めにおいてあらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めたときは、その特許を受ける権利は、その発生した時から当該使用者等に帰属する。

4項:承継時等の権利帰属

従業者等は、職務発明等に関して、以下の場合に、使用者等から相当の利益を得られる。

 ① 使用者等に●●●を取得させたとき
 ② 使用者等に●●●を設定したとき
 ④ 使用者等のため●●●を設定した場合において、34条の2第2項の規定により●●●が設定されたものとみなされたとき
※仮専用実施権を設定しただけでは相当の利益を受ける権利を有さない

※相当の利益の付与については、従業者等が職務発明を生み出したことを理由としていることが必要である。したがって、従業者等が職務発明を生み出したこととは関係なく、従業者等に付与された金銭以外の経済上の利益の付与をもって、「相当の利益」の付与とすることはできない。

例題

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35条確認問題

特35条の短答式問題集です。

特許を受ける権利、仮通常実施権等に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。

1 / 2

(ハ) 甲は、化粧品メーカーXから、競業関係にある化粧品メーカーYへ転職した後、化粧品メーカーYにおいて発明イを着想し発明した。発明イが化粧品メーカーXでの職務上の経験に基づいてなされたものであれば、発明イは、化粧品メーカーXにおける、特許法第 35 条第1項に規定された職務発明に該当する

R2特実15

特許を受ける権利、仮通常実施権等に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。

2 / 2

(ニ) 使用者甲は、勤務規則において、従業者乙がした職務発明について、あらかじめ甲に特許を受ける権利を取得させることを定めている。この場合において、乙と他人丙の間で、乙による職務発明イに係る特許を受ける権利を丙に譲渡するとの譲渡契約が結ばれたとき、使用者甲は、他人丙より先に職務発明イに係る特許出願をしなければ、他人丙に対抗することができない。

R2特実15

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