【就活生向け】新卒知財部の仕事を紹介します【体験談】

知財部の話

この記事では、こんなことが分かります。

本記事の内容

  • 新卒知財部配属のきっかけと動機
  • 企業知財部の仕事とは?
  • 新卒知財部の配属2年間
  • 知識をつけるために取り組んだ(取り組んでいる)こと

はじめに

私は、就職活動をしていたとき、特許の仕事という発想がありませんでした。触れることがないので、知的財産(≒特許)についての仕事を知らないんですよね。一方でニュースをみると、特許侵害が~とか、知的財産が重要だ~などを頻繁に耳にします。

知財業界は明らかに若者不足です。知財のプロ弁理士の平均年齢は約52歳ですし、企業では技術部門を経たのちに知財部配属されるケースが多いことなどが一つの原因でしょう。

この記事では、農学系修士卒・知財の勉強をしてこなかった私の経験ベースで、知財部の仕事や日々の勉強について紹介します。特に新卒学生の方に、知財という業種のイメージをつけてもらえれば幸いです。

新卒知財部配属のきっかけと動機

きっかけ

私が新卒知財部配属となったきっかけは、企業担当者から打診されたことでした。

食品の研究・機械の開発メーカに技術部門で応募をしたところ、面接後に「知的財産業務に興味はないか」と。研究室時代にしこたま論文を読んでいたことや、本を読むことが好きなあたりで適性があると判断されたようでした。

動機

新卒知財を選択した動機は、その専門性の高さに惹かれたからでした。

そもそも地方国立大バイオ系修士卒は、大体、
・大企業技術系総合職・企業の研究開発部門(難易度高)
・企業の品質管理部門
・公務員
という進路になります。

ところで品質管理部門は工場勤務のことが多く、3交代制だったりするんですよね。

私は今まで学んできた知識を活かしたい!と思っていましたが、バイオ修士の就職の難しいところです。なかなかやりたい仕事は見つからずにいました。大学院まで出て3交代は嫌だなあ…と思っていたところに、知財職の話が舞い込んできたので、とても興味を持ちました。

知財部の仕事

・自社技術の権利化
・他社特許の侵害の予防
・自社権利の活用(ライセンス/知財戦略)

企業やスキルによって仕事は変わってきますが、大まかに上の3つに関する業務に従事すると思います。

自社技術の権利化は、つまり特許出願です。技術者が発明提案書という書面で発明を提案してくるので、知財部が特許出願できるか否かを検討し、出願対応する、という流れが多いと思います。

他社特許の侵害の予防は、他社が取得した新しい特許が自社の技術に関係するかをモニタリングするような業務です。怪しい特許は詳細に検討し、必要に応じて技術者に確認をしてもらうなどします。場合により、その特許をつぶすアプローチをかけたり、、、という対応を行います。

自社権利の活用は、特許のライセンスにかかる業務などですが、これは法務部が対応することも多いでしょうね。その他、統計分析による自社・他社・業界の技術力/動向を行う企業もあるでしょう(IPランドスケープと呼ばれてます)。

知財部の仕事は企業ごとに異なるので、気になる企業がある場合は直接質問してみるとよいでしょう。

新卒知財部の配属2年間 / 知識をつけるために取り組んだ(取り組んでいる)こと

まず企業の知財部員として求められるスキルですが、大きく①実務スキル(知財法等の知識)と、②技術を理解する能力、の2つが必要になります。②については入社後に学んでいくものなのでここでは割愛して、知財法等の知識を身に着けるためにしたことを話しますね。

配属~4か月目くらいまで

とりあえず実務書を1冊読む

大前提として、上司・先輩の指導に従いながら、知識を身に着けていきます。それらに加えて、私は実務書を読みながら、日々の業務を覚えていきました。私は高橋政治先生の「技術者・研究者のための特許の知識と実務」という本を読んで、雰囲気をつかんでいきました。

知的財産管理技能検定(資格)の取得

また、知財検定2級の勉強にも励みました。知的財産管理技能検定は、技能検定 (働くうえで身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度)の中の「知的財産管理」という職種に関する国家試験です。知財法の知識の土台になりますし、最低限の知識は持っているという社内アピールにもなります。下のような参考書もたくさん出版されています。講義形式で学びたい方には、通信講座【スタディング】などを活用するのもよいでしょう。

基礎知識が身についてきた後

大体4か月もすると、一通りの業務内容が分かってきます。また、「こういう仕事なんだ」ということもわかってきます。基礎的なことが身についてきた後は、知財実務者としてのスキルを身に着けていくことになります。

出願に係る制度や審査基準の理解

特許庁や特許事務所とのやり取りを通して、実務面を学んでいきます。また、特許庁の制度を勉強していきます。これらは上司や先輩から教わるので心配いりません。

また、特許の審査基準が特許庁にて公開されています。これらを読みながら、技術者が提出した発明提案書を読み込み、権利化を目指すことになります。

判例を読む

次第にわかってくるのですが、特許は取れればよいというものではありません。権利書は文章ですから、発明をちゃんと保護している・他社からの難癖に耐えうる権利を取得しなければなりません。この点、切り餅事件などが分かりやすいです。

特許の価値は、知財部の担当者の実力次第で高くも低くもなります。重要な判例を理解して、強い特許を取得できるよう、日々勉強に励んでいきます。

知財法の知識を身に着ける

特許事務所や特許庁とやり取りをする上では、特許法等の知識は欠かせません。この点、基本的な条文だけ覚えておけば、大きな支障がないことは事実です。しかし、新卒で知財の仕事に従事する以上は、しっかり法律を学ぶことが好ましいでしょう。

知財のプロとして、弁理士という資格があります。非常に難関資格ですが、知財のプロである証明ですし、将来の業務幅を広げるきっかけにもなるでしょう。資金に余裕が出てきて、かつ、しっかり知財法を勉強したいと感じるようになれば、大手予備校の講座などを活用して勉強に励むべきだと思います。

LEC等の大手予備校は約50万円ほどしますが、通信専門の【スタディング】は約6万円、【資格スクエア】なら26万円程度から受講できるようです。

終わりに

私は知財業界に入って2年目になりますが、この仕事は楽しくやりがいがあると感じています。弁理士資格を取得したい、高校生・大学生への知財教育に携わりたいという目標もできました。一方で、まだまだ実力不足を感じる日々です。

学生は大手企業志向が強い傾向にあります。そしてそれは間違いではないです。しかし、「知らない」ために仕事を選択できないのは非常にもったいないです。

知財部という仕事を学生の皆さんにしってもらうきっかけになればと思い、この記事を書きました。みなさんの就職活動がうまくいくことを願っています。頑張ってくださいね!

知財部・特許の仕事を知ることができる本

知財部・特許の仕事に興味があれば、以下の本をおすすめします。
また、書籍をまとめた記事もあるので是非ご覧になってくださいね。

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