意匠法┃分割・変更┃ポイントの整理

意匠法

意匠登録出願人は、自己の意匠登録出願に係る意匠又は自己の登録意匠のうちから選択した一の意匠(以下「本意匠」という。)に類似する意匠(以下「関連意匠」という。)については、当該関連意匠の意匠登録出願の日(第十五条第一項において準用する特許法第四十三条第一項、第四十三条の二第一項又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う意匠登録出願にあつては、最初の出願若しくは千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日。以下この項において同じ。)がその本意匠の意匠登録出願の日以後であつて、当該本意匠の意匠登録出願の日から十年を経過する日前である場合に限り、第九条第一項又は第二項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができる。ただし、当該関連意匠の意匠権の設定の登録の際に、その本意匠の意匠権が第四十四条第四項の規定により消滅しているとき、無効にすべき旨の審決が確定しているとき、又は放棄されているときは、この限りでない。
2 第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至つた自己の意匠のうち前項の規定により意匠登録を受けようとする意匠の本意匠と同一又は類似のものは、当該意匠登録を受けようとする意匠についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、同条第一項第一号又は第二号に該当するに至らなかつたものとみなす。
3 第一項の規定により意匠登録を受けようとする意匠についての第三条の二ただし書の規定の適用については、同条ただし書中「同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)」とあるのは、「当該先の意匠登録出願について第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求したときは、第二十条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものに限る。)」とする。
4 第一項の規定により意匠登録を受ける関連意匠にのみ類似する意匠については、当該関連意匠を本意匠とみなして、同項の規定により意匠登録を受けることができるものとする。当該意匠登録を受けることができるものとされた関連意匠にのみ類似する意匠及び当該関連意匠に連鎖する段階的な関連意匠にのみ類似する意匠についても、同様とする。
5 前項の場合における第一項の規定の適用については、同項中「当該本意匠」とあるのは、「当該関連意匠に係る最初に選択した一の意匠」とする。
6 本意匠の意匠権について専用実施権が設定されているときは、その本意匠に係る関連意匠については、第一項及び第四項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。
7 関連意匠の意匠登録出願があつた場合において、当該意匠登録出願が基礎意匠(当該関連意匠に係る最初に選択した一の意匠をいう。以下同じ。)に係る関連意匠(当該基礎意匠の関連意匠及び当該関連意匠に連鎖する段階的な関連意匠をいう。以下同じ。)にそれぞれ該当する二以上の意匠の意匠登録出願であつたときは、これらの意匠については、第九条第一項又は第二項の規定は、適用しない。
8 前項に規定する場合において、第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至つた自己の意匠のうち当該基礎意匠に係る関連意匠(当該関連意匠の意匠登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、若しくは当該関連意匠の意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したとき、又は当該関連意匠の意匠権が第四十四条第四項の規定により消滅したとき、無効にすべき旨の審決が確定したとき、若しくは放棄されたときを除く。)と同一又は類似のものは、第一項の規定により意匠登録を受けようとする意匠についての第三条第一項及び第二項の規定の適用については、同条第一項第一号又は第二号に該当するに至らなかつたものとみなす。

〇関連意匠と本意匠の出願日の規定(意匠10条1項)
関連意匠の出願日は、本意匠の出願日以後であることが要件。

意匠登録出願人は、意匠登録出願が審査、審判又は再審に係属している場合に限り二以上の意匠を包含する意匠登録出願の一部を一又は二以上の新たな意匠登録出願とすることができる。
2 前項の規定による意匠登録出願の分割があつたときは、新たな意匠登録出願は、もとの意匠登録出願の時にしたものとみなす。ただし、第四条第三項並びに第十五条第一項において準用する特許法第四十三条第一項及び第二項(これらの規定を第十五条第一項において準用する同法第四十三条の二第二項(第十五条第一項において準用する同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、この限りでない。
3 第一項に規定する新たな意匠登録出願をする場合には、もとの意匠登録出願について提出された書面又は書類であつて、新たな意匠登録出願について第四条第三項又は第十五条第一項において準用する特許法第四十三条第一項及び第二項(これらの規定を第十五条第一項において準用する同法第四十三条の二第二項(第十五条第一項において準用する同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。

〇分割出願の手続きと認められない例
・7条の要件を満たしている出願を、部品ごとに分割する
・8条の要件を満たしている組み物の意匠出願を、構成物品ごとに分割する
あくまで分割出願は救済措置。

特許出願人は、その特許出願を意匠登録出願に変更することができる。ただし、その特許出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月を経過した後は、この限りでない。
2 実用新案登録出願人は、その実用新案登録出願を意匠登録出願に変更することができる。
3 第一項ただし書に規定する期間は、特許法第四条の規定により同法第百二十一条第一項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。
4 第一項又は第二項の規定による出願の変更があつたときは、もとの出願は、取り下げたものとみなす。
5 特許出願人は、その特許出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その承諾を得た場合に限り、第一項の規定による出願の変更をすることができる。
6 第十条の二第二項及び第三項の規定は、第一項又は第二項の規定による出願の変更の場合に準用する。

〇もとの出願の取り扱い
・分割:もとの出願は残る。
・変更:もとの出願は取り下げたとみなす。

特許法第百八十四条の三第一項又は第百八十四条の二十第四項の規定により特許出願とみなされた国際出願の意匠登録出願への変更については、同法第百八十四条の六第二項の日本語特許出願にあつては同法第百八十四条の五第一項、同法第百八十四条の四第一項の外国語特許出願にあつては同項又は同条第四項及び同法第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、同法第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後(同法第百八十四条の二十第四項の規定により特許出願とみなされた国際出願については、同項に規定する決定の後)でなければすることができない。
2 実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第四十八条の三第一項又は第四十八条の十六第四項の規定により実用新案登録出願とみなされた国際出願の意匠登録出願への変更については、同法第四十八条の五第四項の日本語実用新案登録出願にあつては同条第一項、同法第四十八条の四第一項の外国語実用新案登録出願にあつては同項又は同条第四項及び同法第四十八条の五第一項の規定による手続をし、かつ、同法第五十四条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後(同法第四十八条の十六第四項の規定により実用新案登録出願とみなされた国際出願については、同項に規定する決定の後)でなければすることができない。

〔趣旨〕
本条は、特許協力条約に基づく国際出願による特許出願(一項)又は実用新案登録出願(二項)は、国際出願日にされた特許出願又は実用新案登録出願であるから、国際出願日から我が国において出願の変更が可能となるが、出願変更が認められるには、当該出願が我が国において手続的に確定している必要があることを規定したものである。一項は、国際出願による特許出願を意匠登録出願に変更するための要件について規定したものである。国際出願による特許出願が我が国において手続的に確定するためには、日本語特許出願にあっては特許法一八四条の五第一項の規定による書面提出をし、外国語特許出願にあっては特許法一八四条の四第一項又は第四項の規定による翻訳文提出(これに代えて同条二項の翻訳文が提出された場合を含む。)及び特許法一八四条の五第一項の規定による書面提出をし、かつ特許法一九五条二項の規定により納付すべき手数料を納付しなければならない。また、特許法一八四条の二〇第四項の規定により特許出願とみなされた国際出願については、同様の理由により、同条一項の申出の際に手数料及び外国語でされた国際出願にあっては翻訳文を提出して前記手数料納付等に相当する手続が既になされているので、特許庁長官による当該申出についての決定以後とした。
二項は、国際出願による実用新案登録出願を意匠登録出願に変更するための要件について規定したものである。国際実用新案登録出願が手続的に確定するためには、日本語実用新案登録出願にあっては、実用新案法四八条の五第一項の規定による書面提出をし、かつ、実用新案法五四条二項の規定により納付すべき手数料を納付し、外国語実用新案登録出願にあっては実用新案法四八条の四第一項又は第四項の規定による翻訳文提出(これに代えて同条二項の翻訳文が提出された場合を含む。)及び実用新案法四八条の五第一項の規定による書面提出をし、かつ実用新案法五四条二項の規定により納付すべき手数料を納付しなければならない。また、実用新案法四八条の一六第四項の規定により実用新案登録出願とみなされた国際出願については、同様の理由により、同条一項の申出の際に手数料及び外国語でされた国際出願にあっては翻訳文を提出して前記手数料納付等に相当する手続が既になされているので、特許庁長官による当該申出についての決定以後とした。

事例で確認_弁理士短答試験H30意匠第7問

問題文(H30意匠第7問)
甲は、平成28年4月1日に、「コーヒーメーカー」についての特許出願Aをした。この特許出願Aは平成29年10月2日に出願公開された。この公開公報には願書に最初に添付した明細書及び図面において意匠イ、意匠ロが明瞭に記載されていた。意匠イと意匠ロとは類似している。
 甲は、意匠登録もしたいと考え、平成29年3月1日に出願Aを適法な手続をして出願の分割をして特許出願Bをし、同日に特許出願Bを意匠登録出願Cに適法な手続をして出願の変更をした。意匠登録出願Cには、物品「コーヒーメーカー」に係る意匠イと意匠ロが含まれていた。その後平成29年5月1日に、出願Cにおける意匠ロを適法な手続をして出願の分割をして意匠登録出願Dをした。

 上記を前提として、次のうち、正しいものは、どれか。
ただし、特に文中に示したものを除き、意匠登録出願は、いかなる優先権の主張も伴わず、分割又は変更に係るものでも、補正後の意匠についての新出願でも、秘密意匠に係るものでも、冒認出願でもなく、かつ、放棄、取下げ又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、いかなる補正もされていないものとし、また、名義変更、秘密にする期間の変更は行わないものとし、ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく特例は考慮しないものとする。

1 乙は、意匠イには類似しない意匠ハについて、平成28年12月1日に意匠登録出願Eをした。いかなる場合も、意匠ロの存在を理由として、出願Eが拒絶されることはない。

答え:×

〇意匠ロの出願日の遡及と先願
意匠ロの出願日はH28.4.1とみなされる。
意匠登録出願の分割・変更があつたときは、新たな意匠登録出願は、もとの意匠登録出願の時にしたものとみなす(意匠10条2項、13条6項)ので、意匠ロの出願日は特許出願Aの出願日に遡及する。また同一又は類似の意匠について異なつた日に二以上の意匠登録出願があつたときは、最先の意匠登録出願人のみがその意匠について意匠登録を受けることができる(意匠9条1項)。よって、意匠ハが意匠ロと同一または類似する場合、意匠ハは意匠ロを理由として拒絶される。

2 甲は、意匠イと意匠ロの双方に類似する意匠ニについて、平成29年2月1日に意匠登録出願Fをした。出願Cに係る意匠イ、出願Dに係る意匠ロ、出願Fに係る意匠ニの全てが登録される場合、意匠イと意匠ロは、それぞれ意匠ニを本意匠とする関連意匠として登録される。

答え:×

〇関連意匠の登録要件
関連意匠については、当該関連意匠の意匠登録出願の日がその本意匠の意匠登録出願の日以後であつて、当該本意匠の意匠登録出願の日から十年を経過する日前である場合に限り、第九条第一項又は第二項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができる(意匠10条1項)。本問では、意匠イ・ロの出願日は特許出願Aの日(H28.4.1)とみなされており、意匠二の出願日はH29.2.1である。よって、意匠イと意匠ロは、それぞれ意匠ニを本意匠とする関連意匠として登録されることはない。

5 丁は、平成27年10月5日に、意匠イに類似する意匠トについてハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく国際出願Iをし、出願Iは平成28年4月5日に国際公表された。その国際出願の指定締約国に日本国は含まれていなかった。意匠イに係る出願Cは、いかなる場合も、出願I又は意匠トの存在を理由として、拒絶されることはない。なお、意匠トは、出願Iが国際公表される前に公知になっていないものとする。

答え:〇

〇出願Cの出願日と新規性の検討
出願Cは出願Aの時にした出願とみなされる(10条の2第2項、13条6項)。
また、Iが国際公表される前に特許出願Aがされているため、意匠イの新規性は失われていない。

〇意匠法9条(先願)の検討
出願Iには、日本国の指定がないので、日本国の意匠登録出願とはみなされない。よって、意匠法9条は適用されない。

〇結論
そのほか、出願Cが拒絶される理由も存在しない。よって、本文は正しい。

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