商標法│登録意義の申し立て│ポイントの整理

商標法

概要│登録異議の申立て 

何人も、商標掲載公報の発行の日から二月以内に限り、特許庁長官に、商標登録が次の各号のいずれかに該当することを理由として登録異議の申立てをすることができる。この場合において、二以上の指定商品又は指定役務に係る商標登録については、指定商品又は指定役務ごとに登録異議の申立てをすることができる
一 その商標登録が第三条、第四条第一項、第七条の二第一項、第八条第一項、第二項若しくは第五項、第五十一条第二項(第五十二条の二第二項において準用する場合を含む。)、第五十三条第二項又は第七十七条第三項において準用する特許法第二十五条の規定に違反してされたこと。
二 その商標登録が条約に違反してされたこと。
三 その商標登録が第五条第五項に規定する要件を満たしていない商標登録出願に対してされたこと。

① 3条
商標登録が使用意思を有しない商標(3条1項柱書)及び識別力を有しない商標(3条1項1号から6号)

② 4条1項
商標登録を受けることができない商標

③ 7条の2第1項
地域団体商標の要件を満たしていない商標

④ 8条第1項、2項及び5項
いわゆる後願先登録
⇒ 8条1項は拒絶理由ではない

⑤ 51条2項(52条の2第2項) / 53条2項
不正使用による取消審判により取消された商標と同一・類似である場合における所定期間の再登録禁止の要件に違反するものであった場合

⑥ 準用する特許法25条
商標権を享有することができない出願人に対して商標登録がされた場合

登録異議の申立てについての審理及び決定

登録異議の申立てについての審理及び決定は、三人又は五人の審判官の合議体が行う。
2 審判官は、登録異議の申立てに係る商標登録が前条各号の一に該当すると認めるときは、その商標登録を取り消すべき旨の決定(以下「取消決定」という。)をしなければならない。
3 取消決定が確定したときは、その商標権は、初めから存在しなかつたものとみなす。
4 審判官は、登録異議の申立てに係る商標登録が前条各号の一に該当すると認めないときは、その商標登録を維持すべき旨の決定をしなければならない。
5 前項の決定<維持決定>に対しては、不服を申し立てることができない。

五項は、維持決定に対しては不服を申し立てることができない旨を規定したものである。これは、①登録異議申立制度は、公衆に対して処分の見直しを求める機会を与えるものであり、登録異議申立人は利害関係の有無にかかわらず、こうした機会を与えられた者にすぎないこと、②維持決定を受けた場合であっても、登録異議の申立ての理由と同じ理由で無効審判を請求することができることといった理由によるものである。

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登録異議の申立ての方式等

登録異議の申立てをする者は、次に掲げる事項を記載した登録異議申立書を特許庁長官に提出しなければならない。
一 登録異議申立人及び代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 登録異議の申立てに係る商標登録の表示
三 登録異議の申立ての理由及び必要な証拠の表示
2 前項の規定により提出した登録異議申立書の補正は、その要旨を変更するものであつてはならない。ただし、第四十三条の二に規定する期間の経過後三十日を経過するまでに前項第三号に掲げる事項についてする補正については、この限りでない。
3 特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、前項に規定する期間を延長することができる。
4 審判長は、登録異議申立書の副本を商標権者に送付しなければならない。
5 第四十六条第四項の規定は、登録異議の申立てがあつた場合に準用する。

〇登録異議の申し立てができる期間経過後における要旨の補正(43条の4第2項)
原則、登録異議申立書の要旨は補正できない。ただし、登録異議の申立てができる期間(商標掲載公報の発行の日から二月以内)の経過後から30日以内であれば、要旨の補正が認められる。

(審判官の指定等)第四十三条の五 

第五十六条第一項において準用する特許法第百三十六条第二項及び第百三十七条から第百四十四条までの規定は、第四十三条の三第一項の合議体及びこれを構成する審判官に準用する。

① 審判官合議体による合議(準特136条2項)
② 審判官の指定(準特137条)
③ 審判長(準特138条)
④ 審判官の除斥・忌避(準特139条から141条)
⑤ 除斥又は忌避の申立ての方式(準特142条)
⑥ 除斥又は忌避の申立てについての決定(準特143条、144条)

(審判書記官)第四十三条の五の二 

特許庁長官は、各登録異議申立事件について審判書記官を指定しなければならない。
2 第五十六条第一項において準用する特許法第百四十四条の二第三項から第五項までの規定は、前項の審判書記官に準用する。

(審理の方式等)第四十三条の六 

登録異議の申立てについての審理は、書面審理による。ただし、審判長は、商標権者、登録異議申立人若しくは参加人の申立てにより、又は職権で、口頭審理によるものとすることができる。
2 第五十六条第一項において準用する特許法第百四十五条第三項から第七項まで、第百四十六条及び第百四十七条の規定は、前項ただし書の規定による口頭審理に準用する。
3 共有に係る商標権の商標権者の一人について、登録異議の申立てについての審理及び決定の手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、共有者全員についてその効力を生ずる。

(参加)第四十三条の七 

商標権についての権利を有する者その他商標権に関し利害関係を有する者は、登録異議の申立てについての決定があるまでは、商標権者を補助するため、その審理に参加することができる。
2 第五十六条第一項において準用する特許法第百四十八条第四項及び第五項並びに第百四十九条の規定は、前項の規定による参加人に準用する。

(証拠調べ及び証拠保全)第四十三条の八 

第五十六条第一項において準用する特許法第百五十条及び第百五十一条の規定は、登録異議の申立てについての審理における証拠調べ及び証拠保全に準用する。

(職権による審理)第四十三条の九 

登録異議の申立てについての審理においては、商標権者、登録異議申立人又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。
2 登録異議の申立てについての審理においては、登録異議の申立てがされていない指定商品又は指定役務については、審理することができない。

(申立ての併合又は分離)第四十三条の十 

同一の商標権に係る二以上の登録異議の申立てについては、その審理は、特別の事情がある場合を除き、併合するものとする。
2 前項の規定により審理を併合したときは、更にその審理の分離をすることができる。

(申立ての取下げ)第四十三条の十一 

登録異議の申立ては、次条の規定による通知<取り消し理由が見つかった通知>があつた後は、取り下げることができない。
2 第五十六条第二項において準用する特許法第百五十五条第三項の規定は、登録異議の申立ての取下げに準用する。

一項は、商標登録の取消理由の通知があった後は登録異議の申立ての取下げができない旨を規定したものである。審判の場合は、審決が確定するまではその請求を取り下げることができ、また答弁書提出後であれば、相手方の承諾を得れば取り下げることができる(五六条一項で準用する特一五五条一項・二項)。これに対し、登録異議の申立てについては、取消理由の通知があった後は、たとえ商標権者の承諾があっても、その取下げは認められない。このように登録異議の申立ての取下げも、本来、登録異議申立人の意思に委ねられるべきものであるが、登録異議の申立てについての審理が進行し、既に取消理由の通知がされた場合には、登録異議の申立てがされた商標登録に瑕疵がある蓋然性が高いといえ、そのような場合にまで登録異議申立人の自由な意思による取下げを認めることは、公益的観点から登録処分の見直しを図ろうとする登録異議申立制度の趣旨に合致しないと考えられるからである

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(取消理由の通知)第四十三条の十二 

審判長は、取消決定をしようとするときは、商標権者及び参加人に対し、商標登録の取消しの理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。

(決定の方式)第四十三条の十三 

登録異議の申立てについての決定は、次に掲げる事項を記載した文書をもつて行わなければならない。
一 登録異議申立事件の番号
二 商標権者、登録異議申立人及び参加人並びに代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
三 決定に係る商標登録の表示
四 決定の結論及び理由
五 決定の年月日
2 特許庁長官は、決定があつたときは、決定の謄本を商標権者、登録異議申立人、参加人及び登録異議の申立てについての審理に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。

(決定の確定範囲)第四十三条の十四 

登録異議の申立てについての決定は、登録異議申立事件ごとに確定する。ただし、指定商品又は指定役務ごとに申し立てられた登録異議の申立てについての決定は、指定商品又は指定役務ごとに確定する。

(審判の規定の準用)第四十三条の十五 

第五十六条第一項において準用する特許法第百三十三条、第百三十三条の二、第百三十四条第四項、第百三十五条、第百五十二条、第百六十八条、第百六十九条第三項から第六項まで及び第百七十条の規定は、登録異議の申立てについての審理及び決定に準用する。
2 第四十三条の三第五項の規定は、前項において準用する特許法第百三十五条の規定による決定に準用する。

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