【手続補正書の予測】特願2021-071700(サントリーHD)

予測シリーズ

拒絶理由通知を受けた場合、拒絶理由を解消するために特許請求の範囲を補正することができます。企業に代わり、どのような内容に補正するかを考えるシリーズです。

書誌事項・出願時の請求項

出願記事特許 2021-071700 (2021/04/21) 出願種別(通常)
公開記事2022-166471  (2022/11/02) 総通号数(199) 年間通号数(220202) 発行区分(0101)
出願人・代理人記事出願人 大阪府大阪市 (309007911) サントリーホールディングス株式会社 
代理人 対象出願人人数(1) 代理人(国内) 弁理士 (100118902) 山本 修 
代理人 代理人(国内) 弁理士 (100106208) 宮前 徹 
代理人 代理人(国内) 弁理士 (100196508) 松尾 淳一 
代理人 代理人(国内) 弁理士 (100129458) 梶田 剛 

【請求項1】  乳分と、1~135ppmのカフェインと、1.0~9.0v/v%のアルコールとを 含有する容器詰飲料。
【請求項2】  加熱殺菌された飲料である、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】  アルコールの含有量が1.0~9.0v/v%である乳分含有容器詰飲料における乳分 の加熱劣化臭を低減する方法であって、 前記飲料が1~135ppmのカフェインを含有するように原料を混合する工程を含む、 前記方法。

拒絶理由通知書

   拒絶理由通知書
 特許出願の番号      特願2021-071700
 起案日          令和 6年 2月28日
 特許庁審査官       川崎 良平        4661 4O00
 特許出願人代理人     山本 修(ほか 3名) 様
 適用条文         第36条第6項第1号(サポート要件)
              第29条第2項(進歩性)
 この出願は、次の理由によって拒絶をすべきものです。これについて意見が
ありましたら、この通知書の発送の日から60日以内に意見書を提出してくだ
さい。
                理由
 1.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許
法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内
又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線
を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する
技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたもの
であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
     記   (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(サポート要件)について
・請求項 1-3
 本願明細書の記載によれば、本願発明は乳分を含有する飲料においてアルコー
ルとカフェインを一定量添加することで当該飲料の加熱劣化臭を低減するという
課題を解決したものである。
 ここで、本願明細書にも記載されているように、乳分として牛乳、羊乳等が挙
げられる。そして、乳分の種類によって固形分に含まれる物質が異なること、及
び、固形分の量によって臭いの程度が異なることは技術常識である。
 一方、本願明細書において実際にアルコール及びカフェインの添加による効果
の検証がなされているのは脱脂粉乳又は牛乳由来の固形分300ppmを含有す
P.2
る飲料のみであり、本願明細書の他の箇所を参照しても上記特定によって加熱劣
化臭が低減する機構が開示されていない以上、脱脂粉乳又は牛乳由来の固形分3
00ppmを含有する飲料以外において当該特定のみによって同様の効果を奏す
るとはいえない。

 したがって、出願時の技術常識に照らしても、乳分の種類と量を脱脂粉乳又は
牛乳由来の固形分300ppmと特定していない請求項1-3に係る発明の範囲
まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえな
い。
 よって、請求項1-3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない

●理由2(進歩性)について
・請求項 1-3
・引用文献等 1-4
・備考
 引用文献1(特に、[0044]-[0053])、引用文献2(特に、[0
032]-[0037])には、それぞれ、乳分と4.0v/v%のアルコール
とを含有する飲料、乳分と4.5v/v%のアルコールとを含有する飲料が記載
されている。そして、飲料を商品として提供する際に加熱殺菌された容器詰飲料
としていることは明らかである。
 ここで、請求項1-3に係る発明と引用文献1又は2に記載された発明とを対
比すると、前者はカフェインを1-135ppm含有するのに対し後者はそのよ
うな特定がなされていない点で相違する。
 しかしながら、引用文献3(特に、[0022]-[0028])、引用文献
4(特に、[0005][0017]-[0021])に記載のように、乳分を
含有する飲料に15ppm程度のカフェインを添加して加熱劣化臭を抑制する手
法、乳分、アルコール、カフェインが含まれる飲料はそれぞれ周知であり、引用
文献1又は2に記載された飲料において、より風味が良い飲料とするためにカフ
ェインを適量加えることは、当業者が容易に想到し得ることである。

             <引用文献等一覧>
1.特開2019-041684号公報
2.特開2017-018036号公報
3.特開2015-181411号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2016-067266号公報(周知技術を示す文献)
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補正後の特許請求の範囲 予測

【請求項1】  
案1 
脱脂粉乳又は牛乳由来の固形分と、1~135ppmのカフェインと、1.0~9.0v/v%のアルコールとを 含有する容器詰飲料。

案2  
脱脂粉乳又は牛乳由来の固形分と、1~135ppmのカフェインと、1.0~9.0v/v%のアルコールとを 含有する容器詰飲料であって、
脱脂粉乳又は牛乳由来の固形分:カフェイン:アルコール=1:●:●~1:●:●である、容器詰飲料


案3
脱脂粉乳又は牛乳由来の固形分と、30~135ppmのカフェインと、1.0~9.0v/v%のアルコールとを 含有する容器詰飲料。


※【請求項2】以下省略

大きく3つ考えてみました。
案1:難易度 高
意見書に自信があったり、出来るだけ広い範囲で権利化を目指す際はこのくらいかなと思います。チャレンジ要素強め。

案2:難易度 小~中
特にチャレンジしない場合はこのくらいが無難かな~というライン。乳分を具体的に補正し、かつ、濃度の範囲を限定してみました。本願の実施例では脱脂粉乳等の濃度が300ppmのみなので、他成分との比率でできる限り範囲を広げる、という感じ。
カフェインやアルコールの濃度を限定したくなければ案2もありかな~と考えます。

案3:難易度 小~中
こちらも特にチャレンジしない場合。乳分の補正+カフェイン量の限定です。一番オーソドックスな方針かと。

サポート要件ついて

拒絶理由に従い、実施例の範囲に絞るのが無難かと考えます。

進歩性について

IPStart国際特許事務所 HPより

IPStart国際特許事務所さんがまとめていた進歩性判断フローをお借りします。
今回は「主引用発明の構成と副引用発明の構成の・・・検討する」→YES(容易である)→予想以上の効果があるか→NO→進歩性なし と審査されているので、
①「主引用発明の構成と副引用発明の構成の・・・検討する」→NO(容易ではない)→進歩性有、
②「主引用発明の構成と副引用発明の構成の・・・検討する」→YES(容易である)→予想以上の効果があるか→YES→進歩性有 
の2パターンを主張するのがよさそう。

①についてはぱっと思いつかないですね。
主引例と副引例を結び付けるには阻害要因があることを主張できれば良いと思います。

②については、カフェインやアルコール濃度を限定して、引例に対し有利な効果があることを主張するのが無難。
濃度の限定の仕方もいろいろありますが、”30~135ppmのカフェイン” にすることで、15ppm程度である副引例との違いを主張しやすいかなという感じ。
実施例でも30ppmでの評価が3.5(好ましい)以上なのでやりやすそう。この点は引例を踏まえて出来るだけ広い範囲で設定できればそれでよいと思います。

まとめ

意見書を待ちましょう。

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