〇意匠法における審判
・ 拒絶査定不服審判(46条)
・ 補正却下決定不服審判(47条)
・ 意匠登録無効審判(48条)
拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる。
2 拒絶査定不服審判を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。
第十七条の二第一項の規定による却下の決定を受けた者は、その決定に不服があるときは、その決定の謄本の送達があつた日から三月以内に補正却下決定不服審判を請求することができる。ただし、第十七条の三第一項に規定する新たな意匠登録出願をしたときは、この限りでない。
2 前条第二項の規定は、補正却下決定不服審判の請求に準用する。
意匠登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その意匠登録を無効にすることについて意匠登録無効審判を請求することができる。
一 その意匠登録が第三条、第三条の二、第五条、第九条第一項若しくは第二項、第十条第六項、第十五条第一項において準用する特許法第三十八条又は第六十八条第三項において準用する同法第二十五条の規定に違反してされたとき(その意匠登録が第十五条第一項において準用する同法第三十八条の規定に違反してされた場合にあつては、第二十六条の二第一項の規定による請求に基づき、その意匠登録に係る意匠権の移転の登録があつたときを除く。)。
二 その意匠登録が条約に違反してされたとき。
三 その意匠登録がその意匠について意匠登録を受ける権利を有しない者の意匠登録出願に対してされたとき(第二十六条の二第一項の規定による請求に基づき、その意匠登録に係る意匠権の移転の登録があつたときを除く。)。
四 意匠登録がされた後において、その意匠権者が第六十八条第三項において準用する特許法第二十五条の規定により意匠権を享有することができない者になつたとき、又はその意匠登録が条約に違反することとなつたとき。
2 意匠登録無効審判は、何人も請求することができる。ただし、意匠登録が前項第一号に該当すること(その意匠登録が第十五条第一項において準用する特許法第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は前項第三号に該当することを理由とするものは、当該意匠登録に係る意匠について意匠登録を受ける権利を有する者に限り請求することができる。
3 意匠登録無効審判は、意匠権の消滅後においても、請求することができる。
4 審判長は、意匠登録無効審判の請求があつたときは、その旨を当該意匠権についての専用実施権者その他その意匠登録に関し登録した権利を有する者に通知しなければならない。
拒絶理由と無効理由の相違点
・7条(一意匠一出願)違反は拒絶理由ではあるが無効理由ではない
・ 8条(組物の意匠)、8条の2(内装の意匠)違反は拒絶理由ではあるが無効理由ではない
・10条1項、4項(関連意匠)違反は拒絶理由ではあるが無効理由ではない。ただし、10条6項(本意匠に専用実施権を設定した場合の関連意匠)違反は無効理由
・後発的無効理由は拒絶理由ではない
・真の権利者への意匠権の移転があった場合、準用する特許法38条(共同出願)違反、冒認出願は無効理由でない
意匠法第8条(組物の意匠)の規定に違反して意匠登録された場合、そのことを理由として意匠登録無効審判を請求することができる場合がある。
↓
(答え)×
〇意匠登録無効審判は何人も請求できる(意匠48条2項)
意匠登録無効審判は、冒認及び共同出願違反以外の無効理由について、何人も請求可能であるとしている。⇔特許法では利害関係人のみ
〇基礎意匠の無効審決が確定した際の関連意匠の専用実施権の設定(意匠27条3項)
基礎意匠の意匠権について、無効にすべき旨の審決が確定したときは、当該基礎意匠に係る関連意匠の意匠権についての専用実施権は、すべての関連意匠の意匠権について同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。
意匠登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、意匠権は、初めから存在しなかつたものとみなす。ただし、意匠登録が前条第一項第四号に該当する場合において、その意匠登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、意匠権は、その意匠登録が同号に該当するに至つた時から存在しなかつたものとみなす。
〇審決の確定時期
審決が出て、不服申し立て手段が尽きたときに、審決が確定する。
(審査に関する規定の準用)第五十条
第十七条の二及び第十七条の三の規定は、拒絶査定不服審判に準用する。この場合において、第十七条の二第三項及び第十七条の三第一項中「三月」とあるのは「三十日」と、第十七条の二第四項中「補正却下決定不服審判を請求したとき」とあるのは「第五十九条第一項の訴えを提起したとき」と読み替えるものとする。
読み替え後の意匠法17条の2
3 第一項の規定による却下の決定があつたときは、決定の謄本の送達があつた日から30日を経過するまでは、当該意匠登録出願について査定をしてはならない。
4 審査官は、意匠登録出願人が第一項の規定による却下の決定に対し第五十九条第一項の訴えを提起したときは、その審判の審決が確定するまでその意匠登録出願の審査を中止しなければならない。
読み替え後の意匠法17条の3
意匠登録出願人が前条第一項の規定による却下の決定の謄本の送達があつた日から30日以内にその補正後の意匠について新たな意匠登録出願をしたときは、その意匠登録出願は、その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす。
2 第十八条の規定は、拒絶査定不服審判の請求を理由があるとする場合に準用する。ただし、第五十二条において準用する特許法第百六十条第一項の規定によりさらに審査に付すべき旨の審決をするときは、この限りでない。
18条(意匠登録の査定)の規定を拒絶査定不服審判の請求を理由があるとする場合に準用している。ただし、差し戻し審決をする場合にはこの限りではない。
3 特許法第五十条(拒絶理由の通知)の規定は、拒絶査定不服審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。
(補正却下決定不服審判の特則)第五十一条
補正却下決定不服審判において決定を取り消すべき旨の審決があつた場合における判断は、その事件について審査官を拘束する。
(特許法の準用)第五十二条
特許法第百三十一条第一項及び第二項、第百三十一条の二(第一項第三号及び第二項第一号を除く。)から第百三十四条まで、第百三十五条から第百五十四条まで、第百五十五条第一項及び第二項、第百五十六条第一項、第三項及び第四項、第百五十七条、第百五十八条、第百六十条第一項及び第二項、第百六十一条並びに第百六十七条から第百七十条まで(審判の請求、審判官、審判の手続、訴訟との関係及び審判における費用)の規定は、審判に準用する。この場合において、同法第百五十六条第一項中「特許無効審判以外の審判においては、事件が」とあるのは「事件が」と、同法第百六十一条中「拒絶査定不服審判」とあり、及び同法第百六十九条第三項中「拒絶査定不服審判及び訂正審判」とあるのは「拒絶査定不服審判及び補正却下決定不服審判」と読み替えるものとする。
特許法との主な相違点
・訂正審判、訂正の請求に関する規定を準用していない
・ 請求項ごとの審判請求の取下げ(特許法第155条第4項)を準用していない
・ 審決の予告(特許法第156条第2項)を準用していない
・ 前置審査(特許法第162条から164条)を準用していない
131条(審判請求の方式)
131条の2(審判請求書の補正)
132条(共同審判)
133条(方式に違反した場合の決定による却下)
133条の2(不適法な手続の却下)
134条(答弁書の提出等)
135条(不適法な審判請求の審決による却下)
136条(審判の合議制)
137条(審判官の指定)
138条(審判長)
139条(審判官の除斥)
140条
141条(審判官の忌避)
142条(除斥又は忌避の申立の方式)
143条(除斥又は忌避の申立についての決定)
144条
144条の2(審判書記官)
145条(審判における審理の方式)
146条
147条(調書)
148条(参加)
149条
150条(証拠調及び証拠保全)
151条
152条(職権による審理)
153条
154条(審理の併合又は分離)
155条(審判の請求の取下げ)
156条(審理の終結の通知)
157条(審決)
158条(拒絶査定不服審判における特則)
160条
161条
167条(審決の効力)
167条の2(審決の確定範囲)
168条(訴訟との関係)
169条(審判における費用の負担)
170条(費用の額の決定の執行力)
(審決等に対する訴え)第五十九条
審決に対する訴え、第五十条第一項(第五十七条第一項において準用する場合を含む。)において準用する第十七条の二第一項の規定による却下の決定に対する訴え及び審判又は再審の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。
2 特許法第百七十八条第二項から第六項まで(出訴期間等)、第百七十九条(被告適格)、第百八十条第一項(出訴の通知等)及び第百八十条の二から第百八十二条まで(審決取消訴訟における特許庁長官の意見、審決又は決定の取消し及び裁判の正本等の送付)の規定は、前項の訴えに準用する。この場合において、同条第二号中「訴えに係る請求項を特定するために必要な」とあるのは、「旨を記載した」と読み替えるものとする。
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