無効審判①:無効理由┃123条・125条

特許法

無効審判

関連問題

改訂6版 解説特許法-弁理士本試験合格を目指して-(著:江口 裕之) 図11-4-1を参考に作成

趣旨

権利に瑕疵がある場合、権利者には不当な権利を与え、本来何人も当該発明等について実施、使用できるにもかかわらず、それを禁止することになり、産業の発達を妨げるなどの弊害を発生させることがある。このような場合には、その権利を無効とし、権利を初めから存在しなかった、又は後発的無効理由に該当するに至った時から存在しなかったとさせる必要があるので、これに応じて設けられたものが無効審判制度である。
一項中一号は、平成五年の一部改正において設けられた規定であり、従来は、要旨を変更する補正について、それが設定登録後に認められたときは、出願日を繰り下げる(旧四〇条)のみで特許の無効理由とはされていなかったが、平成五年の一部改正において、従来の四〇条を廃止するとともに、本号において特許の無効理由として規定した。この結果、新規事項を追加する不適法な補正の取扱いに関して、対世的効力が与えられるともに、制度の国際的調和が図られることとなった

審判便覧(第19版) | 特許庁

第百二十三条(特許無効審判) 

特許が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許を無効にすることについて特許無効審判を請求することができる。この場合において、二以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができる。
 その特許が第十七条の二第三項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願(外国語書面出願を除く。)に対してされたとき。
 その特許が第二十五条、第二十九条、第二十九条の二、第三十二条、第三十八条又は第三十九条第一項から第四項までの規定に違反してされたとき(その特許が第三十八条の規定に違反してされた場合にあつては、第七十四条第一項の規定による請求に基づき、その特許に係る特許権の移転の登録があつたときを除く。)。
 その特許が条約に違反してされたとき。
 その特許が第三十六条第四項第一号又は第六項(第四号を除く。)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたとき。
 外国語書面出願に係る特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないとき。
 その特許がその発明について特許を受ける権利を有しない者の特許出願に対してされたとき(第七十四条第一項の規定による請求に基づき、その特許に係る特許権の移転の登録があつたときを除く。)。
 特許がされた後において、その特許権者が第二十五条の規定により特許権を享有することができない者になつたとき、又はその特許が条約に違反することとなつたとき。
 その特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正が第百二十六条第一項ただし書若しくは第五項から第七項まで(第百二十条の五第九項又は第百三十四条の二第九項において準用する場合を含む。)、第百二十条の五第二項ただし書又は第百三十四条の二第一項ただし書の規定に違反してされたとき。

(メモ)
1項は無効理由を限定列挙したもの。
拒絶・異議・無効理由をまとめる。

イメージ図。後発的無効理由などもあるので正確な図ではないことに注意。
規定拒絶
理由
異議
理由
無効
理由
第17条の2第3項:●●●
第17条の2第3項 :●●●××
第17条の2第4項:●●●××
第25条:●●●
第29条:●●●
第29条の2:●●●
第32条:●●●
第38条:●●●74条の規定に基づく特許権移転登録があったときを除く×
第39条1~4項:●●●
●●●
第36条4項1号:●●●の記載不備
第36条4項2号:●●●違反 ××
第36条6項1号~3号:●●●の記載不備
第36条6項4号:●●●違反 ××
第37条:●●● ××
●●●
●●●(74条の規定に基づく特許権移転登録があったときを除く)×
●●●××
●●●××

 特許無効審判は、利害関係人(前項第二号(特許が第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第六号に該当することを理由として特許無効審判を請求する場合にあつては、特許を受ける権利を有する者)に限り請求することができる。
 特許無効審判は、特許権の消滅後においても、請求することができる。
 審判長は、特許無効審判の請求があつたときは、その旨を当該特許権についての専用実施権者その他その特許に関し登録した権利を有する者に通知しなければならない。

請求人適格

①利害関係人としては、「特許権侵害で訴えられている者」、「類似の特許を有する者」、「特許発明と同種の製品を製造する者」等がこれまでの裁判例で認められている(工業所有権法(産業財産権法)逐条解説 [第21版])。
②共同出願要件違反の出願(38条)及び冒認出願(123条1項6号)については、専ら権利の帰属が問題となっているため、特許を受ける権利を有する者(真の権利者)に限り無効審判を請求できる。

例題

第百二十五条 

特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、特許権は、初めから存在しなかつたものとみなす。ただし、特許が第百二十三条第一項第七号に該当する場合において、その特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、特許権は、その特許が同号に該当するに至つた時から存在しなかつたものとみなす。

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