審査②┃49条・50条・50条の2・51条・52条・53条・54条

特許法

第四十九条 (拒絶の査定)

審査官は、特許出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
一 その特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第十七条の二第三項又は第四項に規定する要件を満たしていないとき。

17条の2
3 第一項の規定により明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をするときは、誤訳訂正書を提出してする場合を除き、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(第三十六条の二第二項の外国語書面出願にあつては、同条第八項の規定により明細書、特許請求の範囲及び図面とみなされた同条第二項に規定する外国語書面の翻訳文(誤訳訂正書を提出して明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をした場合にあつては、翻訳文又は当該補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)。第三十四条の二第一項及び第三十四条の三第一項において同じ。)に記載した事項の範囲内においてしなければならない。
4 前項に規定するもののほか、第一項各号に掲げる場合において特許請求の範囲について補正をするときは、その補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された発明と、その補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明とが、第三十七条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものとなるようにしなければならない。

二 その特許出願に係る発明が第二十五条、第二十九条、第二十九条の二、第三十二条、第三十八条又は第三十九条第一項から第四項までの規定により特許をすることができないものであるとき。

条文チェック

・25条:●●●
・29条 :●●●
・29条の2 :●●●
・32条 :●●●
・38条 :●●●
・39条 :●●●

三 その特許出願に係る発明が条約の規定により特許をすることができないものであるとき。
四 その特許出願が第三十六条第四項第一号若しくは第六項又は第三十七条に規定する要件を満たしていないとき。

条文チェック

・36条4項1号:発明の詳細な説明の●●●要件
・36条6項 :●●● の記載要件
・37条 :●●● 要件

五 前条の規定による通知をした場合であつて、その特許出願が明細書についての補正又は意見書の提出によつてもなお第三十六条第四項第二号に規定する要件を満たすこととならないとき。

第三十六条第四項第二号
その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知つているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。

六 その特許出願が外国語書面出願である場合において、当該特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないとき。
七 ●●●

第五十条 (拒絶理由の通知)

●●●は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、第五十三条第一項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。

第五十条の二 (既に通知された拒絶理由と同一である旨の通知)

●●●は、前条の規定により特許出願について拒絶の理由を通知しようとする場合において、当該拒絶の理由が、他の特許出願(当該特許出願と当該他の特許出願の少なくともいずれか一方に第四十四条第二項の規定が適用されたことにより当該特許出願と同時にされたこととなつているものに限る。)についての前条(第百五十九条第二項(第百七十四条第二項において準用する場合を含む。)及び第百六十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知(当該特許出願についての出願審査の請求前に当該特許出願の出願人がその内容を知り得る状態になかつたものを除く。)に係る拒絶の理由と同一であるときは、その旨を併せて通知しなければならない。

本条は、分割出願等の審査における審査官の通知について規定したものである。平成一八年の一部改正において、分割出願制度の濫用抑止を目的として新設された。
他の特許出願の審査において通知済みの拒絶理由を再度通知する場合には、本条の規定による通知がされ、最後の拒絶理由通知がされた場合と同様の補正制限が課される(一七条の二第五項)。これにより、出願人による拒絶理由通知書の精査を促し、不要な分割出願を抑止することを目的としている。

本条中の「他の特許出願」は、「当該特許出願と当該他の特許出願の少なくともいずれか一方に特許法四十四条二項の規定が適用されたことにより当該特許出願と同時にされたこととなっているもの」に限られる。「当該特許出願」を「甲」、「他の特許出願」を「乙」とすると、次の⑴ꅁ⑶がこれに該当する。
⑴甲が乙の分割出願である場合(甲に四四条二項の規定が適用され、甲と乙が同時に出願されたこととなっている)
⑵乙が甲の分割出願である場合(乙に四四条二項の規定が適用され、甲と乙が同時に出願されたこととなっている)
⑶甲、乙が同じ出願に基づく分割出願(分割出願をさらに分割した出願であって、大もとの出願が同一であるものを含む)である場合(甲、乙の両方に四四条二項の規定が適用され、甲と乙が同時に出願されたこととなっている)

本条中の「他の特許出願についての通知」には、審査において通知された拒絶理由通知だけでなく、前置審査や拒絶査定不服審判において通知された拒絶理由通知も含まれる。

本条中の「当該特許出願についての出願審査の請求前に当該特許出願の出願人がその内容を知り得る状態になかった」とは、例えば次のような場合である。

⑴「他の特許出願」についての拒絶理由の通知が、「当該特許出願」についての出願審査の請求よりも後だった場合。
⑵出願後の権利継承のために「当該特許出願」と「他の特許出願」の出願人が異なっており、かつ「当該特許出願」についての出願審査の請求のときに「他の特許出願」が出願公開前であったために、拒絶理由通知書の閲覧等ができなかった場合。

工業所有権法逐条解説 21版

第五十一条 (特許査定)

●●●は、特許出願について拒絶の理由を発見しないときは、特許をすべき旨の査定をしなければならない。

第五十二条 (査定の方式)

査定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。
2 ●●●は、査定があつたときは、査定の謄本を特許出願人に●●●しなければならない。

第五十三条 (補正の却下)

第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて第五十条の二の規定による通知をした場合に限る。)において、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第十七条の二第三項から第六項までの規定に違反しているものと特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に認められたときは、●●●は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。
2 前項の規定による却下の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。
3 第一項の規定による却下の決定に対しては、不服を申し立てることができない。ただし、●●●を請求した場合における審判においては、この限りでない。

第十七条の二第一項第一号又は第三号
特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。ただし、第五十条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。
一 第五十条(第百五十九条第二項(第百七十四条第二項において準用する場合を含む。)及び第百六十三条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による通知(以下この条において「拒絶理由通知」という。)を最初に受けた場合において、第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
三 拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内にするとき。

条文チェック

17条の2
第3項:●●●
第4項:●●●
第5項:●●●
第6項:●●●

拒絶査定不服審判時の補正却下の規定(159条で読み替える53条)

(補正の却下)

第五十三条 第十七条の二第一項第一号、第三号又は第四号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて第五十条の二の規定による通知をした場合に限る。)において、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正(同項第一号又は第三号に掲げる場合にあつては、拒絶査定不服審判の請求前にしたものを除く。)が第十七条の二第三項から第六項までの規定に違反しているものと特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に認められたときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。

第五十四条 (訴訟との関係)

審査において必要があると認めるときは、特許異議の申立てについての決定若しくは審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止することができる。
2 訴えの提起又は仮差押命令若しくは仮処分命令の申立てがあつた場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、査定が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。

一項の事例
・代理権の欠缺を理由として特許庁に対する代理人の行為の無効が訴訟において争われている場合
・特許を受ける権利の譲渡の無効が訴訟において争われている場合。
二項の事例
甲がある物質の製造方法について特許を受けた者である場合において、乙がその物質についての別の製造方法を発明したと称して特許出願をし、その査定を待たずして製造行為をしたとき、甲は乙の製造方法は自己の製造方法と同一であるとして侵害訴訟を提起したとする。この場合の争点の中心は、甲の製造方法と乙の製造方法が同一であるかどうかということになるが、裁判所としてはその判断の資料として乙の特許出願についての査定を待つことが便宜な場合が考えられるのである。なお、二項において査定が確定するというのは、特許査定にあっては査定の謄本の送達と同時に確定し、拒絶査定にあっては査定の謄本の送達後審判を請求することなくその後三月を経過したときに確定する

工業所有権法逐条解説 21版 をもとに作成

例題

2
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54条 確認問題

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甲がある物質Aの製造方法についての特許権者である場合において、乙がその物質Aについての別の製造方法を発明したと称して特許出願をし、その査定前に物質Aの製造行為をした。甲は、乙の製造方法は甲の特許権に係る製造方法と同一であることを理由として、裁判所に乙に対する仮処分命令の申立てを行った。その後、乙の特許出願について拒絶をすべき旨の査定の謄本が送達された場合であっても、裁判所は、必要があると認めるときは、当該査定が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。

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