特許異議申し立て制度の趣旨
特許異議申立制度は、特許付与後の一定期間に限り、広く第三者に●●●を求める機会を付与し、申立てがあったときは、特許庁自らが当該特許処分の適否について審理し、当該特許に瑕疵があるときは、その是正を図ることにより、特許の●●●を図る制度である。
【特許異議申し立てと無効審判の比較】
特許異議申立制度 | 特許無効審判 | |
制度趣旨 | 特許の早期安定化を図る | 特許の有効性に関する当事者間の 紛争解決を図る |
手続き | 査定系手続き (原則、特許庁と特許権者) | 当事者系手続き 審判請求人と特許権者 |
請求人適格 | 何人も可 | 利害関係人のみ |
申し立て・請求期間 | ●●● | 設定登録後いつでも 権利消滅後でも請求可 |
取り下げ | 請求項ごとに可 取り消し理由通知後は不可 | 請求項ごとに可 答弁書提出後の取り下げには相手方の承諾が必要 |
異議・無効理由 | 公益的事由 (新規性・進歩性・記載不備など) | 公益的事由 + 権利帰属に関する事由 (冒認出願・共同出願違反) + 後発的事由 |
審理方式 | 書面審理のみ(例外なし) | 原則口頭審理、書面審理も可 |
複数申し立て | 原則併合 | 原則併合しない |
決定・審決の予告 | 取り消し決定の前に、取り消し理由の通知 | 請求成立の前に、審決の予告 |
決定・審決 | 特許の取り消しもしくは維持 または申し立ての却下の決定 | 請求の成立もしくは不成立 または却下の審決 |
不服申し立て | 取消決定に対して、特許権者は、 特許庁長官を被告として東京高等 裁判所(知的財産高等裁判所)に出 訴可能 維持決定及び申立て却下の決定 に対する不服申立ては不可 | 審判請求人及び特許権者の双方と も、相手方を被告として、東京高等 裁判所(知的財産高等裁判所)に出 訴可能 |

条文 | 拒絶理由 | 異議理由 | 無効理由 |
17条の2第3項違反(新規事項追加の補正(外国語書面出願の場合を除く)) | ○ | ○ | ○ |
17条の2第3項違反(外国語書面出願において手続補正書で誤訳訂正を行った場合) | ○ | × | × |
17条の2第4項違反(シフト補正) | ○ | × | × |
25条違反(権利の享有能力のない外国人) | ○ | ○ | ○ |
29条違反(新規性、進歩性) | ○ | ○ | ○ |
29条の2違反(拡大先願) | ○ | ○ | ○ |
32条違反(特許を受けることができない発明) | ○ | ○ | ○ |
38条違反(共同出願) | ○ | × | ○ |
39条1項~4項違反(先願主義) | ○ | ○ | ○ |
条約違反 | ○ | ○ | ○ |
36条第4項1号違反(発明の詳細な説明の記載不備) | ○ | ○ | ○ |
36条第4項2号違反(先行技術文献開示義務違反) | ○ | × | × |
36条第6項1号~3号違反(特許請求の範囲の記載不備) | ○ | ○ | ○ |
36条第6項4号違反(省令違反) | ○ | × | × |
37条違反(単一性) | ○ | × | × |
外国語書面出願又は外国語特許出願の明細書等記載の原文記載からの逸脱 | ○ | ○ | ○ |
冒認出願 | ○ | × | ○ |
後発的無効理由 | × | × | ○ |
訂正要件違反 | × | × | ○ |
特許請求の範囲の記載が「その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。」の要件を満たしていない特許出願に対して特許がされたことを理由として特許異議の申立てをすることはできないが、特許請求の範囲の記載が「請求項ごとの記載が簡潔であること。」の要件を満たしていない特許出願に対して特許がされたことを理由として特許異議の申立てをすることはできる。
答え 〇
特許異議申し立て│概要
何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる。この場合において、二以上の請求項に係る特許については、請求項ごとに特許異議の申立てをすることができる。
一 その特許が第十七条の二第三項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願(外国語書面出願を除く。)に対してされたこと。
二 その特許が第二十五条、第二十九条、第二十九条の二、第三十二条又は第三十九条第一項から第四項までの規定に違反してされたこと。
三 その特許が条約に違反してされたこと。
四 その特許が第三十六条第四項第一号又は第六項(第四号を除く。)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたこと。
五 外国語書面出願に係る特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないこと。
(メモ)
特許異議の申立ての理由は公益的事由のみである。
異議申し立て理由 | 拒絶理由であるが異議申し立て理由ではない |
・公益的事由 ①●●●(17条の2第3項) ②●●●(25条) ③●●●(29条) ④●●●29条の2) ⑤●●●(32条) ⑥●●●(39条) ⑦●●● ⑧●●●(36条4項1号,6項) ↓ 「特許に瑕疵があるときは、その是正を図る」 | ・形式的事由 ① ●●●(17条の2第4項) ② ●●●(36条6項4号) ③ ●●●(37条) ④ ●●●(36条4項2号) ・権利帰属に関する事由 ① ●●●(38条) ②●●●(49条7号) |
特許異議の申立てについての審理は、書面審理による。
2 共有に係る特許権の特許権者の一人について、特許異議の申立てについての審理及び決定の手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、共有者全員についてその効力を生ずる。
〇全件書面審理(118条)
特許庁│工業所有権法逐条解説21版
旧制度では、書面審理を原則としつつ、審判長は、特許権者、特許異議申立人若しくは参加人の申立てにより、または職権で、口頭審理によるものとすることができるとしていた。他方、新たな特許異議の申立制度の創設にあたっては、特許異議申立事件の当事者の対応負担を無効審判よりも低いものとし、かつ、審理手続自体も簡易なものとすることで、より利用し易い制度にするという観点から、審理の方式を「原則書面審理」から「全件書面審理」によるものとし、特許異議申立人が口頭審理へ呼び出されることがないようにした。
平成27年第9問 〇×
×
113条にあたらない
異議申し立ての審理・審判官について
特許異議の申立てについての審理及び決定は、三人又は五人の審判官の合議体が行う。
2 審判官は、特許異議の申立てに係る特許が前条各号のいずれかに該当すると認めるときは、その特許を取り消すべき旨の決定(以下「取消決定」という。)をしなければならない。
3 取消決定が確定したときは、その特許権は、初めから存在しなかつたものとみなす。
4 審判官は、特許異議の申立てに係る特許が前条各号のいずれかに該当すると認めないときは、その特許を維持すべき旨の決定をしなければならない。
5 前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
〇不服申し立てを認めない理由(114条5項)
以下の理由により、特許維持の決定に対して不服を申し立てることが認められていない。
①特許異議の申立ては、第三者に対して特許処分の見直しを求める機会を与えたものに過ぎないものであること、
②維持決定を受けた特許異議申立人は別途無効審判請求を行うことができること
〇例外的に不服申し立てが認められない処分のまとめ
特許庁の処分に対しては、原則として、不服を申し立てることができるが、以下の処分については、例外的に不服申し立てが認められない
① ●●●(53条3項)※拒絶査定不服審判の中で争うことができる。
② ●●●(71条4項)
③ ●●●(114条5項)
④ ●●●(131条の2第4項)
⑤ ●●●(143条3項)
⑥ ●●●(149条5項)
特許異議の申立てをする者は、次に掲げる事項を記載した特許異議申立書を特許庁長官に提出しなければならない。
一 特許異議申立人及び代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 特許異議の申立てに係る特許の表示
三 特許異議の申立ての理由及び必要な証拠の表示
2 前項の規定により提出した特許異議申立書の補正は、その要旨を変更するものであつてはならない。ただし、第百十三条に規定する期間が経過する時又は第百二十条の五第一項の規定による通知がある時のいずれか早い時までにした前項第三号に掲げる事項についてする補正は、この限りでない。
3 審判長は、特許異議申立書の副本を特許権者に送付しなければならない。
4 第百二十三条第四項の規定は、特許異議の申立てがあつた場合に準用する。
〇申立人の記載の省略はできない(115条1項)
申立人の氏名等の省略はできない。
特許異議の申立ての理由の要旨を変更する補正が認められる例外
[原則] 特許異議申し立ての理由の要旨を変更する補正は認められない [例外]下記①・②の早い方の時期までなら、認められる。①113条1項:●●●から6月
②120条の5 1項:●●●通知がされたとき
第百三十六条第二項及び第百三十七条から第百四十四条までの規定は、第百十四条第一項の合議体及びこれを構成する審判官に準用する。
特許庁長官は、各特許異議申立事件について審判書記官を指定しなければならない。
2 第百四十四条の二第三項から第五項までの規定は、前項の審判書記官に準用する。
特許権についての権利を有する者その他特許権に関し利害関係を有する者は、特許異議の申立てについての決定があるまでは、特許権者を補助するため、その審理に参加することができる。
2 第百四十八条第四項及び第五項並びに第百四十九条の規定は、前項の規定による参加人に準用する。
審判における証拠調べ・証拠保全
第百五十条及び第百五十一条の規定は、特許異議の申立てについての審理における証拠調べ及び証拠保全に準用する。

特許異議の申立てについての審理においては、特許権者、特許異議申立人又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。
2 特許異議の申立てについての審理においては、特許異議の申立てがされていない請求項については、審理することができない。
趣旨│第百二十条の二(職権による審理)
工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第21版〕┃特許庁
一項は、特許権者や特許異議申立人が申し立てない理由についても職権によって審理を行うことができる旨を規定したものである。これは、特許庁による特許処分の見直しという特許異議の申立制度の趣旨を全うするには、特許権者や特許異議申立人の主張に拘束されることなく、特許異議の申立てがなされた特許について取消理由の有無を職権で審理することができるものとすべきであるからである。
二項は申し立てられない請求項については審理することができない旨を規定したものである。特許異議の申立制度は、特許権を設定した後に特許異議の申立てを待ってその審理を行うものであるから、申立ての対象となっていない請求項についてまで職権により審理を行えることとすると、徒に特許権者の地位を不安定にするおそれがあるからである。
同一の特許権に係る二以上の特許異議の申立てについては、その審理は、特別の事情がある場合を除き、併合するものとする。
2 前項の規定により審理を併合したときは、更にその審理の分離をすることができる。
(メモ)
「特別な事情がある場合を除き」であり、審判官の裁量により併合するものではない。
特許異議の申立ては、次条第一項の規定による通知があつた後は、取り下げることができない。
2 第百五十五条第三項の規定は、特許異議の申立ての取下げに準用する。
趣旨│120条の4
工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第21版〕┃特許庁
一項は、取消理由通知があった後においては特許異議の申立ての取下げができない旨を規定したものである。本規定から明らかなように、取消理由通知後は、たとえ特許権者の承諾があっても特許異議の申立ての取下げは認められない。
特許異議の申立ては、第三者の自由な意思により行うものであり、その取下げも本来特許異議申立人の意思に委ねられるべきであるが、特許異議の申立てについての審理が進行し、すでに取消理由通知があった場合には、特許異議の申立てがされた特許に瑕疵がある蓋然性が高いといえ、そのような場合にまで特許異議申立人の自由な意思による取下げを認めることは、公益的観点から特許処分の見直しを図ろうとする特許異議の申立制度の趣旨に合致しない。
(メモ)
異議申し立て制度は「公益的観点」を軸にした思想であるが故の規定。特許権者の承諾があっても取り下げが認められないのは要注意。
<比較>特許無効審判の請求の取り下げ時期(155条)
特許無効審判は、審決確定までは取り下げることができる。
当事者間での紛争解決手段と位置付けられているため。
特許異議申し立ての審理後の対応
審判長は、取消決定をしようとするときは、特許権者及び参加人に対し、特許の取消しの理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
2 特許権者は、前項の規定により指定された期間内に限り、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求することができる。ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
一 特許請求の範囲の減縮
二 誤記又は誤訳の訂正
三 明瞭でない記載の釈明
四 他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。
3 二以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合には、請求項ごとに前項の訂正の請求をすることができる。ただし、特許異議の申立てが請求項ごとにされた場合にあつては、請求項ごとに同項の訂正の請求をしなければならない。
4 前項の場合において、当該請求項の中に一の請求項の記載を他の請求項が引用する関係その他経済産業省令で定める関係を有する一群の請求項(以下「一群の請求項」という。)があるときは、当該一群の請求項ごとに当該請求をしなければならない。
5 審判長は、第一項の規定により指定した期間内に第二項の訂正の請求があつたときは、第一項の規定により通知した特許の取消しの理由を記載した書面並びに訂正の請求書及びこれに添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面の副本を特許異議申立人に送付し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、特許異議申立人から意見書の提出を希望しない旨の申出があるとき、又は特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるときは、この限りでない。
6 審判長は、第二項の訂正の請求が同項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は第九項において読み替えて準用する第百二十六条第五項から第七項までの規定に適合しないときは、特許権者及び参加人にその理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
7 第二項の訂正の請求がされた場合において、その特許異議申立事件において先にした訂正の請求があるときは、当該先の請求は、取り下げられたものとみなす。
8 第二項の訂正の請求は、同項の訂正の請求書に添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について第十七条の五第一項の補正をすることができる期間内に限り、取り下げることができる。この場合において、第二項の訂正の請求を第三項又は第四項の規定により請求項ごとに又は一群の請求項ごとにしたときは、その全ての請求を取り下げなければならない。
9 第百二十六条第四項から第七項まで、第百二十七条、第百二十八条、第百三十一条第一項、第三項及び第四項、第百三十一条の二第一項、第百三十二条第三項及び第四項並びに第百三十三条第一項、第三項及び第四項の規定は、第二項の場合に準用する。この場合において、第百二十六条第七項中「第一項ただし書第一号又は第二号」とあるのは、「特許異議の申立てがされていない請求項に係る第一項ただし書第一号又は第二号」と読み替えるものとする。
本条は、平成二六年の一部改正により新設されたものであり、取消理由通知及び意見書並びに特許異議の申立てに係る手続中における特許の訂正の請求について規定したものである。
一項は、取消決定をしようとするときは、審判長は、特許権者及び参加人に取消理由を通知し、事前に意見陳述の機会を与えなければならない旨を規定したものである。これは、審理の結果、特許が取消理由に該当し得るという心証を得た場合においても、特許権者になんら弁明の機会を与えずただちに取消決定をすることは酷であり、かつ審判官にも全く過誤なきことは保証し得ないので、特許権者及び参加人に意見書を提出する機会を与え、かつ、その意見書を基にして審判官がさらに審理をする機会ともしようとするものである。
二項は、特許権者は取消理由通知に対する意見書の提出期間内に限り、明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求することができる旨を規定したものである。特許異議の申立てについての審理において取消理由が通知されたときは、その取消理由を回避するために明細書等の訂正を行う必要が生じる場合がある。しかし、その際に、独立して訂正審判を請求できることとすると、無効審判の場合と同様に、訂正審判の審決が確定するまで特許異議の申立てについての審理を進めることができないなど、迅速な審理が妨げられるおそれがある。そこで、無効審判における訂正の請求(一三四条の二第一項)と同様に、特許異議の申立ての審理手続における意見書提出期間内に限り、訂正審判と同一の範囲内で明細書等の訂正を請求できることとし、あわせて、特許異議の申立てが特許庁に係属してから決定が確定するまでの間は訂正審判の請求はできないこととした(一二六条二項)。
五項は、(中略)。旧制度において、取消決定をしようとするときは、平成一五年の法改正以前の旧特許法一二〇条の四第一項の規定により、特許権者及び参加人に取消理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えることとされていた。
他方、特許異議申立人は、特許異議申立書を提出した後、審理の途中経過については何ら知らされず、かかる審理手続において意見を述べる機会も保障されていなかったため、特許異議申立人の不満が大きく、特許庁の審理内容に不満がある場合には新たに無効審判を請求しなければならない等、紛争解決の長期化につながっていた。
以上を踏まえ、今般の特許異議の申立制度を創設するにあたり、特許異議申立人の当事者の対応負担を低く保ちつつ、制度の利便性向上を図る観点から、特許権者による訂正請求があった場合、特許異議申立人に対しても、その希望に応じた意見提出の機会を設けるため、当該訂正請求に対し書面での意見提出を可能とする規定を設けることとした。ただし書では、特許異議申立人が意見提出を希望しない場合及び特別の事情がある場合には意見提出機会を付与しない旨を規定している。「特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情」とは、迅速かつ効率的な審理の観点から、訂正請求の内容が実質的に判断に影響を与えるものではない場合等、特許異議申立人に意見を聞くまでもないことが認められる場合等をいう。
七項は、複数の訂正請求が並存した場合、先の訂正請求は取り下げられたものとみなす旨を規定するものである。無効審判における訂正の請求に関する一三四条の二第六項の規定に倣い、複数の訂正請求の間に矛盾がある場合には、後の訂正請求が特許権者の意思を最も反映しているという前提のもと、このような規定とした。
八項は、訂正の請求の取下げができる時期と範囲について規定したものであり、無効審判に係る訂正請求における規定(一三四条の二第七項)と同趣旨の規定である。
九項は、訂正の要件、手続、効果及び訂正請求書の方式等について、訂正審判の場合と同様に考えられることから、必要な読替規定を置きつつ、関連する規定を準用した。(工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第21版〕┃特許庁)
〇取り消し決定するときの対応(120条の5)
特許権者・参加人に取り消し決定を通知し、意見書等の提出機会を与える。
〇120条の5第9項での読み替え
・特許異議申し立ての請求がされていない請求項についても訂正をすることができる。(特126条7項準用)
特許異議の申立てについての決定は、次に掲げる事項を記載した文書をもつて行わなければならない。
一 特許異議申立事件の番号
二 特許権者、特許異議申立人及び参加人並びに代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
三 決定に係る特許の表示
四 決定の結論及び理由
五 決定の年月日
2 特許庁長官は、決定があつたときは、決定の謄本を特許権者、特許異議申立人、参加人及び特許異議の申立てについての審理に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。
特許異議の申立てについての決定は、特許異議申立事件ごとに確定する。ただし、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に定めるところにより確定する。
一 請求項ごとに特許異議の申立てがされた場合であつて、一群の請求項ごとに第百二十条の五第二項の訂正の請求がされた場合 当該一群の請求項ごと
二 請求項ごとに特許異議の申立てがされた場合であつて、前号に掲げる場合以外の場合 当該請求項ごと
〇異議申し立ての審理の決定が確定するタイミング(審判便覧67-06(5.))
維持決定:決定の謄本が送達されたとき
取消決定:出訴期間が経過したとき
異議申し立ての審理に対する訴え
取消決定又は審決に対する訴え及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書又は第百二十条の五第二項若しくは第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。
2 前項の訴えは、当事者、参加人又は当該特許異議の申立てについての審理、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り、提起することができる。
3 第一項の訴えは、審決又は決定の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は、提起することができない。
4 前項の期間は、不変期間とする。
5 審判長は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、職権で、前項の不変期間については附加期間を定めることができる。
6 審判を請求することができる事項に関する訴えは、審決に対するものでなければ、提起することができない。
〇異議申し立ての訴えの管轄
以下は東京高等裁判所の専属管轄である。
・異議申し立て所の却下の決定
・訂正の請求書(125条の2第2項)の却下の決定
第百三十三条、第百三十三条の二、第百三十四条第四項、第百三十五条、第百五十二条、第百六十八条、第百六十九条第三項から第六項まで及び第百七十条の規定は、特許異議の申立てについての審理及び決定に準用する。
2 第百十四条第五項の規定は、前項において準用する第百三十五条の規定による決定に準用する。
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